システム開発に求められるマネジメント
システム開発プロジェクトは、製造業のライン生産と比べて「不確実性が高い」性質があります。例えば、製造業では機械化/標準化された作業や工程が多く、製造ラインのサイクルタイムはブレが生じにくくなっていますが、システム開発プロジェクトでは作業者のスキルや業務経験に依存する作業が多いため、個々の作業時間のばらつきが大きくなります。また、市場ニーズの変化が激しいため、要求の変更がいつ起こるかわからないリスクもあり、プロジェクトが当初計画した工期通りに進まないのが通常です。
これらの不確実性に対応するためには、
- システム開発の作業は「人」が実施するものである
- システム開発の計画は状況に応じて変わることが当たり前である
という前提に立ち、変化や不確実性に応じた適切な対処を可能とするマネジメント手法が必要です。
CCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)とは
CCPMは、以下の特徴を持った革新的なプロジェクトマネジメント手法です。
1.真の工期を決めるクリティカルチェーン
クリティカルパス(前の作業が終わらないと次に進めない作業を開始から終了まで繋いだ作業工程)に「人の制約」を追加した「クリティカルチェーン」を用いて作業計画を作ることで、作業者の状況や制約による工期遅れのリスクを可視化します。
2.残り日数による予測型の進捗管理
作業開始から現時点までに実施した作業量で進捗を管理するのではなく、現時点から作業完了までの残り日数で進捗を管理することで、プロジェクト完了予定日と工期遅れの兆候を把握します。
3.作業完了目標となるギリギリ見積り
各作業にギリギリで達成可能な完了目標日を設定することで、学生症候群(締め切り間際にならないとパフォーマンスを発揮しない人間の心理的行動特性)を抑止します。
4.各作業の遅れに対応する全体バッファー管理
実施期間の余裕(バッファー)を作業ごとではなくプロジェクト全体で管理・共有することで、不確実性による遅延リスクに対応します。
CCPMは従来、建設業や製造業の製品開発の分野で導入され、大きな効果を上げてきましたが、近年ではシステム開発プロジェクトへの導入も進んでおり、注目を浴びています参考1。NTTデータでは、これまで培ってきた豊富なプロジェクトマネジメント経験と併せてCCPMを活用することで、システム開発プロジェクトにおける工期短縮を全社的に推進しています参考2。