クラウドロボティクス~ロボット技術とクラウドが連携する世界とは
「クラウドロボティクス」というキーワードを耳にしたことはあるでしょうか。元々はGoogleが2011年の「Google I/O」参考1にて発表したキーワードですが、実は日本の方がそのコンセプトの提示は早く、言い方は違いますが「ネットワークロボット」というのが、「クラウドロボティクス」に該当するとも言えます。名前の通り、ロボット技術はネットワークへの参加により、膨大な計算資源を使用し、知識の蓄積を行うことで、知能化を加速するという考え方です。このコンセプトの大まかなメリットは、"ロボットを軽く/安く/賢くできる"という点です。
ロボット技術が市場に出回る際、機能分散を可能にすることで、外部サービスとの連携や協調の恩恵を受けることができます。つまり、従来のロボットが一体型でサービスを提供する概念ではなく、空間がロボット化し人へサービス行動を行う、あるいは空間情報から人の身体能力の拡張を促す、という形でサービスを実現する事が可能になります。今はまだ実験段階ですが、パーソナルモビリティ参考2や自動車の自動走行などは、その一例です。
この流れは、まさにスマートな世界に向けて、今M2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)のトレンドにあるサイバーとリアルの結びつきをより高度化した、実環境への作用を供するサービスが実現する事を意味します。
図:クラウドロボティクスの位置付け
関連する技術動向と今後の展望
スマートなサービスを推進するにあたり、関連技術動向の一つに、様々な情報や制御系の連携を容易にするためのミドルウエア、という流れが存在します。簡単にいえば、情報や制御系の依存性をできるだけ排除し、外部接続性を確保する技術です。この技術は、各国や民間など様々なレベルでのプラットフォーム推進が行われており、市場が拡大していく上で重要な要素であると考えます。それぞれを細かく説明するのは割愛しますが、表に主だったものを一覧整理しました。
表:ロボット技術に関する主なミドルウエア層の検討
日本では、産業総合研究所のRTミドルウエア、ATRのユビキタスネットワークロボットPFなどが代表的なものです。規格化の流れも鑑みつつ、市場適用を図っていく事になります。
サービスロボットの分野では、市場が立ち上がるのはまだこれからですが、サービス創出を加速する上で、このような技術要素を取り入れながらシステム開発できるようにする事は、モノがつながり、高度化する今後のスマートビジネスにおける新たなサービス創出において、必要な要素になると考えます。NTTデータでは、SIerとしてロボティクス×サービスの開拓に取り組んでいます。