サービスにおける5つの特性
「サービス」とは「相手の期待に応えること」と言えるでしょう。相手の期待に応える「モノ」ではないのが肝です。「有形物」ではなく「無形」なのです。そして、サービスには5つの特性があります。「旅行」を例に説明します。
- 1.無形性
サービスには「形」がありません。そのため、購入するサービスを事前に評価することが難しいです。旅行のパンフレットは存在しても、実際の旅行を事前に体験し評価することは困難でしょう。
- 2.品質の変動性
モノの場合、原材料や生産方法と流通方法が決まれば、ほぼ同一の品質を持つモノ(製品)を提供できます。しかし、サービスは環境条件などによって品質が変動します。旅行する季節や、当日の天候、同行する添乗員次第で、旅行体験の良し悪しは左右されます。
- 3.不可分性
サービスは産み出された瞬間に消費されます。生産と消費が同時です。実際に旅行に行っている、その瞬間に「旅行サービス」は産み出され、かつ同時に消費されます。
- 4.消滅性
サービスは保存や在庫が効きません。全く同じツアーを後からもう一度体験することは不可能です。ですから、旅行中の写真やビデオは貴重なのかもしれません。
- 5.需要の変動性
消滅性のために在庫が効かないので、突然大量の需要が発生しても対応することが難しいです。同じツアーの料金が時期によって異なるのは、需要がある時期に集中するのを避ける対策のひとつだと思います。
サービスの観点から捉えた「システムインテグレーション」
システム開発の様子
NTTデータが開発する「システム」は、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどから構成されており有形物です。しかし、これまで、システム開発の投資対効果をテーマに取組んできた経験からすると、開発するものはシステムという有形物だとしても、お客様に訴求すべき「価値」は別の観点で考えるべきなのでは?と思うところがあります。
例えば、車や家などは、目に見えて、触ることができますし、中に入ることもできますから、所有したらその価値を感じやすいと思いますが、「情報システム」はそうではないこともあり、実際にその価値を認知いただけるのは、システムが情報を処理して、業務が効率化されてコストが下がったり、売上げが伸びたときだと思うのです。
それは、「情報処理サービス」の価値と考えることができると思います。特に、システムを利用する業務部門の方はそう考えると思います。システムを発注する情報システム部門の方々に対しても、完成したシステムそのものの価値ではなく、設計・製造・試験のシステムインテグレーションという「サービス」の価値を訴求すべきなのでは?と思うのです。なぜなら、インテグレーションは誰にでもできるものではないからです。
以上のように考えると、当社は、情報処理サービス業、情報処理システムインテグレーションサービス業なのではないかと思うのです。