CCPM適用における課題
CCPMは、近年システム開発プロジェクトへの適用が進んだ革新的なプロジェクトマネジメント手法で、プロジェクト中に発生する変化や不確実性に応じた対処を可能とするものです参考1。実際のシステム開発プロジェクトへの適用を通じ、一定の工期短縮の効果を得られることが確認されています参考2、3。ただし、この一定の工期短縮効果は、単にCCPMを適用すれば得られるわけではありません。そこで、今回はNTTデータで70以上のプロジェクトにCCPMを適用して得られた知見を基に、CCPMの適用効果を高めるための計画フェーズにおけるポイントを解説します。
計画時点から工期短縮は始まっている
納期に間に合うスケジュールとなったら、計画作成完了ではありません。CCPMは、状況に応じて最新計画が動的に変化するという特徴を持っていますが、これは各タスクの残日数を常に最新化することで実現しており、基本は初期計画に従ってプロジェクトをコントロールします。つまり、タスクの順序やリソースアサインは元の計画をベースにしているわけです。特別な事情がない限りは、単にCCPMを適用しただけでは、最初に立案した計画よりも短い期間でプロジェクトが完了することはないでしょう。CCPM適用により工期短縮効果を得るためには、有限なプロジェクトのリソースを可能な限り有効活用し、最短となる計画を立案します。
「リソース有効活用」=「計画稼働率の向上」とは限らない
有限なリソースの有効活用により最短計画を立案するときに重要となる観点は、工期を決める最長パスであるクリティカルチェーンの短縮です。「稼働率の向上がリソースの有効活用につながる」と考える方も多いかもしれませんが、クリティカルチェーン以外を効率化しても、プロジェクト期間には影響がありませんので、その点を注意する必要があります。考え方としては、稼働率を上げるのではなく、負荷が偏りすぎないようにします。これは、CCPMでクリティカルチェーンが長くなる原因の一つに、下図のようなリソースの計画負荷の偏りが挙げられるためです。この事例では、リソースアサインの見直しにより、リソース間の負荷を平準化し、計画時点で約30%の工期短縮を実現しています。
図:計画時点で工期を短縮した実例
NTTデータグループでは、CCPM適用と定着化を進めることで、システム開発の工期短縮の実現を推進しています。