ハンディキャップの解消
視覚障がいなどのハンディキャップをITの力で解消しようとする取り組みについて、以前よりも大きな成果を出せるようになってきました。例えば、触覚に働きかけるタイプのデバイスに「ぶるなび参考1」があります。これは振動によってあたかも手を引かれるような感覚を再現することで、進むべき方角を示し道案内などに活かすデバイスです。IT技術と組み合わせると、例えばBeaconや衛星測位や3Dセンサーを用いて位置と距離を把握し、視覚障がい者に障害物を避けるような動きを誘導することもできるでしょう。
スマホとソーシャルを活用した解決方法も登場しています。例えば、視覚障がい者の方がスマホなどを使って目の前をビデオに映すと、その映像に何が映っているのかを説明して教えてくれるようなサービス参考2があります。これは、ネットワークを通じてボランティアメンバーを集め、リアルタイムにマッチングするソーシャルプラットフォームが存在するからこそ実現できています。現在は人工知能の進化も著しく、コンピューターが画像の内容を理解し、的確な説明文を自動で作ることも可能になってきました。ボランティアメンバーがマッチングできない場合は人工知能が代わりに説明を行うケースも出てくるでしょう参考3。
やる気ビジネス
仕事効率を高めるため人間の心に働きかける、というアプローチがビジネスで真剣に検討されるようになってきました。脳科学やゲーミフィケーション参考4が代表的な例ですが、精神統一して集中力を高めるための環境作りや方法論、ウェアラブルデバイスで脳に電流を流し活性化する参考5、といった新たなアプローチも登場しています。
しかし、やる気やモチベーションは心の面だけでなく、身体的な疲労具合にも影響を受けると考えられます。NTTデータでは、さまざまなセンサーから得られる生体情報と人の行動を把握分析することで、どれくらい疲労が溜まっているかを可視化し、メンタルヘルスに活かす取り組み参考6を進めています。こうした取り組みは今後もさまざまなタイプが登場し、ビジネスではストレスをITで管理・軽減することが普及していくと考えられます。
バーチャルリアリティーの進化
ヘッドマウントディスプレイを用いて「ドラえもん」の「どこでもドア」を仮想体験できる展示物参考7が登場するなど、バーチャルリアリティーはついにビジネス活用・普及の段階に入ったと考えています。不動産業界では、部屋の閲覧をバーチャルリアリティーで再現する取り組み参考8が進められています。今後、コンタクトレンズ型デバイスの実用化が進めば、外見的にも自然な形でバーチャルリアリティーの技術が現実と区別がつかないレベルで取り入れられていくと考えられます。また、バーチャルリアリティーのビジネス適用で有望なジャンルのひとつは教育研修でしょう。例えば、通常入ることが難しい鉱山開発の現場を作業者視点で疑似体験できる事例参考9があります。
その他、バーチャルリアリティーは、部屋の模様替えや洋服のデザインを変えるといった「見た目の変更」や、映画館などで高臨場感を出す用途でも使われ始めています。実際に行う際に環境条件面でのハードルが高いケースや、失敗すると元に戻せないような作業をバーチャルで学習体験する使い方のほか、書道や調理といった専用の道具を必要とする場合にも効果的です。費用負担なしに試すことができる点もメリットでしょう。今後も、再現できるリアルさの向上に伴い、さまざまな使い方の可能性が出てくると考えています。