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2015.6.2技術トレンド/展望

[第37回]流通小売業のビッグデータ活用の現状と今後

昨今のO2Oやオムニチャネルにおけるデータ分析を含め、ビッグデータ活用が叫ばれて久しいが、新たな価値を創出するのはそう容易ではない。地道な仮説検証の繰り返しと現場活用、ニーズ起点の発想がキーとなる。

1.流通小売におけるビッグデータ活用は

流通小売においてもビッグデータ活用によって、顧客の嗜好やSNS等の分析による商品開発やニーズの把握、行動分析による高度な販売適正化などが可能になると考えられてきた。先進的な企業においては、ビッグデータ活用を専門に行う部署を設けて分析・活用に日々試行錯誤している一方、興味はあるが活用までは踏み出せない、といった声も聞かれる。成果をみても、従来の"勘"と"経験"の実証・再確認というレベルも多く、新たな価値を創出するのに悩まれているのが現状ではないか。

2.データありきではない発想の転換が必要

データを保有している、その活用に悩んでいる方からよく相談をいただくが、データありきからの発想(シーズ起点)ではなかなか難しい。つまり、それによって何が分かるか、どう売上に貢献するか、投資・コストの最適化になるか、など具体的な活用シーンと方法、その効果を想定した上で取り組むことが大事である。

そこで、既に流通小売の現場ではよく活用されているPOSデータの分析・活用はヒントになる。(公財)流通経済研究所の市場POSデータ分析サービス「NPICLOUD」には使いやすい分析機能が標準で用意されており、多忙な現場の担当者が利用しやすい形態の一つであろう。

3.データ収集、分析から活用まで地道に仮説検証を繰り返す

消費者の嗜好や社会動向、大ヒット商品などビジネス環境は日々目まぐるしく変化しており、ビッグデータ分析がすぐに効果の出る魔法の箱ではないことは既に周知の事実である。地道かつ当然のことではあるが、仮説検証からアクション、そしてチューニングするといったPDCAを繰り返すことが重要である。そして、現場とデータサイエンティスト、データ提供者、それぞれの実務を一気通貫で考えられる人材、まさにビッグデータコンシェルジュ的な発想が必要かもしれない。したがって、ビッグデータに携わる人たちは自分以外の領域にも常にアンテナを張る、という心掛けを持っておきたい。

また、(公財)流通経済研究所によるビッグデータ活用プロジェクト「UREDAS参考」のようなデータ提供者と小売、メーカー・卸が一堂に介して真の現場活用を目指す取り組みなどのように、それぞれが連携して一緒に検討する場を設けることも有効である。

4.ビッグデータ活用をブレイクスルーさせるには

昨今のスマホやeコーマスの普及、ウェアラブルやセンサー等のテクノロジーの発展により、今まで取得できなかったデータも集めることは技術的には可能になってきている。いまは取得できていないが知り得たい情報は何か、というニーズ起点の発想のもと、新たなテクノロジーをウォッチすることも重要となってくる。いまあるデータのみで分析・活用を切磋琢磨するフェーズから、ニーズ起点で新たなデータを収集し、それらを組み合わせて分析・活用することを模索するフェーズになってきているのではないか。

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