情報社会トレンドとは
社会変革と技術革新は相互に影響し合いながら進展しています。社会にはもともと種々の傾向が存在しますが、技術革新や新サービスの登場、社会課題解決ニーズの高まりなどが社会に変革をもたらす慣性、継続性の高いトレンドとして現れたものが、「情報社会トレンド」(※1)です。
デジタル化の進展により、社会は大きな転換点を迎えています。情報社会トレンドは、社会生活やビジネス現場における次の変革を予測すると同時に、技術革新を促すニーズでもあります。
個の影響力拡大が社会の変革を促進する
個が中心の社会が、既存のしくみの変革を促しています。ソーシャルメディアは、今や個人による単なる情報発信手段から、個人が社会と交流するためのプラットフォームへと変化しました。FinTech(金融)、AgriTech(農業)、HealthTech(ヘルスケア)など、種々の分野でデジタル技術を使った課題解決や新たな価値の創出に取り組むベンチャー企業が登場し、顧客視点による既存事業のアンバンドリング、リバンドリングを生み出しています。既存企業のデジタルトランスフォーメーション、需要に基づいてモノやサービスを提供するオンデマンドエコノミーも拡大しています。製造者と消費者が直接つながるDirect to Consumer(D2C)と呼ばれる新しいビジネスモデルも登場しています。
個の影響力は既に社会に定着し、パワーバランスに変化をもたらしました。発想力、発言力、行動力を得た自由な個が社会の枠組みを刺激し、提供者と消費者、政治家と国民、大企業とベンチャー企業等の関係が変化しています。リーダー不在の社会とも言われますが、個の影響力が強い社会では、個々が大局観をもって行動することが、社会の発展には不可欠となると考えられます。
図1:情報社会トレンド1
オープンな連携が新たな社会のしくみを生み出す
あらゆるものがインターネットにつながり、種々のしくみがインターネット化されています。中央集権によるヒエラルキー(階層)型組織は、フラットで分散化されたネットワーク型組織への転換が促され、各要素が自律的に行動し関係が動的に変化する新たなエコシステムの構築が求められています。モノのインターネットが拡大し、産業界ではインダストリー4.0と呼ばれる企業の枠を越えた情報とプロセスの連携の取り組みが始まりました。仮想通貨ビットコインの基幹技術として考案されたブロックチェーン技術は、オープンなネットワーク上で信頼性を担保しながら情報のやりとりを可能にするしくみで、透明性が高く改竄に強いことなどから、種々のビジネスへの応用が期待されています。
誰もが参加可能なオープンなしくみは、デジタルな世界に適したしくみと考えられます。フィジカルな世界に適したクローズドな管理型社会で培われてきた常識は、転換を促されているのかもしれません。実際に生活をしているのは、国境があり、時間と場所の制約がある世界です。今後、社会は時間をかけてオープンなしくみとクローズドなしくみの調和を図っていくことになると考えられます。
図2:情報社会トレンド2
- ※1 「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp_2018/index.html