データ活用による経営課題の解決
デジタル時代において、データ活用は企業成長のカギを握る重要な要素と言っても過言ではありません。そこで、NTTデータの情報システム部門では、ビジネスアナリティクス・チームをつくり、データ活用(「データ(主に社内システムデータ)」+「統計解析・機械学習」)により、経営課題の解決および意思決定の高度化を支援する「予測・予兆検知モデル」の構築などを実施しています(図1参照)。
図1:データ活用による経営課題解決 および 意思決定高度化の概要
予測・予兆検知モデルの事例
予測・予兆検知モデルの事例の概要をご紹介します。また、これらの活動を通して得られたノウハウは、商用サービス展開を行っています。
[事例1]年間着地予測(売上・粗利)
事業部門からコーポレート組織(財務部門)への年間業績の着地見込が保守的であることから、「社内システムデータ」+「統計解析」により、年度上期に年間着地を高精度に予測
[事例2]不採算案件(※)の兆候検知
不採算案件を抑止するため、「社内システムデータ」+「機械学習」を活用して、不採算案件の兆候を網羅的かつ早期に検知できるようにモニタリング
ポイントは「イシュー(課題)ドリブン>データドリブン」
図1のようなデータ活用に取り組む場合、課題を明確に定義することが最も重要なポイントになります。これは、データ活用は課題を解決する手段でしかないためです。やりたいことは課題を解決することであり、データを活用することではありません。
データを起点にして(データドリブン)データ活用を考えることは、課題解決方法を検討する場合の参考になるため、不要とまでは言えませんが、データ活用に取り組む前に解決したい課題を明確に定義する(イシュードリブン)方が重要性は高いと考えます。
データ活用は、課題を解決する手段でしかないと記述しましたが、データ活用が適している業務が2つあります。
[業務1]属人的で勘と経験に頼っている業務
勘と経験は感覚的なものであり、人によってばらつきがあります。そのため、勘と経験に基づいて注視していた観点を、データにより定量的に明らかにすることで、勘と経験が十分でない人も業務を遂行しやすくなります。
[業務2]網羅的にチェックできていない業務
例えば、不採算案件を把握するために、社内の全案件を網羅的にチェックすることは案件数も多く、チェックする部門の人数も限られていたため不可能でした。
しかし、データ活用によって構築した検知モデルにより、一定の品質を確保した上で網羅的にチェックすることができます。このように、網羅的にチェックできていない(逆にいえば、サンプリングでのみチェックしている)業務もデータ活用が適していると考えます。
今後の取り組み
「ワークインサイトの活用による社員エンゲージメント向上」に取り組んでいきます。ワークインサイトは、社員の行動ログ(Microsoft Teamsのコミュニケーション履歴など)を軸に、さまざまな社内システムデータを掛けあわせて見いだした、働き方を変革するポイントです(図2参照)。
NTTデータではワークインサイトの活用によって、生産性向上や離職率の低減などを図り、社員のエンゲージメントを向上させていきます。
図2:ワークインサイトの概要
受注案件の原価率が100%超となった案件
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