IPA/SEC設置システム再構築に関する共同検討会に参画
2016年4月14日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(代表取締役社長:岩本 敏男、以下:NTTデータ)は、独立行政法人情報処理推進機構/ソフトウェア高信頼化センター(理事長:富田 達夫、以下:IPA/SEC)が3月16日に設立した「システム構築上流工程強化部会」および同部会配下に設置される「モダナイゼーションWG(ワーキンググループ)」注1に創立メンバーとして参画します。
「システム構築上流工程強化部会」は、産学の有識者で構成され、システム構築の上流工程における課題やその解決に向けた方針の検討を目的としています。「モダナイゼーションWG」は、部会の配下で現行踏襲を前提とした結果問題に陥りやすいシステム再構築に、いかにアプローチすべきか具体的なプロセスを示すことを目指す検討チームであり、システム利用企業、ITベンダーで構成されます。
NTTデータは、これまで培ってきた金融機関や官公庁・自治体向けの大規模社会インフラシステム構築の知見や、長年の維持保守を経て内在したリスクに関する情報を、検討会を通じてシステム利用企業やITベンダーに共有し、安全かつ確実なシステム再構築(モダナイゼーション)に導くための標準的プロセスの確立に向けて取り組んでいきます。
背景
金融機関の勘定系システムや企業の販売・在庫管理システムなど、1990年代を中心にシステム構築が行われ、これまで長期間にわたり維持保守されてきた基幹系システムでは、度重なる追加開発によって、システムの肥大化・複雑化・属人化が進んでいます。これら課題を解決するため、現行システム資産を棚卸しし、新たなプラットフォーム上へ刷新する「システム再構築」を行う際には、現行システムが実現していた業務要件や性能、信頼性などといった"仕様"を把握し、新たなシステムに取り込んでいく必要があります。しかしながら、システム開発途中で、想定以上の仕様漏れが顕在化し、手戻りによる開発期間・コストの超過に繋がるケースが散見されています。
加えて、加速するビジネス環境の変化や、システムの総所有コスト(TCO)の低減に対応するため、長期に運用を続けてきた基幹系システムの再構築を求める企業は今後ますます増加することが見込まれており、いかに既存システムの仕様を把握し、滞りなくシステム再構築を実現するかが、情報システム業界全体の課題となっています。
NTTデータは、IPA/SECが立ち上げた、システム構築の上流工程における課題とその解決に向けた方針を検討する「システム構築上流工程強化部会」ならびにシステム利用企業、ITベンダーが連携してシステム再構築に関するガイドラインの策定を目指す「モダナイゼーションWG」に参画し、これら課題の解決に向けて業界一体となって解決を目指すことにしました。
参画の狙い
システム再構築のプロジェクトにおいて発生する各種問題については、特に上流工程と呼ばれるシステム開発の初期段階で、顧客企業とITベンダーとの間の認識齟齬や、双方の考慮漏れが大きな要因となると捉えています。
そのため本課題に対しては、システムを利用する立場である顧客企業と、ITベンダーの双方が連携してシステム開発上流工程において検討しなくてはならない内容を精査し合意するために、標準的なガイドラインの整備を業界をあげて実施することが不可欠であると判断し本検討会への参画を決定しました。
富士通株式会社との連携注2
富士通株式会社(代表取締役社長:田中 達也)とは、2015年より、システム再構築(モダナイゼーション)に係る共同研究を開始しており、これまでシステム再構築の難しさやアプローチ方法に関する検討を進めてきました。上記検討の成果を踏まえ、業界全体の活動とすべく、両社でIPA/SECに働きかけ、IPA/SECによるモダナイゼーションWGの設立に至りました。今後も、各種検討や成果物の作成等、両社で密接に連携し、共同で本WGを推進していきます。
当社の当該活動への関わり
当社は、モダナイゼーションWG設立に向けて主査を派遣し、IPA/SECと本WGの意義について認識を合わせた上で準備を進めてきました。今後は、上記検討を主体的にリードし、難易度の高いシステム再構築にいかにアプローチすべきかを示すことで、業界全体の発展に貢献していきます。
今後について
各社の持つシステム再構築に関する事例や知見を持ち寄り、陥りやすい課題や対策について順次検討し、2017年1月を目処にガイドラインを策定してホームページなどで公開し、その後他の関連団体への働きかけや書籍出版等を中心に普及展開を図っていく予定です。
注釈
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
技術革新統括本部
システム技術本部
生産技術部
ソフトウェア工学推進センタ
我妻、浜野
TEL:050-5546-8644