外為業務ASP「為替予約サービス」 自動レート・自動カバー機能を搭載
2015年6月30日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は2015年1月、360T TRADING NETWORKS(スリー・シックステイ・ティ・トレーディング・ネットワークス、本社:ドイツ・フランクフルト市、Group CEO:Carlo Koelzer、以下:360T社)と提携し、金融機関に提供する共同利用型外為業務インターネットバンキングサービス「外為業務ASPサービス」のメニューである「為替予約サービス」に、自動レート提示機能および自動カバー機能等を追加しました。これにより、金融機関は法人顧客との為替予約取引において、マーケットレートをもとにした通貨の自動レートを表示して為替予約取引を自動で約定注1することができるだけでなく、従来手動で実施してきたインターバンク注2のカバー取引注3を自動で締結することができます。
また、今回新たに追加された機能は、6月25日時点において、4つの金融機関にて採用されています。
NTTデータは、今後も外為業務ASPサービスの「為替予約サービス」を、2018年3月までに約40の金融機関へ導入することを目指します。
背景
NTTデータは、2004年より金融機関向けに外国送金や輸入信用状開設注4など、外国為替関連取引に特化した共同利用型インターネットバンキングサービス「外為業務ASPサービス」を提供しています。そのオプションサービスとして、将来の為替レートの変動リスクを回避するための為替予約取引である「為替予約サービス」を開発し、2013年10月より提供してきました。
昨今、金融機関において取引先企業の海外進出に伴い、ますます外国為替関連取引が増大する中、従来おもに電話連絡により実施してきた実勢相場による為替予約取引をWeb上で締結するニーズが高まっています。しかし、取引先企業の実勢相場による取引には、リアルタイムでの実勢相場情報を取得する必要があるだけでなく、取引先企業との取引に対するカバー取引が必要となり、Web上での取引を実現するには、金融機関にとって構築・運用にかかわるコスト負担が課題となっていました。
そこでNTTデータは、360T社と連携することで、「外為業務ASPサービス」のオプションメニュー「為替予約サービス」の機能を強化し、金融機関が低コストで取引先企業のニーズに対応できるASPサービスを実現しました。
概要(特長)
「為替予約サービス」は、為替レートの変動によって差損益が生じるリスクをヘッジするための取引で、将来の為替レートを現時点で決定して取引するサービスです。金融機関の取引先企業にとって、将来の為替レートの変動のリスクを負うことなく、現時点で金融機関と取引が確約できる点において、大きなメリットがあるサービスです。
外為業務ASPサービスと、360T社のTEX®マルチディーラー・トレーディング・システム(以下、TEX)およびI-TEX®イントラグループ・トレーディング・システム(以下、I-TEX)を接続し、為替予約サービスにおいて、リアルタイムのマーケットレートをもとにした通貨の自動レートを表示して為替予約取引を自動で約定することができます。また、従来手動で実施してきた金融機関におけるインターバンクのカバー取引を、自動で締結することができます。
今回の主な機能強化の内容は以下のとおりです。
- レートストリーミング表示
市場レートを基に、インディケーションレート注5(スポットレート)を取引先企業の画面にリアルタイムで表示します。
- 自動レート表示
取引先企業のレート照会に対して、マーケットレートおよび事前設定された顧客優遇幅等の情報を基に自動で取引先企業にレートを提示し、取引先企業の為替予約取引を約定します。
(通貨ごとの金額しきい値に応じて、手動・自動を設定することができます。)
- 自動カバー
取引先企業の為替予約の約定に合わせて、インターバンクのカバー取引を自動で締結します。
(通貨ごとの金額しきい値に応じて、手動・自動を設定することができます。)
- 自動リーブオーダー注6
取引先企業からのリーブオーダーを受け付け、インターバンクへ自動オーダーを実行します。
(インターバンクへのオーダーは、自動・手動を設定することができます。)
- 金融機関システムとのデータ連携
約定した取引や取引先企業ごとの優遇幅・与信残高等の情報は、金融機関システムとの間でデータ連携することで手動での登録が不要となります。
また、為替予約取引に関する残高、時価情報等、窓口取引を含む各種明細を、金融機関システムから外為業務ASPサービスに連携することで、取引先企業のWeb画面に表示することができます。
今後について
NTTデータは、今後も変化・増加し続ける金融機関および金融機関の取引先企業を取り巻く環境、ニーズに迅速に対応させるため、360T社と連携し、外為業務ASPサービスにおいて下記のような機能追加・連携強化を図る予定です。
- 1.外貨預金振替等にかかる実勢レートでの当日物取引対応
- 2.仕向送金注7時の実勢レートでの当日物取引対応、仕向送金への為替予約番号連携
- 3.輸出取引における代金支払い時の実勢相場対応
また、NTTデータおよび360T社は、国内金融機関のおよび国内金融機関の取引先企業の外国為替関連取引ニーズの実現に向けて、今後も外国為替関連サービスの検討を進めていく予定です。
参考
360T社について
360T社はドイツ、ニューヨーク、シンガポール、インド、ドバイに展開する企業で、独立系の取引プラットフォームにおいて、世界的に高い評価を得ています。その急成長により、店頭取引(OTC)の金融商品を対象としたウェブベースのトレーディングテクノロジーや統合ソリューション、関連サービスのプロバイダーとして、高い地位を誇っています。
360T®のバイサイドの顧客には、国内企業および多国籍企業の財務部や機関投資家(アセットマネージャー、ヘッジファンド、商品取引投資顧問)、ブローカー/ディーラー、銀行が名を連ねています。
TEXマルチディーラー・トレーディング・システム
360T社が世界的に展開するマルチバンク・ポータル・プラットフォームです。このプラットフォームを利用すれば、銀行やブローカー/ディーラー、企業の財務部、機関投資家は、自分が選択した流動性提供者を相手に、外国為替や短期金融商品、金利デリバティブやその他の店頭取引(OTC)金融商品を取引できます。TEXはストリーミング要求(RFS、Request for Stream)モードと取引執行可能ストリーミング価格(ESP、Executable-Streaming-Prices)モードでの取引執行をサポートしているほか、市場データをリアルタイムで画面表示するサービスも用意しています。
I-TEXイントラグループ・トレーディング・システム
360Tの顧客企業が限定されたユーザーグループを対象に、本格的な取引ソリューションを運営するためのシステムで、ストリーミング要求(RFS)による手動または自動の価格形成、即時実行可能なストリーミング価格(ESP)、そして複数の種類の指値注文に対応しています。直感的なロジックに基づいて設計されたこのシステムは、スプレッドおよびリミット管理のための自動価格設定エンジンを内蔵しているほか、システムを迅速に設置するためのプラグアンドプレイによるロールアウト機能を備えています。
I-TEXを活用すれば、リアルタイムの市場データフィードと100社を超える仲介金融機関を介した流動性管理サービスを通じて、外為業務ASP「為替予約サービス」利用中のお客さまにとって最も有利な価格にアクセスできます。
- 2013年10月8日ニュースリリース
外為業務ASP「為替予約サービス」を提供開始 - 2013年12月2日ニュースリリース
外為業務ASP「為替予約サービス」を福岡銀行・広島銀行が利用開始
注釈
- 注1約定とは、為替取引において、買い手側と売り手側との間で売買が成立することを言います。
- 注2インターバンクとは、外国為替市場における金融機関同士による為替取引を指します。
- 注3カバー取引とは、取引先企業に代わって負った為替リスクをヘッジするために、取引先企業から受け付けた取引と同じ取引を、金融機関等に為替注文する取引を指します。
- 注4輸入信用状開設とは、銀行が取引先企業の依頼に応じてその信用を保証するために証書を発行することを指します。
- 注5インディケーションレートとは、市場レートを基にした為替相場の参考レートを指します。
- 注6リーブオーダーとは、希望価格を指定して注文を出すことをいい、値段や有効期限など一定の条件が満たされた場合に売買が実行されるものです。
- 注7仕向送金とは、海外金融機関あてに電信送金することを言います。仕向送金を実行するためには、仕向元の金融機関から仕向先となる海外金融機関に対し、支払指図を発行して受取人に支払いを依頼します。
- 「AnserBizSOL」は、日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- 「360T」、「TEX」および「I-TEX」は360 Treasury Systems AGの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第二金融事業本部
八木原(やきわら)、有田、佐藤、井上
TEL:03-5484-4321