ソフトウエアライフサイクル全体のCO2排出量算定ルールを策定し、低炭素なソフトウェア関連ビジネス創出を推進
~調達・開発・運用・廃棄を対象とし、グリーン調達やScope3算定を実現~
トピックス
2026年3月26日
株式会社NTTデータグループ
株式会社NTTデータグループ(以下、NTTデータグループ)は、ソフトウエア分野の脱炭素化に向けた取り組みの一環として、日本環境倶楽部注1「ソフトウェア分野の脱炭素研究会」に参加し、ソフトウエア製品のライフサイクル全体を対象とするCO2排出量算定ルールを策定しました。注2,注3本算定ルールは、経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」注4に基づき、従来の算定ルールが対象としていた調達・開発段階に加え、運用・廃棄段階まで含むライフサイクル全体のCO2排出量の算定を可能にするものです。これにより、グリーン調達の推進や開発効率の向上を通じて、企業価値の向上に貢献します。今後、NTTグループ内外での本算定ルールの活用を通じて、サプライチェーン全体におけるCO2排出量の削減を推進していきます。
背景
AIの開発や活用が進むなかICT業界による環境負荷の増大リスクが高まっており、AI技術を支えるソフトウエアやデータセンターのサステナビリティに注目が集まっています。注5,注6ソフトウエアは、単体では物理的資源を消費しない一方で、クラウドやデータセンター、ネットワーク、ユーザー端末の利用を通じてエネルギー消費を間接的に増大させる要因となっており、ICT分野全体の環境負荷に影響を与えています。加えて近年、企業のScope3排出量開示に対する社会的要請が高まっており、ソフトウエア製品に起因するCO2排出量の開示は、調達評価や取引判断における重要な要素となっています。
こうした背景のもと2024年3月には、経済産業省が公募した「令和5年度GX促進に向けたカーボンフットプリントの製品別算定ルール策定支援事業」注7において、調達・開発段階までを算定対象としたCradle-to-Gate注8版の算定ルール(v1.0)を策定し、開発段階におけるCO2排出量評価の評価を可能にしました。しかし、ソフトウエア製品は開発後も長期間にわたって利用されることが一般的であるため、運用・廃棄を含むライフサイクル全体でのCO2排出量評価が課題となっていました。
図1:グリーンなソフトウエア調達・開発・運用の実現イメージ
成果
従来の算定ルールが対象としていた調達・開発段階に加え、運用・廃棄段階まで含むライフサイクル全体へと対象範囲を拡大した、Cradle-to-Grave注9版の算定ルールを策定しました。本ルールは、経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」に基づいており、調達・開発・運用・廃棄に伴うCO2排出量の算定を可能にするものです。これにより、ソフトウエアに起因するCO2排出量削減に向けた戦略策定や、サプライチェーン全体のグリーン化の検討・推進に貢献します。
図2:算定対象範囲を規定したソフトウエア製品のライフサイクルフローのイメージ
算定ルールのポイント
(1)ソフトウエア製品を対象とした、ライフサイクル全体のCO2排出量評価範囲を定義・体系化
従来、ソフトウエアに関するCO2排出量評価は、開発段階に限定した評価、またはICTサービス・システム全体を対象とする包括的な評価が一般的でした。本算定ルールでは、より緻密なCO2排出量評価の実現に向け、ICTサービス・システムを構成するソフトウエア製品そのものに着目し、調達・開発段階に加えて、運用および廃棄段階において考慮すべき排出源や算定プロセスを定義・体系化しました。これにより、ライフサイクル全体にわたる算定範囲を明確化しています。例えば、調達・開発・運用・廃棄の各段階における排出量をそれぞれ算定できるため、ある段階で排出量が相対的に大きいか、あるいは小さいかを把握し、ソフトウエア製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量を適切に評価できます。
(2)見積時のCO2排出量算定を実現
従来、見積時にソフトウエア運用時のCO2排出量を算定する場合には、開発金額を基準とした算定方法などを用いる必要があり、その結果は実際のCO2排出量と乖離(かいり)する場合がありました。本算定ルールでは、ソフトウエア運用時に発生する事象や排出源を定義・体系化することで、見積時におけるCO2排出量算定値の精度向上を実現しました。これにより、グリーンな製品の調達や設計段階での活用が可能になります。
(3)国内外での活用を見据えた、実務を重視した算定ルール
本算定ルールは、日本にとどまらず、グローバルなソフトウエア業界での活用を見据えて策定しました。ルールの検討・議論には、環境分野の専門家に加え、ソフトウエア開発に携わる技術者も参画しており、実務に即した内容となっています。
NTTデータグループの役割
NTTデータグループはITシステムのCO2排出量算定および削減技術の研究開発、C-turtle®などの排出量可視化プラットフォームの製品開発と事業展開、ならびにGreen Software Foundation注10やJEITA Green x Digitalコンソーシアム注11などの団体活動を通じて培ってきたCO2排出量の評価・算定に関する知見を提供してきました。これにより、本算定ルールの具体化に加え、国際標準との適合性、実用性の分析にも貢献しています。
今後の展開
日本環境倶楽部「ソフトウェア分野の脱炭素研究会」は本算定ルールに基づくソフトウエア製品のCO2排出量算定・開示・認証の普及を進め、ソフトウエア市場において環境性能を重視する市場の創出と環境性能を評価尺度に取り入れた入札制度の推進をめざします。また、本算定ルールをより広く活用される共通ルールとして定着させるため、国際標準化にも取り組んでいきます。
NTTデータグループとしては、、国外グループ会社と連携しながら社会実装およびグローバル展開を推進していき、本算定ルールの普及および国際標準化に貢献していきます。
注釈
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注1
特定非営利活動法人 日本環境倶楽部
地球環境問題を中心とした経済・社会課題解決を交流するための交流、研究、政策支援事業を行っている団体。環境・経済・社会に関する具体的なテーマについて研究会を設け議論を実施している。
https://www.kankyouclub.or.jp/ -
注2
策定したルールはLCA日本フォーラム(事務局:一般社団法人産業環境管理協会)にて掲示
https://lca-forum.org/member/guidelines.html#kubun1-1 -
注3
本算定ルールの初版は、第21回LCA日本フォーラム表彰において、「LCA日本フォーラム 会長賞」を受賞。
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2025/012800/ -
注4
経済産業省、環境省 カーボンフットプリント ガイドライン
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_footprint/pdf/20230526_3.pdf -
注5
Andrae, A.S.G and Elder, T. (2015) On Global Electricity Usage of Communication Technology: Trends to 2030. Challenges 2015, 6, pp. 117-157
https://www.mdpi.com/2078-1547/6/1/117 -
注6
International Energy Agency.(2025) Energy and AI World Energy Outlook Special Report. pp. 14
https://www.iea.org/reports/energy-and-ai -
注7
ソフトウエア製品に関するCO2排出量算定のルールとしては国内初
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/032900/ -
注8
Cradle-to-Gate
原材料調達、生産、流通、販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルで構成されるライフサイクルステージのうち、原材料調達から生産までを意味する。 -
注9
Cradle-to-Grave
ライフサイクルステージすべてを意味する。 -
注10
Green Software Foundation
https://greensoftware.foundation/ -
注11
JEITA Green x Digitalコンソーシアム
https://www.gxdc.jp/
- C-Turtleは日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
取り組み全般に関するお問い合わせ
株式会社NTTデータグループ
グループ経営企画統括本部
サステナビリティ経営推進本部
Sustainability Business Office
築島、立開、江田
E-mail:climate_proper@kits.nttdata.co.jp
技術的な内容に関するお問い合わせ
株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
Innovation技術部
IOWN推進室
小林、井村
E-mail:green-innovation@kits.nttdata.co.jp