運用人財にとってキャリアの転機になる専門組織の発足
2023年10月、NTTデータの法人分野において、システム運用に特化した専門組織であるマネージドサービスユニットが誕生しました。ユニット長の細田は、組織設立の背景を次のように語ります。
2023年4月に法人分野で大規模な組織再編があり、お客様軸で分かれていた組織から、インダストリ軸の組織へ移行しました。そして10月には次のステップとして、専門性で切り分けたプロフェッショナルグループが発足。各組織に分散していた運用のプロフェッショナルを集約し、専門性を高めることでお客様への提供価値を最大化しようと、このユニットが設立されたのです。
なぜ、運用に特化した専門組織が必要なのでしょうか。細田によると、NTTデータにとって、システムの企画・開発から運用までを一気通貫で担えることが大きな強みでした。しかし従来の組織体制では、運用のメンバーは各組織に分散しており、知見が十分に集約されていないという課題がありました。また、システム安定稼働を下支えする業務の性質上、目立つ機会が少ない点にも細田は課題意識を持っていたといいます。
運用は、安定稼働が当たり前で、何か問題が起きた時にだけ注目されます。そんな環境では、運用のプロを目指す人財が育ちにくいという課題感がありました。実際、将来のキャリアに不安を覚える方の話も耳にしていました。
開発担当として運用業務に長年携わってきた池田も、細田の言葉に深く頷きます。池田は、マネージドサービスユニット発足の話を最初に聞いた時、「驚きを隠せなかった」と振り返ります。
運用という専門性がこれほどフォーカスされる日が来るとは思っていませんでした。業界内で「マネージドサービス」という言葉を掲げる企業は増えてきていたものの、実際に専門組織を設けている会社は、私が知る限りではありませんでした。運用特化の専門組織が生まれ、自分たちのミッションが明確になったことは、運用に携わる人財にとって大きな転機になると感じました。
市場の変化も専門組織の設立を後押ししました。かつては安定稼働とコスト削減が主眼だった運用ですが、近年はシステムに蓄積されたデータを分析し、ビジネス改善につなげたいという顧客ニーズが高まっています。そうすると、必然的に運用のプライオリティも上がってきます。期待を込めて、細田は語ります。
お客様のビジネスにとって、システムがなくてはならないものになった今、データを正しく管理・活用する運用の重要性は増すばかりです。ServiceNowのような運用管理ツールも登場しており、ただシステムを守るだけでなく、データを活用して価値を創造する“攻め”の運用が求められる時代になったのです。
個の力を結集し、組織の力へ。運用にまつわる固定概念を変えていく
マネージドサービスユニットが掲げるミッションは大きく3つあります。「圧倒的な運用品質・生産性による顧客価値提供の最大化」「運用ビジネススキームの最適化による原価低減・利益向上」、そして「運用人財の高度化・キャリアマップ策定によるエンゲージメント向上」です。
特に同組織が重視するのは、「圧倒的な運用品質・生産性による顧客価値提供の最大化」。これまで個別最適化されてきた運用ノウハウを集約し、標準化することで、より高品質なサービスを、より多くのお客様に提供したいというのが、細田の考えです。
今や運用は「守る」だけの仕事ではなく、お客様のビジネスを変革するための源泉になりうるものです。近年では、生成AIをマネージドサービスに取り入れることで、運用業務のさらなる自動化や高度化も可能になってきています。
運用全体のレベルを底上げすることは、お客様にとっても、NTTデータにとってもメリットの大きい取り組みです。組織が発足して約2年が経った今、現場を率いる池田は、組織化の手応えを感じています。
運用は開発に比べて人数が少なくなりがちです。チーム外とのつながりを持つ機会は多いと言えず、他案件を担当する運用メンバーと意見を交換する場はほとんどありませんでした。しかし、組織化したことにより、メンバー同士が顔を合わせる機会が増え、情報共有が活発になりました。他のプロジェクトのやり方を知ることで新たな発見があったり、ノウハウの連携もスムーズになったりと、今までになかった化学反応が起こっています。一人で抱え込まず、チームで課題解決にあたる文化が醸成されつつあると感じますね。
組織が進化した分、対峙する課題のレベル感も変わってきました。現在の最大の障壁は、「運用」という業務に対する固定概念だといいます。
運用は、安定稼働が大きなミッションです。新しいサービスを提案しても、「今までのやり方で問題は起きていないのだから、変える必要はない」という反応をいただくことも少なくありません。変革にはパワーが必要です。まずは私たちの考えに共感してくれるお客様や部署と連携し、成功実績を積み重ねていくことが重要だと考えています。
困難な挑戦ではありますが、細田たちの表情は輝いています。細田は自身のモチベーションをこう語ります。
新しい技術に触れ、業界が変わっていくのを目の当たりにできるのが、この仕事の醍醐味です。マネージドサービスユニットという新しい環境で、これまでできなかった運用の高度化に挑戦できます。その環境を自らつくっていけることに、私自身、大きなやりがいを感じています。
池田もまた、現在の仕事に「クリエイティブ」な楽しさを見出しているといいます。
新しい情報が集まり、多様な専門性を持つ人たちと議論しながら、まだ誰も見たことのない「答え」を探していきます。描いていたものが少しずつ形になっていく過程は、純粋に楽しいですね。
培ったスキルは”変革の起爆剤”になる。キャリアに新たな可能性を
マネージドサービスユニットが目指すのは、運用のプロフェッショナルが自発的・協調的に新しい価値を生み出していく組織です。細田は、理想の組織文化を次のように語ります。
私が常々思っているのは、業界全体が変わっていく中で、自分たちも変わっていかなければならないということです。メンバーたちには、新しいことに挑戦を続ける気持ちを持っていてほしいと思います。誰かが新しい提案をした時、「面白そうだから一緒にやろう」という声が自然と上がるような組織が理想ですし、実際、そのような組織になってきていますね。
池田も、運用にまつわる「地味」なイメージを払拭したい、と力を込めます。
新しい技術に挑戦し、お客様の課題を解決する。その成功体験を通じて、メンバー一人ひとりが達成感を得られる機会を増やしていきたいですね。運用の仕事は、もっとクリエイティブで面白いのだということを、組織全体で証明していきたいです。
従来の運用の枠を超えて、挑戦を続ける組織へ。そのような組織で働くことで、運用に携わる人財もこれまでとは違う成長が実現できるようになるでしょう。池田は次のように語ります。
マネージドサービスユニットでは、従来のように運用の専門性を深められるのはもちろん、生成AIなどの最新技術を活用して、運用のあり方をドラスティックに変えていく経験もできます。いわば、自分たちの手で新しい「運用のスタンダード」をつくっていく仕事です。この開拓者としての日々は、必ずや大きな成長につながるはずです。
そんな彼らが、これから仲間になる人に期待することはなんでしょうか。細田は「多様性」を述べました。
NTTデータは多様なお客様のビジネスを支えていますが、まだ私たちがリーチできていない業界やお客様も存在します。様々なバックグラウンドを持つ方が加わり、多様な知見が交わることで、私たちのサービスはさらに進化できるはずです。
池田は、特に運用経験者に対して「自分の価値に気づいてほしい」とメッセージを送ります。
運用経験者の中には、自身のことを控えめに評価される方が少なくありません。しかし、現場で培われた経験や専門性は、何物にも代えがたい貴重な財産です。自分が当たり前だと思っている知識やスキルが、私たちの組織に新しい風を吹き込み、変革の起爆剤になるかもしれません。
運用に携わってきた方が、自身の将来を見据えてさらなるステップアップをしようという時に、マネージドサービスユニットは格好の舞台になるはずです。
運用という仕事の、新しい価値の創造へ。そして仲間と協調しながら、お互いを高め合い、お客様に対してこれまで以上の価値を提供する。マネージドサービスユニットには、そんな情熱を持った仲間たちが待っています。


