システム運用の戦略拠点として、あらゆる業界・顧客のプロジェクトを支える
――マネージドサービスユニットは、どのような役割を担う組織なのでしょうか?
青木
システム運用の専門組織として2023年に発足しました。担当顧客のシステムを安定して運用するのはもちろんですが、そこで培った知見やノウハウ、新しい仕組みを活かして、運用の標準化や高度化をリードし、業界・顧客を越えて価値を提供していくことがミッションです。
森本
NTTデータに点在する知見・ノウハウを集約して、標準化したアセットとして活用できれば、より効率的に課題を解決できるんじゃないか。例えば、運用設計ガイドラインを整備するなど、標準化に対するアプローチの仕方は多種多様です。このように知見・ノウハウを上手く活用することで、さまざまな業界・顧客のシステム運用に対して、業務効率や品質水準を高めていく役割を担っています。
――マネージドサービスユニットの発足前後で、職場環境の変化はありましたか?
小原
これまでは自分が担当するプロジェクト以外は状況が見えていなくて、他の運用チームと話す機会もありませんでした。そのため、初めての課題に直面したときは手探りで進める大変さがありました。
河合
当時は自分の悩みが固有の事象なのか、共通の事象なのか判別できなかったですよね?
森本
まさにそう。そんな状態だと、どうにか自分の力で解決しないといけないって気持ちが強くて。連絡手段はあったんですが、求めている答えを誰が持っているのかが分からず、相談も気軽にできなかったんです。
小原
相談する際も、その範囲は同じ顧客の関係者間に限定されていたと思います。それがマネージドサービスユニットに異動してから、さまざまな業界・顧客の運用チームと情報を交換するようになって、モヤモヤしたときもすぐ解消できるようになりました。
森本
それぞれの強みが明確になって、相談しやすくなったのが大きかったですね。
河合
システムの稼働年数によって求められることが変わってくるので、自分たちよりも早いタイミングで同じ課題に突き当たった運用チームもいるんですよね。そのとき、どのように試行錯誤して課題を乗り越えたのかというリアルな経験談を聞けるので非常に参考になります。
青木
昔は企業ごとに独自のシステムを利用することが一般的だったので、私たちのなかでも「他のプロジェクトの知見・ノウハウは転用できない」と思い込んでいたのかもしれません。でも、クラウドサービスの台頭などで課題が共通することが多くなり、他のプロジェクトで得た知見・ノウハウを活かせるシーンが増えてきました。そして、マネージドサービスユニットが誕生したことで、今までプロジェクト内に閉じていた知見・ノウハウを共有する機会が増え、それが結果的に課題解決のスピードを高めることにもつながっていると思います。
――知見やノウハウの共有は、具体的にどのように行っていますか?
青木
隔週で情報共有会を開催しています。運用チームごとにトラブルの事象や原因、具体的な対処方法を共有する「明日は我が身」の取り組みや、運用標準化、生成AIの取り組み状況など共有されるテーマは多岐にわたります。
河合
「明日は我が身」と言われて最初はピンとこなかったんですが、同じ運用工程に関わるエンジニアだからこそ共感できる内容も多いんですよね。「うちのチーム、この対策できていないな」と思うと、本当に明日は我が身だと感じます。
森本
共感できるからこそ、最悪の展開もイメージできるので身が引き締まりますね。
小原
決して他人事じゃないので、危機感がありますよね。私も気をつけようって、意識を切り替えるきっかけになっていますし、それが結果的にリスク回避につながっていると思います。
――蓄積した知見やノウハウは、あらゆるプロジェクトに還元されていくと思います。この介在価値について、皆さんはどのように感じていますか?
青木
特殊部隊みたいな感じだよね。
森本
確かに、そんな一面はあります。ときには運用のフォロー役としてプロジェクトを支援することもあって、自分たちが関与することで効率や品質が改善されて、運用チームのやれることが増えています。
小原
業界・顧客を横断することで、意識も変わってきたと思います。これまでは担当顧客に意識が集中していましたが、今はNTTデータとしてどんな価値を生み出していけるかという、より広い視野をもって仕事のことを考えられるようになっています。
河合
キャリアの観点では、活躍のフィールドが大きく広がったことはプラスだと思います。システム運用は数年経つと安定期に入り、新鮮さが少しずつ失われ、キャリアが閉塞してくような感覚が増していきます。それが不安材料となり、モチベーションを保てなくなるエンジニアも多いです。でも、今は色々なプロジェクトに関与していくことで、良い刺激を得られています。何より、自分自身の将来に対して希望を持てるようになったのが嬉しいです。
運用の本質的な価値は、ビジネス課題を見抜くこと
――知見・ノウハウをプロジェクトに還元していくため、具体的に取り組んでいることを教えてください。
青木
システム運用面から上流工程に働きかけられるのが、マネージドサービスユニット最大の強みです。ビジネス課題解決の検討や、システム更改に向けたコンサルフェーズでも、価値あるソリューションを導き出すには運用ならではの目線が欠かせません。運用で蓄積された知見を、実現可能性の高い提案に活かせることが、マネージドサービスユニットならではの醍醐味と言えます。
小原
システムにおける一番の理解者は運用チームです。なぜなら、関与期間が長いから。システムの構造だけでなく、実際の使い方や業務の動き方が見えているので、課題の発見や原因究明が上流工程に活きています。
森本
このシステムに対する深い理解力を武器に、私たちは上流工程に進出して、お客様に直接改善の提案を行っています。お客様が今まさに直面している課題を的確に捉えられるため、提案に対する納得感も高いのではないでしょうか。
小原
常日頃からお客様と密にやり取りをしているからこそ、「こういうことをしたいんだけど、どうしたら良い?」という悩みも真っ先にご相談いただいています。そういう意味ではお客様との接点は営業担当より多く、NTTデータで第一想起されるのは私たちなんだという自覚をもって対応しています。
――これまでの改善提案事例は、どのようなものがありますか?
森本
例えば、性能改善だけでなく、UI/UXの観点から画面の表示情報や挙動を見直し、より使いやすい状態を目指していくための提案をしたことがあります。課題の緊急性・重要性を踏まえながら、お客様のビジネスにどのような価値を生み出せるのかが提案における腕の見せ所です。
河合
私は「業務部門に難しい要望を投げかけられてしまって、どうにか実現する手立てはないか」と、お客様のIT部門からご相談いただいたことがあります。そのときは追加開発に予算を投じることが難しく、運用面でどうにかカバーする必要がありました。そこでマネージドサービスユニットの知見・ノウハウを活用して、新しい運用方法を確立しました。無事に業務部門の要望を叶えられたときは、お客様のIT部門と一緒にガッツポーズしましたね。
小原
システム改修せずに運用で解決したいというのは、よくあるご相談ですね。お客様業務を知っているからこそ期待いただいているのだと思います。
青木
難易度は高いけど、お客様にとっての最高のパートナーになるためには、気軽に頼られる存在でありたい。だからこそ、ユニット内に運用の知見・ノウハウを蓄積して、お客様に提示できる選択肢を増やしているんです。
――上流工程に働きかけていくことは、これまでの運用業務とはまた違いますか?
小原
従来の運用業務は、いわば時間との戦い。日々のタスクをやり切ることに難しさがあり、またそれ自体に価値があります。一方で、上流工程では運用業務で得た知見をもとに、いかにプラスアルファの価値を生み出せるかが難しさであり、重要なポイントだと考えています。皆さんはどうですか?
河合
提案活動で視野が広がったことで、お客様の要望を盲目的に実行しないことが大切だと改めて感じました。お客様の要望通りの改善が、必ずしも最善策であるとは限らないからです。
小原
分かります。お客様ファーストの本質に気づいたというか。一緒に目的や手段を整理していくと、別のやり方のほうが合っているケースもありますね。
森本
そういったことも、色々な業界・顧客のシステム運用を支援しないと気づけなかったかもしれませんね。上流工程への働きかけは大変なことも多いですが、運用業務で培った経験が活かせているので、チャレンジを楽しめている感覚があります。
――新しい領域に進出してみて、仕事に楽しさを感じる瞬間はありますか?
森本
新しい仕組みをつくっているときが楽しいです。運用チームがゼロから新しいものを創り出すというのは、かなり珍しいことだと思うんですよね。そこに取り組める楽しさはもちろん、仕組みが出来上がったときの達成感も大きいです。
河合
運用担当として関わっているプロジェクトと、マネージドサービスユニットとして関わるプロジェクト、この両方を兼務できることも良いです。マネージドサービスユニットで得た気づきや発見をもとに、自分の担当プロジェクトにどう活かせるだろうと考えるのが楽しくて。これは1社のシステム運用を専任でやっていたころには味わえなかったものです。
小原
お客様にとっては、どれだけ優れた機能が揃っていても使いこなせなければ意味がありません。開発段階から、どのように運用されるかを想定することが重要です。トラブルを未然に防ぎながら、かつお客様満足度を高める。マネージドサービスユニットの介在価値は非常に大きいと感じますね。
青木
開発と運用は関与の仕方が違うので、考え方も変わってきます。別々のものとして切り離して考えがちですが、運用の経験が開発に活かせるシチュエーションは沢山あるんです。マネージドサービスユニットができたことで、それを証明する機会が増え、成果につながり、頼られる場面はますます増えています。そう考えると、活躍のフィールドはもっと広げていけるので、どこまでいけるのか楽しみですね。
運用のキャリアに限界はない。広がり続けるフィールドが、成長を後押しする
――運用のモダナイズ・高度化に向けて、生成AIの活用にも注力していると思います。主な活用内容について教えてください。
青木
PoCとして取り組んでいるのは、問い合わせ対応の効率化です。現在は設計書や業務仕様、過去の問い合わせ回答結果を参考に、どのように回答すべきかを人力で対応しています。この人間の思考プロセスを踏まえて、生成AIで適切な回答を出力するための仕組みを開発しています。
――現状にはどのような課題があり、またそれがどのように解決されるのでしょうか?
小原
これまでは設計書や過去の問い合わせ内容など、確認すべき項目が無数にあって、回答までのリードタイムが長くなっていました。このシステムでは問い合わせ内容を生成AIに渡すと自動的にインプット情報を確認し、回答を出力するため、ファクトチェックのみで対応が完結します。これにより、リードタイムの大幅な短縮が期待されています。
森本
AI活用を極めていくと、ゆくゆくは問い合わせ対応が完全に人間から手離れするという未来も見えてくるかもしれません。
――そのように業務が着実に効率化されていくと、お客様の期待値も高まってきそうですね。
青木
そうですね。特に生成AIやクラウドはお客様がご自身で導入しているケースも多いです。より最適な使い方を求めていて、私たちはそのニーズに対して確かな価値を提供しないといけません。
河合
そのためにも、常に新しい技術を先行的に試していって、運用に対してどのように適用するかを考えています。
青木
新しい技術の活用って、お客様からの期待も大きいよね?
森本
はい。NTTデータなら現状に甘んじず、プラスの価値を生み出してくれるだろうという期待は感じています。プレッシャーでもありますが、長年の信頼関係があるからご期待いただけることだと思いますね。
河合
「生成AIを入れてみよう」とご相談いただくケースもありますが、運用や業務の実態を踏まえると、生成AIを入れることが最適解じゃないこともあります。お客様が生成AIに対して過度な期待感を持たれているケースがあるので、今のトレンドに流されず、実態に即した選択肢をご提示することが重要です。
小原
私たちも従来のやり方にとらわれず、あるべき姿を目指しながら、常に新しい仕組みを模索しています。生成AIの技術を知っているエンジニアは世の中に沢山いるので、運用や業務とかけ合わせて価値を高めていくことが、私たちに求められていると考えています。
――常に未来を見据えているんですね。今後のエンジニア人生を考えたとき、どのような人財に成長していきたいと考えていますか?
森本
運用設計の有識者として、自分の知見やノウハウを誰もが手軽に吸収できるものにしたいと考えています。それができれば、きっと商習慣の違いや業界の垣根を越えて、NTTデータとしてより新しい価値を創造しやすい環境をつくれるはずだからです。もちろん、現場の経験則を再現性のあるテクニックに昇華することは簡単ではありません。だからこそ、先駆者としてそれを成し遂げたい。価値創造を支える一本の芯をつくれたら良いなと考えています。
河合
私は運用で困ったときに第一想起される人財を目指しています。今は他のプロジェクトの知見・ノウハウを借りて、自分自身の担当プロジェクトで効率的な支援を実践していますが、そこで得た成功体験をもとに他のプロジェクトにも還元していきたいと考えています。成功体験の還元を積み重ねていくことで、将来像にも着実に近づいていくと思います。
青木
生成AIの他にもさまざまな技術テーマがあるので、その第一人者として色々なメンバーが台頭していくと、組織としても強くなると思います。新しい仕組みをつくる機会も増えているので、どんどんチャレンジしていってほしいですね。
小原
私はパートナーとして、お客様にこれまで以上に信頼される存在に成長したいです。お客様の真の理解者として、ビジネスを通じて目指されている世界観を適切に把握して、その実現をシステム運用から後押ししていく。そのためにはお客様の業務内容の把握やシステム・技術への理解を深めていく必要があるので、まずは日々の研鑽を積んでいきます。
青木
私は今の延長線ではなく、数年後のビジネス環境なども踏まえて常に先手を打っていき、お客様への価値提供をリードしていく存在を目指しています。例えば生成AIの活用が当たり前になったとき、お客様のビジネスモデルがどのように変化しているのか。そのように未来志向で物事を考えながら、今すべきことを見極めてきたいですね。
――最後に、「これだけは伝えたい」というNTTデータならではの魅力を教えてください。
青木
運用でエンジニアが悩みやすいキャリアの閉塞感は解消されていると思います。NTTデータ内の組織を横断して、あらゆる業界・顧客のプロジェクトを支援できますし、運用の高度化・モダナイズなどにチャレンジする機会も豊富にあります。やりたいことを積極的に後押しする社風なので、今までやってきたことを活かしながらプラスアルファの価値を突き詰めたい方にとって、NTTデータは魅力的な職場だと思いますよ。
小原
一人ひとりのキャリアにきちんと向き合ってくれるので、孤独感がないですよね。システム運用以外にも多種多様なプロジェクトがあるので、運用に特化しない選択肢もあり、キャリア形成の柔軟性が高いと思います。
河合
運用はできることが当たり前で、100点を出しただけでは褒められません。そのため、自分の経験には価値がないと思いがちです。でも、意外と他のプロジェクトに転用できる成功体験が多い。それを知ったのは、マネージドサービスユニットに異動した後でした。これまでの経験って、実は価値があるんだと知れることで自己肯定感も高まるので、キャリアの閉塞感に悩まされている方はぜひ一度NTTデータの職場を体験してほしいと思います。
森本
自分の実体験を横展開していく機会ってなかなかありませんし、それを実感できることは貴重だと思います。上流工程にも進出していけるので、より広い視野をもってシステム運用のあるべき姿を考えていけることが、NTTデータならではの魅力です。


