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お客様への価値提供にこだわる姿勢が、データサイエンスの進化につながっていく

AIやデータ分析に関する技術は目覚ましい進化を遂げており、作業効率を高めるライブラリの整備なども進んできました。そして、世の中のAIに対する認識も徐々に変化。以前は「何でも解決できる技術」「未来的で面白いことができそう」といった漠然とした期待が寄せられていましたが、昨今は膨大なデータから貴重な洞察を導くテクノロジーとして、ビジネスニーズも具体的になってきています。このような中で重要性が高まっているのが、データサイエンスです。Data&Intelligence事業部でデータサイエンティストとして、お客様の課題と要望に真摯に向き合い続ける石田武が、NTTデータならではの強みややりがいを語ります。

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AIモデルを提供して終わりではなく、お客様の業務に組み込むことにこだわりたい

石田が所属するData & Intelligence事業部のミッションは、AI・データ活用などのテクノロジーを起点に、お客様のビジネスに成功をもたらす「デジタルサクセス®」を実現すること。公共・金融・法人などあらゆる業界のお客様を対象に、企業のデータ活用に関するコンサルティングからデータ分析、ソリューション提供/基盤構築、運用支援までワンストップで手掛けています。

そのような中で、Data&Intelligence事業部が発足する以前からデータ分析に携わってきた石田は、「AIモデルを提供して終わりではなく、実際にお客様に活用していただく」ことを特に重視していると言います。

当社のデータサイエンティストは、「コンサルティング」の意識を持って動いていると思います。理由はいくつかありますが、例えば技術面で言えばデータ分析の作業は効率化が進み、同質化されていく傾向にあります。

では、何が価値提供のポイントになるのか?というと、部署内のコンサルタントらと密に連携しながら、お客様のお悩みを徹底的にヒアリングして、どういった技術をどのように組み合わせれば課題解決できるのかをデザインすること。そして、ビジネスインパクトの大きさや現場業務への影響まで目を配りながら、実際のデリバリまで行っていくことが重要だと考えているのです。

現在、石田は主に保険業界のお客様を担当し、プロジェクトリーダーを務めています。もともと保険業界は保険料率や支払保険金額の算定などの数理業務が必須であり、データサイエンスの活用も早い段階から進んでいました。さらに近年では、営業活動の業務効率化や被保険者のニーズ変化に関する予測分析をはじめ、新たな保険商品やサービスの創出、顧客体験の向上など、さまざまな面でAI技術やデータ分析の導入が推進されています。

このような中でData&Intelligence事業部では、長年にわたって蓄積してきた様々な業界のデータ分析・活用ノウハウをオンライン/オフラインの両面で組織内に共有。ケーススタディによるスキルアップを通して、案件をより高度かつ円滑に進められる体制を整えています。さらに石田は、「同じ組織の中で開発チームも完備している点も大きな強み」だと胸を張ります。

エンジニアと気軽にコミュニケーションが取れることで、「実際にデータサイエンスプログラムをお客様に使ってもらう」「ビジネスの現場に実装する」というフェーズまで面倒を見ることができます。運用における成果や改善点も共有してもらえますし、責任を持って最後まで追えると我々も頑張りがいがあります。

業務の現場にこそ、データサイエンスのヒントが落ちている

データサイエンスを通して、お客様への本質的な価値提供にこだわる石田。お客様の業務フローや課題への理解を深めるために、可能な限りビジネスの現場に足を運び、時には業務体験を志願することもあります。

現場見学や業務体験をしてみると、我々が机上で考えていたものとはまったく違う景色が広がっていることがあります。そうした経験を通して本質的なボトルネックがどこにあるのか見えてきたり、現場の方の創意工夫が分析モデルの精度を高めるヒントになったりと、得られるものが無数にある。ですから、そこは手間暇をかけるべきだと考えていますし、他のメンバにも推奨しています。

このようにお客様と向き合うために労を惜しまない一方で、石田はデータサイエンスの土台となる応用数学や統計学への探求心や好奇心も人一倍強い人物。「趣味は数学。若手の頃は美しい数式を求めて論文を読み漁っていました」と笑い、現在の業務においても分析アプローチや分析モデルを工夫して、人の思考を再現するような難しいテーマに取り組むことがひとつのやりがいだと、熱く語ります。

例えばECサイトなどで利用されている一般的なレコメンドモデルと、店舗スタッフの方の接客を比較すると、実は人間ってすごく難しいことを当たり前にこなしているんです。そのギャップを埋めようとすると、既存の分析モデルの組み合わせでは間に合わず、ハンドメイドでロジックから構築しないといけません。人によっては大変だからやりたくないとなるかもしれませんが、私はそういう業務こそ面白いなと燃えるタイプなんです。

実際、石田がこれまでに担当した案件では、お客様の課題・要望・その後の運用などを踏まえた上で、自らさまざまな論文を調査。既存技術だけで解決しようとせず、新たな分析モデルを見出し、提案・実装したことが幾度もあります。そして、その成果が特許の出願につながったケースもあるのです。

もちろん予算やスケジュールの兼ね合いもありますが、DX推進や事業変革への熱意が高いお客様に「一緒に挑戦してみましょう」と手を取っていただける機会は少なくありません。裁量の大きい職場なので、自分次第でこういった技術的な深みを追求できるのも当社ならではの醍醐味だと思います。

お客様に喜ばれた原体験が、テクニカル・グレードのキャリアパスに

現在の石田を語る上で、外すことのできない体験があります。それは入社3年目に、開発エンジニアとして参画したある大手小売企業のDWH(データウェアハウス)構築案件での出来事でした。先方からの要望はただひとつ、「データ集計の速度を向上したい」というもの。当時はまだビッグデータ分析の黎明期。AI技術はおろか、1日分のPOSデータを処理するだけでも実行に丸1日かかり、最悪の場合は何時間も待った結果、プログラムが処理落ちしてしまうこともありました。

この課題解決のために、石田は同僚と一致団結し、データモデルやDB設計に工夫を施した新たな情報分析システムを構築。さまざまな問題を乗り越え、実行指示からたった数分で処理が完了するまでに高速化を実現します。

集計できないということは、「分析を全くしていない」とほぼ同義ですから、お客様は処理速度の改善を経営課題に等しい問題として捉えていました。そうした背景もあり、新たなDWHをお披露目した時には「やった!」「今までの何百倍も速い!」と歓声が上がるほど大喜びしていただけたんです。思わず私もうれしくなりましたし、お客様が心から感動されている姿は、私の価値観に大きな影響を与えてくれました。

この原体験をきっかけに、石田はお客様への価値提供や技術追求へのこだわりを強くしていきました。また、データ分析に対する需要と期待の高まりを肌で感じたことが、その後のデータサイエンティストとしてのキャリア形成にもつながっていきます。

そして2022年秋。石田は、高い専門性を持つスペシャリスト人財の活躍と成長を加速させるキャリアパス「テクニカル・グレード(TG)制度」の適用者となりました。今後はこれまで以上にデータサイエンスの技術と可能性を探求し、お客様への価値提供の最大化を目指します。

今後はより一層、新たなテクノロジーのリサーチや提案にも力を入れていきたいと思っています。そして得られた知見を活かして「実際の業務で活用されるAIの開発」「AIの企業実装」を推進していきたいです。

とはいえ技術ありきではなく、お客様の課題に向き合うコンサルティング思考が重要だという考えは変わりません。これから入社してくる人財についても、やはりお客様起点の発想を大切にできる方と一緒に働けたらうれしいですね。

データサイエンスのスペシャリストとして石田が臨む、新たな挑戦。その道のりはいつか、AIやデータ分析の未来を切り拓き、数多のお客様が歓声をあげるような革新的な成果へとたどり着くかもしれません。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです