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IT業界に欠かせないデータセンターが求める、外部で培った“電気技術”とは

NTTデータが保有する土地や建物、設備を事業主体とするファシリティマネジメント事業部。西日本ファシリティマネジメント担当は、東海以西のデータセンターを中心とした資産を活用し、お客様に信頼性の高いデータ通信拠点を提供することがミッションです。IT業界の中枢を担うデータセンターですが、それを支えるメンバーの中には、別業種で培った電気や建築の技術を活かした元プラントエンジニアも活躍しています。今回は、大阪市内に位置する、交通利便性に優れた都市型データセンターであるNTTDATA堂島データセンターを支える3名にお話を聞きました。

目次

Profileこの記事に登場する人

公共・金融・法人に広がるNTTデータのお客様。その情報を守る重要施設

――NTTデータのファシリティマネジメント事業部がどのような役割を担っているのか教えてください。

福本

私たちはNTTデータの建物や土地といった「ファシリティ=資産」をターゲットに置いたマネジメント事業を行っている事業部です。社員が働くオフィスといったファシリティを扱う部門はさまざまな会社にありますが、NTTデータの場合はデータセンターという資産を持っていることが非常に特徴的です。

データセンターには各業界のお客様からお預かりした大切な情報システムが詰まっています。そこで求められるのは高い信頼性です。24時間365日止めることが許されないミッションクリティカルなシステムを、万全な状態で提供できる。その根幹を支えているのが、安心安全なデータセンターなのです。停電をさせないために発電機や蓄電池など電力的な工夫も施されており、その安定運営には、電力・建築の技術が不可欠です。

――データセンターという重要な施設に関わることが、ファシリティマネジメント事業部の大きな特徴なのですね。

福本

はい。西日本ファシリティマネジメント担当は、東海地方のNTTDATA伏見データセンター、NTTDATA葵データセンター、関西地方のNTTDATA堂島データセンター、中国地方のNTTDATA比治山データセンター、九州地方のNTTDATA博多データセンターを所掌し、それらのデータセンターの運営を行っています。

――近年、データセンターを利用したいお客様が増えていると伺いました。どういった背景があるのでしょうか?

福本

これまでのオンプレミスで運用するシステムの需要に加えて、クラウドで運用するシステムの需要が伸びていることも一因ですね。一般にイメージされるパブリッククラウドという開かれたサービスだけでなく、私たちがターゲットにしているのはセキュアで品質が求められるプライベートクラウド(※1)です。

信頼性の高いデータセンターを運用してきたノウハウを生かし、昨年11月には全国の金融機関が共同利用する統合バンキングクラウドを立ち上げるとの報道発表をしています。「クラウドの利便性とオンプレミス同等の信頼性」を両立できることが求められており、NTTデータならばそれが実現できると評価いただいています。金融機関に限らずパブリッククラウドよりもセキュアなサービスとして求められていくと考えています。

※1 組織内に専用のネットワークやサーバーを構築し、高いセキュリティとカスタマイズ性、利便性を両立したクラウドサービスの形態。

――利便性とセキュリティの両立が実現できるサービスは、今後の業界のトレンドと言えそうですね。ほかにもデータセンターに求められる付加価値はあるのでしょうか。

福本

脱炭素という社会的な課題についても、NTTグループ全体で取り組みを宣言しています。データセンター事業は大量の電力を使うため、担う部分は大きくあります。信頼性の高いデータセンターを運用しながら、どれだけ消費電力を削減できるかという課題に対して、液浸冷却による実証実験や、AI制御を取り入れた効率的な空調システムなど、実効的な施策に取り組んでいます。

そうした未来に続く新しいファシリティの姿を模索し実現していくことができることも、私たちの組織の特徴です。

技術を起点に“経営視点”を身に付け、市場価値の高いキャリアを

――NTTDATA堂島データセンターが重要な拠点である一方、現在は人財の採用が急務になっていると伺っています。

大澤

背景のひとつとしては、NTTデータのお客様が広がり、さまざまなニーズが生まれていることがあります。「品質とコストを両立し、バランスをとった最適な運用がしたい」など、ご要望が多様化する中で、これまでのNTTデータで活躍してきたメンバーだけでなく、まったく別の領域で経験してきた新しいメンバーに技術的な知見を活かしてほしい機会が増えています。

――外部で培ってきた技術を活かせるタイミングということでしょうか?

大澤

まさにNTTデータ外での技術や経験を求めています。NTTデータが提供してきたデータセンターの“信頼性”は、いわば空気のように「あって当たり前のもの」。お客様はそれに加えて、品質、コスト、スピードなどさまざまなニーズを持っていますが、多様化して求められるものが変化してきました。

いま私たちが取り組んでいるのは、自分たちの仕事を「ここまで」と線引きすることなく、お客様に寄り添った価値を提供すること。技術を活かして受配電や発電機、UPS(無停電電源装置)といったデータセンターに欠かせない基幹設備を守ることに加えて、お客様に寄り添ったサービスをエンドツーエンドで提供するところまで担当していただけることを期待しています。

――お客様の多様な要望に応えるためには、電気技術だけではない総合力も必要になりそうです。

大澤

そうですね。電力のことしかやらない、と線を引くのではなく、ネットワークに関する工事も担当できるようになってもらいたいですし、逆に建築技術を持った方にも入社いただいて、電気工事のノウハウを身に付けてほしいと思っています。自分の得意な専門性をベースにしながら、データセンターに関するスペシャリストになっていただくイメージです。実際にゼネコンやサブコン、設計会社、鉄道会社など、さまざまな業種から転職して活躍している人が多いです。また、自身の専門の電力業務に加えて、グリーン・環境業務などで活躍している人もいます。

私たちの事業部には160人ほどのメンバーがいますが、競合他社を見渡してもインハウスでこれだけの技術者を抱えている企業はないと思っています。外部に任せるのではなく、自社内で技術者に活躍してもらっているのは、NTTデータがITを軸とした変革をエンドツーエンドで提供する会社であり、システムの提供とデータセンターの提供を一気通貫で対応する必要があるからです。もちろん、NTTデータの提供するサービスを使っているお客様だけではなく、公共、金融、法人、外資など幅広いお客様が利用するため、それぞれに合わせたカスタマイズを行っています。

――“データセンターの運営”というと定型業務のように捉えられがちですが、お話を伺うとまったく違う姿が見えてきました。

大澤

はい、ルーティン業務はほぼありません。お客様へのサービス提供のために設備投資を行い、更新や撤去など様々なプロジェクトがいきもののように変化していきます。変化していくことによって、計画変更や新規計画の立案や変更を行うなど、非常にアクティブな事業運営を行っています。

また、作業だけを行うということはなく、常にお客様に寄り添い、ニーズを引き出すことも求められます。これまで培ってきた技術をベースに、お客様のパートナーとして、お客様が気づかない課題に気づき、本当に必要なサービスを提案することが大切です。

そうしたノウハウを身に付け、やがてはビル全体の収益をコントロールする“経営”を担ってもらいたいということも、外部の技術者ではなく自社の技術者を登用する理由の一つです。

――現時点ではそうした事業経営の経験がない方にも務まるものなのでしょうか?

大澤

例えば、ゼネコン・サブコン・プラントなどの業務をする中で、原価などの数字を扱ってきた経験があれば、慣れていくことができると思いますよ。もちろん、志向性として技術にしか興味がないというよりは、計画を立てて事業を管理したいという方のほうがキャッチアップできるはずです。ビル全体の長期にわたる経営という、より大きなステージで持たれているスキルを活かすことができます。

お客様が真に求めるニーズを踏まえてサービス提供を行い、データセンターがどうあるべきかを基本計画から考えていく経験は、自分自身の市場価値を高めることにもつながります。NTTデータではマネジメントのキャリアだけでなく、現場で技術を追求するスペシャリストのキャリアも用意しており、ファシリティマネジメント事業部にもテクニカルグレード制度の社員が在籍しています。今後はデータセンターに関するあらゆる技術を極めた“データセンタースペシャリスト”を目指していただくこともできます。

よりお客様との距離が近い環境を求め、プラントエンジニアから転身

――市野さんはまだ入社して間もないながら、西日本ファシリティマネジメント担当として活躍中と伺っています。前職ではどういった業界にいたのですか?

市野

以前は鋼鉄業界に勤めていて、そこで電力事業を担当する石炭火力発電所のプラントエンジニアとして働いていました。発電所では発電機や電気設備の保守や更改を担っている中で、よりお客様に近い仕事でキャリアを重ねていきたいと考えるようになったんです。そこで出会ったのがファシリティマネジメント事業部でした。「こんな仕事もあるんだ。電力の技術を軸にしながら将来が広がりそう」と考えて転職を決めました。

実際に入社してみると、前職のように「設備停止のタイミングにあわせて更改や保全を行う」ということができず、設備を止めることなくサービス提供を行うデータセンターの業務に新鮮さを感じています。また、公共、金融、法人など、業種によってお客様の考え方が大きく違うことも、働きながら感じた面白さですね。

――現在はどういった業務をされているのでしょうか?

市野

いまは、データセンターの電力設備の更改工事や保全のプロジェクトマネジメント業務を行っています。例えば、電力設備のオーバーホール作業を実施する際には、委託先と作業概要や手順のレビューを行ったあと、お客様に内容をご説明し、作業日調整を行い、計画しています。加えて、先輩に同行しながら新たなお客様の情報システム誘致のための業務にも挑戦しています。データセンターを利用するお客様は技術にも詳しいので、求められるニーズに対して納得できる回答をしなければなりません。

私自身は電力設備の仕事を中心に担いながら、ビル全体の運用目線でお客様に向き合えるデータセンターエンジニアになることを目指しています。

――異業種からの転職で、戸惑いなどはありませんでしたか?

市野

最初はIT用語がわからず、海外に来たような気分でした(笑)。例えば、分電盤のことを「PDF(Power Distribution Frame)」と呼ぶのですが、最初はわけがわからなかったですね。質問しても、先輩方は決してむげにすることなく丁寧に教えてくれる環境のため、先輩や上長からのフォローに助けられています。別の業界から転職してきた方もなじみやすい環境だと思いますね。

職場はコミュニケーションが活発で、雑談も業務中の会話も盛んです。堅苦しい雰囲気は感じないですね。一方で、以前「受電制御装置の総合動作試験」という法定点検の中で、非常用電源に切り替える試験を行ったときには、事前準備やシミュレーションを緻密に進める先輩たちの真摯な姿と試験に関わる人数規模に驚きも感じました。万が一、不具合があると社会的影響が大きく、大切なシステムを任されていることへの責任の重さを感じました。

――24時間365日止めることができない設備のため、勤務も大変ではないですか?

市野

忙しい時期はありますが、メリハリのある勤務だと感じています。

大澤

データセンターの点検・試験は外気温の低い冬場に行うことが多いので、12月~3月ごろは作業の予定が多く忙しい時期になります。なお、当社社員は日中帯に企画やコンサルティングに注力する一方で、外部の専門会社と連携して夜間の保守もカバーしています。勤務形態は日勤で労働時間も基本7.5時間と、恒常的に長時間残業や夜勤が発生する職場ではないんです。

もちろん、大きなトラブルや事故があれば駆けつけて対応しなければならないということもありますが、そもそも「トラブルが起きてはいけない」設備のため、総力を挙げて未然に防いでいます。緊急対応は一年に一度発生するかどうか。ご安心いただければと思います。

――働きやすい環境であることは、なかなか外部からは見えない要素かもしれません。そのほかに、苦労していることややりがいを感じていることはありますか?

市野

やはりお客様へのご説明や提案は慣れていないこともありまだまだ大変ですね。お客様のニーズが変化する中で、一つの答えを導き出して提案する難しさを感じています。その分、自分の考えをアウトプットする作業が楽しくもあり、形になって誘致につながればうれしくやりがいになります。

年齢に関係なく、個人を尊重してくれる風土がある組織だと感じており、これからも経験を重ねて新しい業務にも挑戦していきたいと思っています。

プラントエンジニアをはじめ、電気・建築の知見を培ってきた技術者が活躍できるデータセンターエンジニア。NTTDATA堂島データセンターをはじめとしたNTTデータのデータセンターは、さまざまな企業のニーズに応えることを通して、社会を支える需要な役割を担っています。技術をベースに“経営”の視点を身に付けることができるファシリティマネジメント事業部で、より市場価値の高いキャリアを築きたい。そんな思いを持った方をお待ちしています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです