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「攻め」と「守り」の価値を通じて、信用組合とともに地域経済を支える

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Profileこの記事に登場する人

地方創生をともに担い、日本経済の成長にも貢献できる

――しんくみ事業部のお客様である信用組合の現状について教えてください

山田

私たちが営業活動を行う全国の信用組合様は、地域の中小企業や個人事業主のエンドユーザーを支える金融機関です。その数は、北海道から九州まで145社。各信用組合様は地方銀行様や信用金庫様と比べて規模が小さく、地域向けや業種・職域など特定の対象に向けた信用組合様もあることが特徴で、NTTデータは当時、電電公社であった約50年前から共同利用側の基幹系システムの提供を行ってきました。競合他社には入り込めないリレーションを築いてきたこともあり、単なるお客様としてではなく、ビジネスパートナーとしてお付き合いをさせていただいています。

平井

共同基幹系システムの提供だけでなく、個々の信用組合様との関係性も深いですね。私はしんくみ事業部に異動する前は、現在と比較すると規模の大きなシステムで一部分のみを担当していました。異動後は、一人の担当者がシステム全体を見られることにやりがいを感じています。

山田

一人ひとりの担当範囲が広いことはもちろん大変な面もありますが、お客様との信頼関係を築きやすいですよね。信用組合業界として見ると、一時期よりも信用組合様の数も減り、地域経済の縮小など厳しい社会情勢にさらされているというイメージが強いかもしれませんが、現在は自治体とともに地域創生に取り組み、独自の立ち位置を確立しているんです。

平井

そうですね。地域の過疎化や人口減の影響を受けやすくはありますが、成長の可能性を秘めた業界だと感じています。他の金融機関と比べてカバーする範囲が限られているからこそ、エンドユーザーである中小企業や個人事業主との物理的な距離も近く、密接な支援をしていることが武器になっているという印象ですね。

――事業部として、信用組合様のどのような課題解決に取り組んでいるのでしょうか

山田

一つは約50年に渡って支援をしてきた共同利用の共同基幹系システムを、これからも守っていくことです。これは決してなくならない柱となる取り組みだと思っています。

一方、信用組合様の中にもDXの波が押し寄せており、比較的規模の大きな信用組合様を中心に、効率化の必要性を感じ始めておられます。特に地域の中小企業などでは人材確保に苦労しており、高齢化が進む中で業務が属人化して継承できないという課題が顕在化しつつあります。すでにメガバンクや地方銀行のお客様は取り組んでおられる業務効率化に、信用組合様も着手していかなければなりません。

平井

とは言え、他の金融機関様の先行事例をそのまま信用組合様へ右から左に展開する、ということを当社ではしていません。事業規模や組織の大きさが違うというだけでなく、信用組合という組織は「相互扶助の精神」で運営されているという大きな違いがあります。地域の皆様とともに一緒に成長しなければいけない、という理念を持っているため、それを踏まえたご提案を行っていくことが大切です。

山田

どこよりも新しい技術を活用するとか、見たことのないようなDXを実現する、という方向性ではありませんが、エンドユーザーの成長につながるようなご提案を喜んでいただけることは共通していますね。さまざまな信用組合様の変化に寄り添いながら、本当に求められるサービスを自由度高く提供することが求められており、日々、どういうご提案が信用組合様に貢献できるのか、お客様とともに考えています。

平井

信用組合様のニーズに応え、地域の成長を見据えた提案を行うことは、NTTデータの事業ビジョンや理念とも一致しているんです。私たちは国内のインフラに関わる事業を多く任せていただいています。地域が活性化しなければ、日本経済は縮小します。地域経済を下支えする信用組合様を私たちが支えることで、日本全体の成長の原動力にもつながる。非常に価値のある仕事だと思っています。

コンパクトな組織だからこそ連携を密に、高品質なサービスを提供

――お二人が信組営業担当となった経緯を教えてください

山田

私はもともとしんくみ事業部で開発を担当するエンジニアでした。入社以来、30年にわたって信用組合様とお付き合いをさせていただいています。営業に異動したのは2016年で、上司から「やってみないか」と声が掛かりました。正直、最初は驚きと戸惑いもありましたが、入社以来関係性を築いてきたお客様に頼りにされながら、自分の強みを発揮できる環境に来られたと感謝しています。

平井

私の場合は、以前は別の金融系のお客様に向けた営業を6年経験し、案件を自分で推し進められるようになったところで異動の相談がありました。当時のお客様とやっと対等にお話ができる立場になり、仕事が楽しかった時期なので「もっとやれるのにな」という気持ちもありましたが、後輩も育ってきた中で「平井ならほかのところでも活躍できる」と思ってもらえたことはうれしかったです。

私が信組営業担当になったのは2012年なので、山田さんはまだ開発担当の部長でした。しんくみ事業部は他事業部に比べてコンパクトな組織で、開発も営業も仲が良く、山田さんにも技術面でさまざまなことを教えてもらいました。まさか、営業として自分の上長になるとは思いもしませんでしたが(笑)。

山田

なので、部下ではありながらも、営業として平井さんは大先輩です(笑)。私は職種が変わり、平井さんはお客様が変わるという違いはありますが、お互いを頼りにしながら新しい環境で信用組合様に向き合っています。

――以前の経験をどのように生かしていますか?

山田

開発メンバーの大変さや、作業の勘所が分かることで、営業としてお客様と会話する中でも「これは要件を確認した方が良いな」など、事前に気付くことができる場面は多いですね。開発担当としてお付き合いがあった信用組合業界の中央組織の担当者様とはすでに信頼関係を構築させていただいていますし、個別の信用組合様とは営業になってから直接お会いする機会が増え、一から信頼関係を構築する必要がありましたが、しんくみ事業部で長く開発経験を積んできたことを土台に新たなリレーションを築くことができました。

平井

「営業ノウハウ」の中には「お客様との関係性」も大きなウェイトを占めていると思っており、その点では一から築いていく必要もありましたが、オールリセットというわけではありません。お客様は変わりましたが、同じ金融系ということでシステム構造や営業スキームが似ている点も多く、これまでの知識や考え方が生かせる場面は多いです。異動し比較対象ができたということで、点と点が線となるように理解が一段深くなったと感じていますね。

山田

私たちは他組織と比べると人数はやや少なく、コンパクトな組織ですが、共同基幹系システムを提供しているという点では他の金融系のお客様と共通する部分は多く、その重要性も変わりません。そのような中でも2021年度は重大故障ゼロを達成するなど、サービス提供の品質の高さには自負を持っています。

共同基幹系システムを安定的に提供し、さらなる成長のための企画提案を行う

――事業部として、今後どのようにビジネスを展開していきますか?

山田

まず重要なのは、全国の信用組合様にご利用いただいている共同基幹系システムを守ることです。現在、更改プロジェクトが大詰めを迎えており、更改に向けてシステムの品質を担保することが最大のミッションです。同時に、それぞれの信用組合様に事務効率化などのDXを提供していくこと、さまざまな制度改正に伴う対応なども並行して進めていく必要があります。

平井

共同基幹系システムを安定的に提供することは大前提ですが、それだけでは信用組合様ひいてはその先のお客様への価値提供に限界があります。私は営業課長に加えて企画組織の課長も担当しており、新たな価値を提供できるサービスを企画・検討しています。

山田

2022年度より企画体制を強化しており、これまで以上に大小さまざまな規模の信用組合様のニーズをくみとったサービス提案、提供ができると思っています。

平井

お客様の考える「攻め」と「守り」に寄り添った提案を行っていくことが重要ですね。「守り」の部分では、コスト削減や人材不足への対応という課題があり、その解決につながるサービスの提供を行いたいと思っています。お客様によって規模や特性が異なるため、一律のサービス提供ではなくそれぞれの特徴に合わせた提案が必要です。

山田

そうですね。お客様との距離が近いからこそさまざまな意見を信用組合業界の中央組織や個別信用組合様に広く伺うことができ、信用組合様に寄り添った提案をできるのが私たちの強みです。アイデアベースのお話にもコメントをいただくことができる関係性があるのは、信用組合様とともに築いてきた約50年の歴史があるからこそだと思っています。

――しんくみ事業部だからこそ提案できる価値にはどのようなものがあるでしょうか。

山田

共通する課題を持った信用組合様のニーズをくみとり、「攻め」の企画を立てていくことが、私たちの役割の一つだと思っています。一例をあげると、インターネットバンキング機能は多くの金融機関で導入が行われていますが、信用組合様全体の導入率は半分ほどです。エンドユーザーが必要としていない、費用が見合わないなどそれぞれの理由がありますが、DXを検討する中で改めて導入を検討している信用組合様も増えています。

平井

信用組合様の多くは、エンドユーザーと密接な関係を築き、「足を運んで信頼を得る」という対面チャネルを武器にしています。例えばインターネットバンキングなどは非対面の機能でありコスト削減にもつながりますが、そういった非対面サービスをいかにお客様の強みである対面チャネルの強化につなげていくかを考えて企画にしていく必要があります。また、人材不足が深刻化する中で、サービス運用の事務作業が負担にならないということも、信用組合様にとっては非常に重要な要素になりますね。

山田

信用組合業界のお客様が本当に必要とするサービスを提供するために、信用組合様に寄り添ったサービスを企画、提案していることが私たちの強みです。例えば、AIによる顧客分析サービスをご紹介する際、通常ならば「AIでこういった課題が解決できますよ」というアプローチを行うものだと思います。しかし、費用が高く信用組合様への個別導入は難しいということがわかっていました。それでもAIに可能性を見いだしているお客様に「どうすれば提供できるか」をPoC(Proof of Concept:概念実証)で検討した結果、通常よりも桁違いのお安さで試用提供ができるようになりました。AIによる効率化がお客様にとって価値あるものかどうか、試してみないとわかりません。実際に効果を感じていただくことで、業界全体に波及させ、最終的な業務効率化につなげていければと考えています。

平井

信用組合というお客様は「エンドユーザーである組合員の利益を第一に考え、組合員の発展に貢献することが自身の発展につながる」と考えていらっしゃいます。だからこそ、私たちの提案や営業活動も地域の方々をはじめとした組合員の発展、更には日本の成長につながるという大きなやりがいを感じています。「社会を支える仕事がしたい」という思いをかなえるにはうってつけの事業部だと思います。

地域経済を支える信用組合というお客様に寄り添い、確かな信頼関係を背景に「攻め」と「守り」の価値提供を行う信組営業担当の二人。自分たちの仕事が日本の未来を担っているという実感を胸に、社会への貢献を果たしています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです