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【トップエンジニア対談/後編】トップエンジニアが生まれる環境とは。キャリアや人財育成を語り合う

Microsoft MVPアワードを受賞したふたりのトップエンジニアの対談、後編です。前編では、Microsoft MVPアワードの受賞ポイントや、業務外のコミュニティ活動に注力できた理由などをお伝えしてきました。今回の後編では、高原と石崎というふたりのトップエンジニアのこれまでのキャリアや、人財育成にかける想い、そして今後のキャリアビジョンなどを聞きました。

目次

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それぞれに視座を高めてきた、MVPたちのキャリアストーリー

――まず高原さんは日本マイクロソフトからNTTデータに転職していますが、これまでのキャリアで印象深いことなどがあれば教えていただけますか?

高原

私は新卒で日系のSIerに勤務した後、日本マイクロソフトに転職しました。日系企業とは文化や仕事の仕方がまったく違う環境で働けたことは良い経験になりました。一般論ではありますが、外資系企業の大きな特徴の1つがコミットメントにあり、「達成したかどうか」が何よりも重視されます。私は前職でも人材育成を担当していましたが、やはり個人ではなく組織としてどのような成果を出したかが評価の対象でした。一方でNTTデータを含む日系企業は、成果だけでなく、ゴールに向けたプロセスも評価します。どちらが良いとは一概にいえませんが、プロセスも評価してくれるのは日系企業の良いところだと私は考えています。

――日本マイクロソフトからNTTデータに転職したのはなぜなのでしょうか?

高原

前職では難度の高い国内外の案件に特化した問題の対応などの業務を担当し、私自身は大きく成長できました。ですが、最終的にはいままで磨いてきた技術を活かして日本に貢献する仕事がしたいと考えるようになりました。国家規模のプロジェクトを担い、生活に欠かせないインフラシステムを担うNTTデータならば、そうした目的が果たせると感じ、転職を決めました。

――一方、石崎さんは新卒でNTTデータに入社していますが、これまでのキャリアを振り返ってみて転機になった出来事はありましたか?

石崎

私は新卒入社から約15年にわたって技術Q&Aの部署に所属し、専門性の高いさまざまな問い合わせが寄せられる環境で、幅広い技術に触れてきました。一定の経験を経た後にリーダーを担当し、チームとしての目標設定も任されるようになりましたが、思い返すとその頃がエンジニアとしてのキャリアの転機だったと思います。自分以外の人に仕事を任せたり、自分が詳しかったサービスから離れたりした時に、エンジニアとしてどうやって価値を出していくべきなのかーー。いまも悩んでいるところではありますが、リーダーを経験してから視点が変わってきましたね。

――石崎さんは2020年からAzure塾の塾長として次世代の技術者育成にも携わっていますが、その経緯を教えていただけますか?

石崎

技術革新統括本部(通称、技統本)では、2017年から「技統本塾」という名前で技術者育成の取り組みを行っていました。Azureに関する塾はなかったのですが、Azureを教えられる人を探しているらしいという話を聞き、人脈をたどって「やってみたい」と手を挙げたんです。もともと私が技統本の中でも「Microsoft製品に強い人財」と認知されていたこともあり、Azure塾の塾長を任されることになりました。人にものを教えるということや、面白そうな新しい取り組みに率先して手を挙げるのが好きなんだと改めて実感しましたね。

人財育成における想い、そしてトップエンジニア輩出に向けて

――おふたりともMicrosoft MVP受賞のトップエンジニアでありながら人財育成にも取り組んでいらっしゃいます。どのような想いで人財育成に向き合っているのでしょうか?

石崎

まず私が考えているのは、「やりたい」と手を挙げる人にはしっかり機会を与えたいということです。知的好奇心が私の中で大きなモチベーションだと話しましたが、プロジェクトにおいては、お客様やコストなどさまざまな観点から、好奇心だけでは進められないことがあると思います。だからこそ、Azure塾ではその好奇心を解き放ってあげたいと考えています。

高原

なるほど。私は組織への貢献により重きを置いているかもしれません。人財育成を通じて、組織のクラウド技術力が上がると、プロジェクトの成功率も上がって会社に貢献できるようになります。また、私も含め全員に勉強する時間も生まれます。個人と会社の相乗効果を生むために技術を教えている、という側面はありますね。

石崎

素晴らしい考え方ですね!以前、技統本の先輩とトップエンジニアは自ら行動して学んでいく人財であり、究極的には「育てられない」のではないかと議論したことがあります。ですが人財育成の取り組みを通じて、トップエンジニアの素質を秘めた人のスタートダッシュを支援すること、ダイヤモンドの原石を原石のままにしない、そんな環境を用意してあげることはできると思います。

――「トップエンジニアは育成できるのか」という問いは重要なテーマだと思います。おふたりはトップエンジニアを増やすためにどんなことが必要だと思いますか?

石崎

実際のプロジェクト、できれば規模が大きく技術的にもチャレンジングなプロジェクトを数多く経験させていくことが必要だと思います。その点、NTTデータにはそうしたプロジェクトが多く、トップエンジニアになれるチャンスが多いといえます。Microsoft MVPという観点でいうと、技術コミュニティでの活動が評価されるので、できるだけモチベーションを下げず、自由に活動できる時間を持つことも必要になります。

高原

そうですね。意欲を持った人財に対しては適切にチャンスを与えていくことが大切ですし、トップエンジニアをめざしたい社員からも積極的に声を上げることが必要です。まず社員が声を上げやすい環境をつくり、声を上げたからには責任を持って資格を取得したり、勉強したりと主体的に活動するという良い流れを生み出したいですね。

石崎

私の周囲にもそういう人がいました。Azureは未経験ながらも、自主的に資格を取得して、「Azureのプロジェクトをやりたい」と声を上げた社員です。未経験だったとはいえ、本人の意思を汲んで上長がAzureのプロジェクトにアサインしました。そういう人がトップエンジニアに成長していくのでしょうね。

ふたりのトップエンジニアが見据える今後のキャリア

――今後の目標やキャリアビジョンについて教えてください。

石崎

個人的には「大学教授」をメタファーにしたキャリアが面白そうですね。どういうものかというと、大学教授を「研究活動」、「講義」、「公共貢献」として見た場合、それらに対応した「新技術を自身で研究して情報発信」、「技術者の育成」、「案件支援」といった形を生業とするキャリアを指しています。そのような活動をNTTデータで実践し、ひとつのキャリアモデルの型を体現できないだろうか、と妄想しています。

高原

私は、技術の第一線で働き続けられるように努力していくことが今後の目標です。技術は日々進化していくため、お客様にとって最適なシステムの提案・設計を行うためには、必要になる技術をさらに磨き、高難度の案件に挑戦していきたいです。

石崎

高原さんの 「技術第一線で働く」のイメージをもう少し具体的に伺いたいです。

高原

簡単にいえば、「頼られる存在であり続ける」ということだと思います。「Azureなら石崎さん」のように、すぐに名前が浮かんでくるような存在になることです。人によって「第一線」の意味合いは違うかもしれませんが、私の場合は純粋に技術の第一線に立ち続けたいということです。私がいま所属している組織では、それが可能だと思っています。

石崎

なるほど。技術の第一線に立ち続ける上で壁になるのが、次世代の人が出てきた時にどうするのか、ということだと思います。私自身、「この分野は私でなく、次の世代のこの人に任せた方がいい」と思う場面も多々あります。

高原

もちろん一人ではなく、組織で価値を出すことが重要です。次世代を育てて、任せられることはどんどん任せていけば良いと思います。それでもなお、「技術」という点では身を引かず、研鑽を続けていきたいですね。前職で60歳で技術の第一人者という方を間近で見てきたので、不可能だとは思っていません。

――トップエンジニアという点では共通していながらも、キャリア像が異なっているのが面白いですね。最後に、おふたりが社外のコミュニティで活発に活動しながらも、NTTデータで働き続けている理由を教えてください。

高原

NTTデータへの入社理由でもある「日本に貢献したい」という気持ちが一番です。難度の高い業務を通じて技術を磨ける環境があり、自らの挑戦を通じて社会に貢献できるのはNTTデータで働く大きな理由になっています。

石崎

私が入社した動機はシンプルで「大きな会社ならいろいろなことができるはず」という期待があり、それがいまでも働き続ける理由になっています。NTTデータは、コンサルやPMだけでなく、品質・基盤・性能などいろいろな分野の専門家になる道もある会社です。また、NTTデータのグループ全体にわたる大きな施策へ関わる機会もあるなど、入社時の期待以上にさまざまな経験が積める環境でした。そしてもう一点、グループを含めて優秀な人財が多いこともNTTデータで働く大きな理由になっています。トップエンジニアが近くに大勢いて、刺激を受けたり、切磋琢磨しながら働けるのは幸福なことだと思います。

高原

たしかにそうですよね。CAC(Cloud Architect Community)のメンバーもパブリッククラウドのスペシャリストばかりで、私もいつも刺激を受けています。

――Microsoft MVPアワードを受賞した石崎さんも高原さんも間違いなくトップエンジニアだと思いますが、それでも周囲の人財の優秀さを感じているのですね。

石崎

はい。実は、自分がトップエンジニアだなんて思っていないんです。MVPアワードを受賞しても、まだ知らないことがたくさんありますし、周囲には優秀な方々がいて、まだ全然第一人者だといえないと思っています。

高原

本当の第一人者たちに囲まれているとそう感じますよね。マイクロサービスやKubernetesの第一人者である岡本隆史さんや、AWSのエキスパートの川畑光平さんなど、多数のスペシャリストと働けるのはNTTデータの魅力です。

石崎

そうですね。加えて、私たちがMicrosoft MVPアワードを受賞できたように業務時間外のコミュニティ活動などの柔軟な働き方を認めてくれる風土があるからこそ、多くのトップエンジニアたちがNTTデータで働き続けているのだと思います。これからトップエンジニアをめざしたいという方にとっても、さまざまな意味でNTTデータは魅力的な環境です。

──

名実ともにトップエンジニアと呼べる立場にいながら、現状に満足せず、さらなる高みをめざし続けている石崎と高原。常にトップエンジニアたちに囲まれて働いているからこそ、新鮮な刺激を受け続け、いつまでも謙虚さを忘れずに働けているのかもしれません。Microsoft MVPふたりの対談から、トップエンジニアたちが生き生きと活躍するNTTデータのカルチャーが伝わってきました。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです