インタビュー動画
ガス会社の共同利用システムを開発。二人のリーダが歩んだ道
――現在、お二人は大手ガス会社向けの共同利用システムの開発に携わっているそうですね。まず、石田さんは、テクニカルグレード(TG)のITスペシャリストでもありますが、これまでのキャリアを教えていただけますか?
石田
私は2006年にNTTデータに入社後、テレコム・モバイル領域の設備管理システム開発に携わりました。いわゆる「大規模SI」と呼ばれるプロジェクトです。その後、「新しいことにも挑戦したい」という想いから、新規サービスの研究施策開発をお客様の研究開発部門と一緒に実施したり、社内向けのミドルウェアパッケージ開発に従事したりと、大規模から小規模、提案から運用までさまざまな経験を積んできました。
――その後、2013年からユーティリティ領域に移動されたのですね。
石田
はい。電力領域を担当し、大手電力会社のお客様向けのスマートメーター運用管理システムや、電力自由化など制度改革に伴う託送システムの開発プロジェクトなどに携わりました。スマートメーターの運用では、ミッションクリティカルな3000万台のメーターを管理するMDMS(Meter Data Management System)を構築。その後は2019年から現在まで大手ガス会社様が共同で利用するスマートメーター共同利用システムに開発リーダとして携わっています。
――業界を横断するキャリアの中で、特に印象的だったことは何ですか?
石田
私はもともと「社会の仕組みに関わるプロジェクトに携わりたい」という想いからNTTデータに入社しました。その意味でも、やはり印象深いのはスマートメーター関連の仕事ですね。まだ社会に無い仕組みを作るという開発であったこと、その結果としてメーターが自宅にも設置され、その恩恵を自ら享受しているのは感慨深いです。自分の仕事が社会の仕組みを変え、日々の生活に直結しているという手応えは、この仕事ならではの醍醐味だと感じています。
――テレコム・モバイル領域で培った経験は、ユーティリティ領域でも活かされていますか?
石田
はい。テレコム領域では10年以上開発を行っているような長期のプロジェクトもあり、継続的な開発の難しさと意義を学びました。まさにNTTデータが掲げる「ロングタイムリレーションシップ」と通じます。お客様と長期的な関係を築きながらシステムを継続させる経験は、社会インフラを支える現在のプロジェクトに大いに活きています。
――一方、渡邉さんは新卒入社以来、一貫してユーティリティ領域に携わっていますね。まずは、文系出身でIT業界を志した理由から教えていただけますか?
渡邉
私は文系出身ですが、「ものづくりがしたい」という希望からIT業界を志望しました。他の製造業とは違い、IT業界であれば文系卒でもシステム開発に携われると知ったことが大きな理由で、特にNTTデータは人の魅力が印象的でした。柔らかさとロジカルさが両立しており、面接官の方がコーチングのように私の強みを引き出してくれたことからも、「この会社なら自分の力を最大限引き出せる」と感じました。
――入社後、ユーティリティ領域でどのように成長してこられたのでしょうか?
渡邉
私が入社した2013年は、ちょうど電力自由化を背景にスマートメーターの導入が本格的に始まった年でした。スマートメーターのプロジェクトがゼロから立ち上がるタイミングで参画し、システムの初期開発から携わることができたのは幸運だったと思います。ただ、もちろん最初は知識もスキルもなかったため、「開発力の壁」にぶつかることに。上流工程で語られる概念的な言葉が、具体的にどうシステムに結びつくのかイメージできなかったのです。その時、当時の上司からの勧めで、協力会社の方々と同じ場所で働き、設計や製造、テストを実際に体験。その時の経験があったからこそ、作り方の実感を伴って、上流工程で何が必要かを具体的にイメージできるようになりました。今の自分の原点でもあります。
石田
私は渡邉さんが新人として配属された頃から知っています。私が別のプロジェクトに行き、数年後にガス会社向けのプロジェクトを開始するに至った時に、「有識者」として名前が挙がったのが渡邉さんでした。その成長ぶりには驚きましたね。
――そして今、お二人が協働している、大手ガス会社向けの共同のスマートメーター共同利用システム開発とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか?
石田
このプロジェクトは、大手ガス会社3社が共同でスマートメーターのシステムを利用するという、業界でも先進的な取り組みです。2022年から1社が利用開始されて以降、計画的に機能拡張を行い、2025年から全社利用開始となっています。私はこのプロジェクトに初期開発の要件定義から関わり、初期開発以降は、次期開発のリーダを担っています。
渡邉
私は一次開発のリリース後、システムの維持保守をメインで担当し、アプリケーション開発グループの代表としてお客様とコミュニケーションを取っています。お客様と会話をしながら要望を整理し、それをメンバの作業に落とし込み、アウトプットの品質を保つのが主な役割です。維持保守がメインとは言いながらも、石田さんのところで並行して開発も走っているので、密に情報連携を取りながら、システム全体の整合性を担保する役割も担っています。
石田
このプロジェクトの大きな特徴は、複数社のお客様が共同利用するミッションクリティカルなシステムであることです。各社の業務や要望はまったく同じではありませんから、それをいかに調整し、共同利用システムとしての最適解を導き出すかが難しいポイントです。お客様の中でも意識を合わせていただくため、私たちはシステムのプロとして積極的に「あるべき姿」を提案し、合意形成を推進することが求められます。このようにお客様と一緒にゴールを描いていくことが難しさであり、面白さでもあります。
どれほど困難でも絶対にやり抜く。本番移行に見る、チームの力
――プロジェクトでもっとも困難だったのは、どのような出来事でしたか?
石田
スマートメーター共同利用システム次期開発での本番移行対応です。既に動いているシステムに新しい機能を追加するため、業務・システム停止などに制約が多く、次期開発チームだけでは完結せず、一次開発や維持保守チームが持つノウハウが不可欠でした。そこで関係者に広く協力を呼びかけ、課題やリスクを共有し、プロジェクトを横断した協力体制で移行計画を練り上げていきました。リリース間近に要件が追加されるといった困難もありましたが、関係するメンバが全員当事者意識を持って対応してくれたおかげで、無事に移行を完遂できました。
渡邉
私も石田さんと同じく、システム移行が印象に残っています。稼働中のシステムへの変更、データ移行など、各チームの専門性が求められる作業が山積みでした。それぞれが自分の守備範囲だけをやっていては、必ずどこかに抜け漏れが生まれてしまいます。だからこそ、チーム全員の知見を結集する必要がありました。私の視点からすると、石田さんはオープンマインドで積極的に情報を発信・共有してくれたので、私たち維持保守チームも「支えたい」と自然に思えましたし、必要な情報を積極的に提供できました。まさに「全員野球」でしたね。
――まさにチームワークが試された局面だったのですね。石田さんはチームの一体感を醸成するため、どのようなことを意識していたのでしょうか。
石田
私が開発リーダとして意識していたのは、各メンバがどうすれば動きやすい環境を作れるか、主体性を持って動けるかということです。それぞれの専門性を持ったメンバたちが気軽に声を上げられる環境があることは重要で、誰かが「ここはリスクがありそうですよ」と言ってくれるだけでも、本当にありがたいです。例えば、性能問題が発生した際は「アクション会議」を即時開催し、問題の共有と、どのようなアクションが取れるかを全員で話し合いました。チームで問題解決にあたる姿勢は、お客様からも高く評価していただきました。
――チームワークに関連して、お二人はNTTデータの社風をどのように捉えていますか?
渡邉
よく言われることですが、「粘り強さ」「泥臭さ」がNTTデータの強みであり、特徴だと思います。どんなに難しい課題に直面しても、「できません」で終わらせる人は、私の周りには一人もいません。どうすれば解決できるかを考え抜き、諦めずにやりきります。その姿勢が「粘り強さ」です。また、華やかに見えるプロジェクトの裏側には、無数の議論やレビューといった「泥臭い」作業が必ず存在します。この泥臭さを厭わないカルチャーこそが、NTTデータの品質を支えているのだと思います。
石田
同感です。それと私は、スペシャリストの豊富さもNTTデータの特徴だと思います。課題に直面したら、まず自分たちで考え抜く。ただし、個々人の領域だけで対応できない場合は、すぐに別の専門性を持つ人を巻き込んで解決策を探ります。社内にはアーキテクチャや運用、インフラなど、各分野のスペシャリストがいて、「この領域ならあの人が詳しい」という人の顔がすぐに浮かびます。その人財の豊富さこそが、渡邉さんの言うNTTデータとしての「粘り強さ」や「やりきる力」の源泉になっているのだと思います。
渡邉
「その分野に詳しい人は誰?」と聞かれた時、私もすぐに誰かの顔が浮かびますね。スペシャリストに囲まれているからこそ、私も「自分のプロフェッショナリティを磨きたい」と思いながらキャリアを歩むことができました。
――プロジェクトの雰囲気や空気はいかがでしょうか?
渡邉
若手であっても、発言を否定されない、という安心感がありますね。それぞれの立場や専門性から出てきた意見を尊重し、「何が最適解か」を全員で議論できる風土があります。だからこそ、若手でも臆せず発言できますし、自分自身で仕事を作っていける感覚があります。たとえ反対意見が出ても、より良いものを作るための健全なプロセスだと皆が理解しています。
石田
まさしくそうですね。そして個人の裁量が大きいのも、このプロジェクトの特徴かもしれません。それぞれのスキルや「やりたいこと」を尊重し、状況が許せば積極的に任せていきます。だからこそ、メンバが当事者意識を持って仕事に取り組めるのだと感じています。
渡邉
それには私自身の体験からも共感しますね。「やりきる」というマインドの中で、若手の意見にも耳を傾け、議論のリレーが進んでいきます。若手の自分が「議論の中心にいる」と感じられたことは、大きな成長の機会になりました。特に入社7年目の頃、初めて大規模な案件を任された時には、周囲を動かすことが求められました。その時にも、一人ひとりのメンバの主体性を尊重し、「第一人称」にすることでプロジェクトが前進することを実感しました。
石田
「やりきる」という姿勢はNTTデータの社風としてよく挙げられますが、その背景には、チームワークや一人ひとりの意思を尊重する文化があるということですね。
大事にしている言葉と、未来への挑戦。社会課題の解決に向けて
――仕事をする上で、大切にされている言葉やポリシーを教えてください。
石田
これまで上司や同僚から多くのことを学びましたが、特に「本質を見極めること」という学びを大切にしています。お客様がなぜそうしたいのか、私たちはなぜこれを作るのか。「なぜ?」を突き詰めていくと、やるべきことが明確になり、仕事の筋が通ってきます。これはシステム開発だけでなく、あらゆるコミュニケーションの基本だと考えています。
渡邉
確かに「Why」が間違っていると、「How」も変わってしまいます。石田さんはプロジェクトメンバや関係者とのコミュニケーションが非常に上手く、石田さん自身の柔らかい人柄もあると思っていたのですが、そうした考え方がコアにあったのですね。
石田
ありがとうございます。かつての上司が話していたことなのですが、突き詰めて考えること、があらゆる場面で求められる姿勢だと考えています。渡邉さんは、大切にしている言葉やポリシーはありますか?
渡邉
私は「自分に出せるバリューを考える」という言葉を常に意識しています。若手の頃、先輩からいただいた言葉です。どんなに単純な作業であっても、自分ならではの価値をどう付加できるかを考える、ということです。例えば、誰がやっても同じレベルになるような情報収集であれば、収集のスピードを上げる。次に同じオーダがあったとしたら、生産性を上げられる仕組みを考える、といったことです。そうした小さな工夫の積み重ねの結果、アウトプットの質の向上につながり、仕事の早さ自体が付加価値になっていきました。そしてそれが周囲からの信頼につながり、より大きな仕事を任せてもらえるようになりました。経験を積んだ今は、これまでの知見を活かして開発をリードしたり、お客様と事業のありたい姿を議論したりと、新たなバリューが出せるようになってきたと感じています。
石田
とても大事な考え方ですね。若手であれば若手ならではのバリューの出し方がありますし、リーダなどに上がっていくとバリューの出し方も変わっていきます。成果を個人からチーム・組織へ、携わる領域も特定業界から業界横断での成果など、周りから求められる役割や視点が変わる中で、自分の強みを活かし、どういうバリューを出せるかは重要な観点だと思います。私自身、テクニカルグレード(TG)制度を活用してITスペシャリストという道を選択しましたが、多様なバリューを発揮できることはNTTデータの魅力だと思います。
――ユーティリティ領域で経験を積んできたお二人は、今後NTTデータでどのようなことに挑戦したいですか?
石田
私はこれまでユーティリティ領域のお客様に対し、レジリエンス強化・保安の高度化や人手不足への対応・業務効率化といった支援を行ってきました。今後もエネルギー業界の成長に寄与していきたいと考えています。特にエネルギーの安定供給や脱炭素といったテーマは、これからの社会に不可欠な要素であり、大きな社会課題の一つです。生活の基盤であるインフラ領域は、社会に与える影響が非常に大きく、こうした社会課題をそのままにしておくわけにはいきません。困難な課題ではありますが、システム面や制度面で貢献できること、変えられることは必ずあると思っていますし、NTTデータであれば変えられる、と信じています。
渡邉
私も社会課題解決への想いは同じですが、特に生成AIを活用したシステム開発の高度化に注力していきたいと考えています。労働人口の減少は、お客様だけでなく、システム開発の現場にとっても大きな課題であり、生成AIは大きな可能性を持っています。例えば、エネルギー業界ではドローンとAIを用いた保守点検も進んでおり、AIの活用は今後も進んでいくと考えています。
石田
業務効率化やエネルギーの有効活用という点で生成AIが大きな可能性を持っていることは間違いありませんね。一方で、生成AI自体がさらなるエネルギー需要を生んでしまう側面もあるため、それらも考慮して課題解決に取り組んでいくことが大切だと思います。
――対談の最後に、お互いに伝えたいことはありますか?
石田
渡邉さんはコミュニケーションが取りやすく、新しいことを考える時や、課題にぶつかった時にも主体性を持って取り組んでくれる、心強い人財です。ぜひまた渡邉さんと一緒に仕事がしたいと思いました。
渡邉
もちろん、ぜひ一緒にやらせてください!私としても、石田さんから学ばせていただきたいです。今回の対談でも、石田さんのコアにあるものを何かしら持ち帰りたいと考えていたので、貴重な話が聞けて嬉しかったです。
石田
ありがとうございます。エネルギー業界の課題解決に取り組みたいという想いは、私も渡邉さんも共通しています。今後も、一緒に協力できる機会は絶対にあるので、その時にはお互いに協力しましょう!
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社会インフラを支えるという大きな責任。その中で生まれる強固な信頼関係と、挑戦を後押しする組織文化。社会的影響力の大きなプロジェクトに挑戦したい、困難な課題にチームで立ち向かいたいと考える人にとって、魅力的な舞台がここにあります。


