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2012年5月29日技術ブログ

[第12回]進化するビジネス・インテリジェンス&ビジネス・アナリティクス(後編)~グローバル展開とビッグデータ活用~

NTTデータではグローバルBIと次世代BI/BAを両輪に、グローバルビジネスを展開しています。前回の「グローバルBI」に続き、後編となる今回は、ビッグデータの活用にも威力を発揮する「次世代BI/BA」について、NTTデータの中川 慶一郎が解説します。

1.「ビッグデータ」時代の到来、求められる次世代BI

ブログや、twitter等SNSでの発言、ECサイトでの購買・検索履歴など、個人に関する膨大な情報の蓄積である「ライフ・ログ」や、RFID・各種センサなどから送られる「センシング・データ」といった、いわゆる「ビッグデータ」を活用しようという機運がビジネス・技術両面で高まっています。ビジネス面では、IT関連以外の一般メディアでもビッグデータが大きく取り上げられていることから、多くの人々が興味を寄せていることが窺われます。また、技術面から見ると、北米のIT関連メーリングリストでも、BIに関連する投稿では「Hadoop」や「Mahout」など、ビッグデータと深いかかわりのある技術キーワードの出現頻度が急増しており、グローバル規模で多くの技術者が高い関心を示していることが見てとれます。

膨大かつ多様なデータを収集・分析することで、新たな価値を引き出すことがビッグデータを分析する目的のはずですが、最近の騒ぎを見ると「ビッグデータ」や「Hadoop」といった単語や技術に目を奪われて、本来目的が忘れ去られている印象もあります。これまでのBIの歴史が教えるように、ただ闇雲にデータを収集・分析しても意味がありません。「ビッグデータ」を前にして思考停止になるのではなく、何のための情報分析・活用なのかを明確にした上で、自社に必要なBIシステムは何かということを考える必要があります。

これまでにないボリュームと多様性を持つ「ビッグデータ」をうまく使えば、限られたリソースを有効活用したり、変化の兆候を察知して機先を制したり、より魅力的なサービスを提供したりと、「社会」「企業」「個人」それぞれにメリットがもたらされます。しかし、さまざまなソースから多種多様なデータが絶え間なく集まるのが「ビッグデータ」であり、従来のデータベースでは蓄積しきれない、データ発生に処理が追いつかないといったことから、膨大な情報量を前に手をこまねいているのが多くの企業の現状です。ビッグデータを新たな競争優位性の源泉とするためにも、膨大なデータを分析・活用するための新たなBI/BA(ビジネス・インテリジェンス/ビジネス・アナリティクス)が強く求められています。

【図】

図:「ビッグデータ」時代の到来

【図】

図:「ビッグデータ」とはどういうことか

2.プロアクティブ型BIにより「ビッグデータ」から先進サービスを創出

NTTデータは、数多くの分析コンサルティングやDWH(データウェアハウス)の開発・運用を手がけており、BI/BAに関するグローバル体制を確立しています。そこでの豊富な実績やノウハウをもとに、BIを独自に4つのタイプ(集計分析型・発見型・WHAT-IF型、プロアクティブ型)に分類しており、企業のさまざまな要望に対して最適なBIシステムを提供することでビジネスの変革を支援しています(4つのBIについては第4回参照)。

例えば、ECサイトにおいて、顧客が商品を検索したときに関連商品を併せて表示するレコメンド・サービスや、ユーザの不審な決済行動を検出して即座に決済を凍結するマネー・ロンダリング防止といった先進的なサービスは、「ビッグデータ」が生み出す典型的なサービスといえます。そうした「ビッグデータ」をもとに、ユーザ行動の一歩先をリードする"プロアクティブな"サービスや機能を提供するのが「プロアクティブ型BI」です。

「プロアクティブ型BI」を実現する上での重要なポイントは、データ分析基盤の整備です。大規模なデータマイニングにもとづいて「ヒト・カネ・モノ」の動きをモデル化するプロアクティブ型BIにおいては、ユーザ行動の変化などのイベントが生じた場合、直ちに対応しなくてはなりません。そこでは、

  1. 1. 「ヒト・カネ・モノ」の動きなどの膨大なストリーミングデータを迅速に処理する「リアルタイム処理基盤」
  2. 2.バックヤードでデータを蓄積して大規模データマイニングをバッチ処理などで行い、分析モデルを導き出してフロントエンド処理への適用を図る「大規模データ分析基盤」

という2つの基盤を効果的に連携させる必要があります。高度なモデルにもとづいたデータ分析をリアルタイムに実行することで、ユーザの一歩先を行く、気の利いたサービスが実現するのです。

【図】

図:プロアクティブ型BIの広がり

【図】

図:プロアクティブ型BIにもとづく大規模リアルタイム・データ分析基盤

3.プロアクティブ型BIで、巨大な橋の異常をリアルタイムに検出

ここでプロアクティブ型BIの一例として、橋梁モニタリングシステム「BRIMOS (ブリモス)」で行った実証実験を紹介しましょう。このシステムでは、橋梁に設置した各種センサから集約される、振動・歪み・傾斜などのデータを分析して、リアルタイムかつ継続的に橋の状態を監視します。異常を探知すると直ちに関係部署に伝えられ、災害時のリアルタイム異常検知や平常時の早期異常把握、車両通行状況に応じた点検・補修の優先度検討などに役立てられます。

大型車が通行した場合に限らず、橋は普段からよく揺れており、揺れを検知したからといって直ちに異常発生というわけではありません。また、個々のセンサのアラートを見ただけでは、それが局所的な問題なのか、あるいは橋全体の問題なのかを判断することはできません。実証実験では「外れ値検出」という分析シナリオを用いて、橋の各所に設置された多数のセンサから送られる膨大な観測データをもとに、揺れの波長のスペクトル解析や、揺れの時間差である遅延を考慮した相関分析を行いました。こうすることで、個々のセンサのアラートではなく、橋全体の様相を捉えた上で異常を検知し、警告を発出することが可能になります。このようにプロアクティブ型BIならではの異常検出ロジックを用いることで、橋梁の損傷・劣化による異常を高い精度で即座に検出することができるようになります。

【図】

図:「BRIMOS」の概要

【図】

図:分析シナリオ類型の例(外れ値検出型)

【図】

図:橋梁損傷の検出ロジック

4.グローバルBIとビッグデータの効果的な分析で「変革」を支援

例えば「予兆を発見したい」「異常を検出したい」といったデータの分析・活用の「目的」という観点から捉えると、実は業界が違っても、同じようなデータ形式に対して、同じような目的で、同じような分析をしているケースが多々あります。業務や業態に関係のない、分析の定石といえる「分析シナリオ」が存在するのです。NTTデータでは、これまで手がけてきた200を超える案件をもとに、分析シナリオを「評価・要因分析型」や「予測・制御型」など、9つに類型化(サブ類型も含めると13シナリオ)するとともに、データ分析技法「BICLAVIS®(ビークラビス)」として体系化しています。

ビッグデータというとデータの収集・分析基盤の導入に目を向けがちですが、そうした新たなIT基盤と、分析の定石となる分析デザインはまさに両輪で推進するべきものです。そこでNTTデータでは、グローバル規模のビジネス展開における大規模リアルタイム・データ分析基盤として、Hadoopなどの基盤アーキテクチャの上に、データマイニングや最適化、シミュレーションといった統合分析基盤を設け、さらに9つの分析シナリオをテンプレート化して組み合わせることで、多種多様な要望に柔軟に応えるBIの実現を目指しています。

グローバル規模での導入実績、将来を見据えたビッグデータの有効活用を可能とするビジネス・アナリティクスの豊富な経験や、IT基盤・ITツールに対する中立性といったアドバンテージを持つNTTデータは、グローバルに展開する企業に必要なBIや、ビッグデータへの効果的なアナリティクスを提供。戦略的な情報活用を組み込んだ新たな「変革」を、お客さまとともに実現したいと考えています。

【図】

図:グローバルBIに対応する、大規模リアルタイム・データ分析基盤

【図】

図:グローバルBIとビッグデータの効果的な分析で「変革」を支援

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