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2013年11月7日技術ブログ

本格化する「人工頭脳」のビジネス活用

先端技術の領域で大きな注目を集めている人工頭脳技術をご紹介致します。

数十年に一度の技術革新

人工知能の分野で数十年に一度と言われる技術革新が起きています。従来の人工知能技術では、人間がコンピューターに対して「りんごは赤い」などの判断基準を多数与える必要がありました。しかし、近年注目されているDeep Learningと呼ばれる手法は、コンピューター自身がデータの特徴を捉え、さまざまな判断基準を自ら学んでいきます。より人間に近い処理を実現していることから、私は「人工知能」ではなく「人工頭脳」と呼んでいます。

Deep Learningの注目度は日増しに高まっています。Deep Learningはマサチューセッツ工科大学が2013年に公表した10 Breakthrough Technologies 2013(変革をもたらす10大技術)に選ばれています参考1。世界中の研究者がアルゴリズムの性能を競うコンペティション「Large Scale Visual Recognition Challenge 2012」では、Deep Learningの創始者であるヒントン(Hinton)教授が率いるSuperVisionチームが2位以下を圧倒する大差で優勝を果たしました参考2

Deep Learningの仕組みと応用

Deep Learningはニューラルネットワークと呼ばれる人間の脳を模倣した仕組みを採用しています。ニューラルネットワークは昔から存在する技術ですが、人間の脳に近い多層型では正常に動作しない問題がありました。しかし、ここ10年間の研究でさまざまな課題が克服され、多層型で従来手法を超える性能を確保できるようになりました。

【図】

図:従来方式とDeep Learningの違い

Deep Learningは一般的な手法とは異なり、判断基準を自動で学習することができます。英語を日本語に自動翻訳すると変な日本語になる場合がありますが、これはコンピューターが「日本語らしさ」を理解していないことが原因の一つです。「日本語らしさ」を人間が定義しコンピューターに覚えさせることは非常に困難ですが、Deep Learningであればコンピューターに自動で「日本語らしさ」を学習させることも可能になります。

Deep Learningが得意とする処理は、画像の分類や音声の認識などを行うパターン認識処理になります。既にDeep Learningを用いて音声認識や手書き認識の性能を大幅に向上させた例が報告されています。将来的には、「コンピューターに文章で指示を出す」「大量の資料からコンプライアンス違反の資料を探す」などの高度な処理も実現されると考えられます。

各社の動向

先端企業は、既にDeep Learningを商用サービスに適用しています。Googleは、画像検索やAndroid端末の音声入力にDeep Learningを採用しています参考3、4。AppleのSiriやMicrosoftの音声認識技術にもDeep Learningが利用されています参考5、6。最近では、FacebookがDeep Learningを用いたニュースフィードの性能改善に着手しました参考7

積極的な企業買収も行われています。Googleは、Deep Learningの創始者であるヒントン教授が創立したDNNリサーチ社を買収しました参考8。中国の検索サービス大手の百度(Baidu)は独自の人工知能研究所をシリコンバレーに設立しています参考9。YahooはLookFlow社を買収し、共同してDeep Learning Groupを創設すると発表しています参考10

今後は、手書き文字を理解し分類を行うなど、人間にとっては単純な作業であるがコンピューターでは処理が難しい業務の自動化が進むと考えられます。生活がより便利になる反面、単純労働の減少(雇用問題)、コンピューターの判断誤りを誰が賠償するのか、などの問題が新たに生じると考えられます。

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