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2015年4月16日技術ブログ

車載コックピットシステム性能向上のためのモデリング技法

自動車の進化が、車載HMI(Human Machine Interface)のメーターを車載コックピットシステムへと大きく変化させています。車載コックピットシステム性能向上のために必要なモデリング技法について紹介します。

大型化する車載ディスプレイ

先進運転支援システムADAS(Advanced Driving Assistant System)は、障害物検出警報や車線逸脱警報など、従来にない新しい警報をドライバーに通知します。また、「インフォメーション」と「エンターテインメント」の機能を提供する次世代車載情報通信システムIVI(In-Vehicle Infotainment)や、常時インターネットに接続し無数のセンサーを搭載した「コネクテッドカー」が自動車で取り扱う情報量を桁違いに増加させており、こうした情報を分かりやすく表示することが重要なテーマになります。

図1:トヨタ自動車 水素カー MIRAI

多種多様な警告や情報を取り扱うために、自動車に搭載されるディスプレイがインチアップしており、最近の高級車では12.3インチの液晶パネルが搭載されています参考1。iPad Air3が9.7インチ、iPad mini3が7.9インチであることを考えると、現在の自動車に搭載されたディスプレイがどれ程多くの情報を扱えるが分かります。図1は、筆者がトヨタ会館参考2で撮影したトヨタ自動車の水素カー"MIRAI"のコックピットです参考3。上中下段と3つのディスプレイを持ち、中央のディスプレイは9インチの車載通信機パッケージです。また、最近では、液晶ディスプレイの他に、フロントガラスに画面を投影するHUD(Head Up Display)といった表示装置があります。

対話型ソフトウエアの表記法

ISO/IEC11411は対話型のソフトウエアに適用するソフトウエアの設計や要求定義などの表記法として、有限状態機械の表現法である状態遷移図と状態遷移表を推奨しています。実際どのように状態遷移図・表を用いてモデリングするか、例を用いて説明します。図2に示すHMIのシーケンスをフローチャート(図3)、状態遷移図(図4)、そして状態遷移表(図5)でモデリングします。

図2:HMIシーケンス図

図3:HMI フローチャート

図4:HMI状態遷移図

図5:HMI 状態遷移表

図4の状態遷移図と図5の状態遷移表は同じ振舞いを表す等価なモデルです。しかしながら、図5の状態遷移表の黄色く塗りつぶしたセルに注目してください。状態遷移表では「警告A表示中」に「警告B表示要求」が発生したらどうなるかを、空白セルで示すことが出来ます。この特徴により複雑化するHMI仕様で漏れ抜けを防止します。さらに、空白セルを示す部分はまだ未定義であることを明示しながら、インクリメンタル型プロセスとして開発を進めることができるメリットがあります。多くの機能の調停を行う車載コックピット開発において、全てを定義しないと次に進めないウォータフォール型プロセスは適していません。

図6:HMI 状態遷移表

図6の状態遷移表モデルは、警告AとBが発生した場合、警告Bを優先的に表示するように調停しています。HMIはヒトの感性に訴求するものなので、HMIデザインモデルとHMI仕様モデルを動かしてみては洗練化をすすめるといったイテレーション型開発が適しています。そこで、デザインモデルをPC上でシミュレーションし、ターゲットのGPU(Graphics Processing Unit)上で動作するコードを自動生成する3D社のREMO参考4と状態遷移表モデルをPC上でシミュレーションし、ターゲットのCPU上で動作するコードを自動生成するZIPC参考5を連携したRAD(Rapid Application Development)ツールを開発しました(図7)。

図7:REMO+ZIPC ツール連携

RADによる開発はGUI(Graphical User Interface)ソフトウエアの開発を高速化することができ、開発期間の短縮や開発コストの削減が可能となります参考6、7

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