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2015年12月17日技術ブログ

ヒューマンセンシングの活用について

IoTやウェアラブルデバイスの進展により、4人に1人がスマホを使って健康管理していると言われています。今回のイマ旬!では、現在購入可能なウェアラブルデバイスで計測できることと、計測上の注意点等についてご紹介いたします。

ヒューマンセンシング

人間を計測する方法は、古くから医療や認知心理学、人間工学等で研究が行われており、主な計測方法として、主観評価、行動計測、生理計測、生化学計測等があります。スマートウオッチ等のウェアラブルデバイスの登場により、行動や生理計測に用いられる加速度や心拍等の計測が簡便にできるようになり注目されています。生化学計測は、採血等が伴うため医療従事者でないと実施が難しいのですが、一般企業でも生化学計測ができるようなセンサーデバイスの研究が進められており、登場が期待されています。

【表】

表:人間の計測方法

センシングデータ活用例と注意点

例えば、オフィスワーカーに、心拍/脈波センサーとPCロガー(業務ログ)を用いて、計測することで、ストレスを軸に被験者のオフィスワーカーにとって、苦手な業務や負荷の高い業務が何か分析することができます。また、労働時間数、シフト情報等と合わせて、分析することで、精神面を含めた負荷の高い者、負荷が低い者を把握することができ、改善、最適化等の検討につなげることができます。

心拍/脈波データから自律神経の活動を推定でき、ストレスだけでなく、体調、眠気、覚醒度等の指標とすることができ、セルフマネジメントやウェルネスサービスへの活用が期待されています。

【図】

    図:オフィスワーカーのセンシングデータ活用例

    センシングデータを分析するにあたり、センサーデータのノイズ除去や他のデータとの連携(紐付け、時間同期)等が必要となります。ノイズの少ない良いデータを収集するために、計測の目的、計測方法、手順等の段取りがとても重要で、下記のポイントに注意しましょう。

    注意点1

    何のために、どんなことを計測するか。漠然と心拍だけを計測した場合、計測期間中の自律神経の活動、ストレス状態等を見える化できますが、そのストレスが何の要因でもたらされたか、そのストレスによりどんな影響が出ているのかは分析することは難しいです。そこで、どのような行動をしていたのか、どのような環境だったのか、センシングします。上記例では、PCのログ取得を行いました。ただし、分析の仮説を立てず、収集データ数をやみくもに増やすと分析作業が大変になります。

    注意点2

    センサー装着ミスや通信断等によるデータの欠落を考慮し、計測に用いるセンサー、ウェアラブルデバイスの仕様を把握する必要があります。そこで、センサーの適切な装着方法や同時最大接続・利用数を把握するとともに、計測を行う場所の特性を調査し、計測実験の規模や設計を行います。

    • 現在、ウェアラブルデバイスは、スマートフォンとBluetooth LEを用いて接続し、使うものが多いですが、Bluetooth LEは、40ch(うち3chがAdvertise)あり、同一空間で同時通信できるのは規格上37台となっています。そのため、被験者1人が3つのセンサーで常時計測を行うものと仮定すると同一空間で計測可能な最大人数は12人となります。
    • 近年スマートフォンやヘッドフォン等のBluetooth機器が普及しており、不特定多数の人が出入りする環境では、一時的にBluetoothの混信が発生し、センサーデータが欠落することがあります。センサーにメモリー機能や通信エラー時の再送機能等があれば活用しましょう。
    • センサー装着の方法や計測時の手順を整備し、接触不良による欠落が起こらないようにします。それでもデータが欠落することがありますので、欠落した際の対象方法と分析方法を検討しておきます。

    注意点3

    生理計測は、体調、飲食、コミュニケーションや環境等の多くの影響を受けます。そのため、学術研究では、計測環境、条件を統制し、変動要素を減らします。しかしながら、ビジネス、実環境での計測の場合、すべての変動要素を排除することはできません。そこで、被験者負担とならない程度に、飲食や運動などの条件を統制するとともに、日々、計測開始前に、被験者の体調や睡眠時間等を確認し、風邪等の体調が悪い被験者のデータは活用しない等の対応も必要となります。また、体調などの変動要素を考慮し、計測結果を評価するためには、2週間程度データを蓄積し、正規化するなどの対応が必要となります。

    ヒューマンセンシングの今後について

    近年のウェアラブルデバイスで、活動量や心拍、ストレス等が見える化できるようになり、相対的な評価としてセルフマネジメントには活用できるようになりましたが、血液検査のような絶対評価に使えるエビデンスはまだありません。デバイスメーカや研究機関では、複数のウェアラブルデバイスで計測した結果を大量に蓄積し、行動と生理の因果関係を明らかにし、新たな価値創造のための研究が進められています。また、生化学計測(医療データ)と合わせて収集し、因果関係を明らかにし、絶対評価が可能となるよう研究も行われています。

    当社でも、ヒューマンセンシングやIoTの最新技術動向を基に、新たなビジネスやサービスを検討のため実証実験等を行っております。

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