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2016年2月25日技術ブログ

NTT DATA Technology Foresight 2016シリーズ~Vol.3技術トレンド「分散メッシュコンピューティング」「デザインイノベーション」

NTT DATA Technology Foresight 2016特集。NTTデータが導出した2016年の情報社会や技術のトレンドを6回にわたりご紹介します。第3回目は技術トレンド「分散メッシュコンピューティング」「デザインイノベーション」の2種類です。

分散メッシュコンピューティング

コンピューターシステムのアーキテクチャーはこれまで集中と分散を繰り返してきました。そして、現在はクラウドネイティブ化やIoTデバイスの激増とデータ爆発に伴い、新しい分散型アーキテクチャーが登場してきています。例えばエッジコンピューティング技術参考1があります。IoTデバイスから得られる全てのデータを集中型システムで処理するのではなく、一定のデータ処理をデバイスの近接で処理する方式で、特にリアルタイム性が求められるアプリケーションでの採用が進められています。

また、ビットコインの基盤技術となっている分散型P2Pアーキテクチャーの「ブロックチェーン」参考2は大きな注目を集めており、仮想通貨にとどまらず、多様なシステムへの応用が考えられています。通常、銀行などの金融システムにおいては、整合性を保ちながら取引情報を記録するために、情報処理を一箇所で行う中央集中型のシステムアーキテクチャーを採用していますが、ブロックチェーンではすべての取引記録はP2Pネットワークに参加する複数の分散されたシステム間で共有され、同時に保持されます。そのため、ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれます。そして、ブロックチェーン上で一度記録された取引は削除したり改変したりすることが不可能になるため、すべての取引情報を共有するという高い透明性を持ちつつ、一度行われた取引は不可逆・書き換え不可能にできます。このような特性を持つシステムを低コストかつ高い可用性で実現できる可能性をブロックチェーンは秘めています。現在、金融機関を中心にブロックチェーンに関する実証実験が数多く行われており、2015年10月には米NASDAQが未公開株式の取引システムにブロックチェーンを導入することを発表しています参考3。そして、ブロックチェーンは取引情報を扱う金融システムにとどまらず、インターネット上でさまざまな「価値」の流通・交換に応用できると考えられており、IoV(Internet of Value)を実現する技術としても大きく注目されています。

こうしたさまざまな分散型アーキテクチャーの登場に伴い、今後は集中か分散かといった二極化する議論ではなく、アプリケーションの特性により集中すべき部分と分散すべき部分をうまくバランスさせるアーキテクチャー設計の議論が必要になると考えています。

デザインイノベーション

ものづくりへのVR(Virtual Reality)、センサー、3Dプリンタ、人工知能、ロボット等の適用が進み、高度なデジタルマニュファクチュアリングが実現されるでしょう。既に、ドイツの「インダストリー4.0」参考4、米国の「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」参考5など、デジタル技術を活用することで製造業の競争力を高めようとする動きが世界的に活発化しています。デジタル技術の活用はものづくりの可視化・シミュレーション・リアルタイムな情報共有を実現し、その結果、バリューチェーンの自動化や改良が進み、生産性を劇的に向上させることになります。この動きの中心的な役割を担うのがIoTです。工場などの機械類に各種センサーを取り付け、それらがインターネット接続されることにより、現場の状況がリアルタイムに可視化できます。また、センサーから得られるデータを分析すれば、製造工程の問題点や改善点の発見、故障・異常の検知、自動的に修理なども可能になります。将来的には、運送トラック、配送センターのロボット、販売店のPOSシステムなど、バリューチェーンに関わる全ての物がインターネット接続され、自律的に最適化されるでしょう。

さらに、こうしたIoTの発展は、モノからサービスへのシフトを加速させます。それは、製品(モノ)それ自身の性能だけでは競争力や差別化要素になりえず、そのモノを取り巻くすべての顧客接点を高度化しなければ、高い顧客満足を得られない時代の到来を意味しています。そのような時代においては、より良いサービスを生み出すには、高速に検証を繰り返しながら進化させるデザイン手法のアプローチが重要となります。「デザイン思考」は製品やサービスの設計における差異化要素として近年大きく注目を浴びており、実際に大企業がデザイン思考に強いデザインファームを買収する例参考6が多く見られます。デザイン手法の適用は今後ますます拡大していくでしょう。

【図】

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