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2019年1月21日技術ブログ

圧倒的なコスト削減のための運用集約化の取り組み

生産技術革新の取り組みは、開発領域の取り組みだけでなく、近年RPAの普及により注目を浴びている運用領域についても重要である。本稿では、個々のプロジェクトによる運用改善では得られない圧倒的なコスト削減の実現に向けた運用集約化の取り組みを紹介する。

なぜ運用集約化に取り組むのか

当社ではシステムライフサイクル全体の生産性向上に取り組んでいます。

システムのライフサイクルにおけるコスト構造において実に半分以上を占めているのが運用保守費用です。これまで、当社及び当社グループの各プロジェクトでは構築したシステムに対する運用コスト削減の取り組みとして、BPR(※2)などのプロセス改善、RBA(※3)機能を有したツールの適用やRPAなどを用いて最適化を行ってきました。しかし、どの取り組みもシステム単独での改善に止まり、数%のコスト削減が限界で投資対効果が得られませんでした。

そのため、システム個別の運用から脱却し全体最適の運用を実現することで、圧倒的なコスト削減を実現すべく運用集約化に取り組んでいます。

どのような運用集約化を目指しているのか

当社及び当社グループの各プロジェクトでも複数のシステムを集約して運用している現場は既に存在します。これらは人と場所の集約によってオペレーターの待機稼働の有効活用によるコスト削減を実現しています。しかし、システムごとに例えばオペレーターが実施する運用手順や機器からのアラート発生時の対応プロセスが異なる状態で集約しているため、手順に対する自動化やプロセス改善はあくまでシステム個別最適の改善レベルにしかなりませんでした。これを打破し全体最適の運用を実現するためには、プロセス・手順の標準化の上で人・モノ・プロセスをまたがる自動化を実現することが必要と考え取り組んでいます。(図1参照)

図1:当社が目指す運用集約化の概要

また当社では数多くの業務アプリケーションの開発・運用をしている背景から、目指している集約化は一般的な集約サービスである「リモート運用サービス」や「マネージドサービス」といったハードウエア、ネットワーク、OS、ミドルウエアといった共通的なシステム基盤レイヤだけでなく、業務アプリケーションレイヤーも含めたトータルな運用集約化を目指しています。(図2参照)

図2:当社が目指す運用集約化のカバー範囲

実現に向けてどのような課題があるのか

これまで述べてきた運用集約化を実現する上での大きな課題は、複数の商用環境を集約先に接続することによる各システムのデータ保護、集約先への不正アクセス防止といったセキュリティ課題を解決することです。これら課題に対しては、FISC安全対策基準(※4)、政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準(※5)などのガイドラインや業界標準をインプットに十分なセキュリティ対策を検討する必要があると考えています。これら課題を解決することは、本取り組みの強みにもなると考えています。

今後の展開について

本運用集約化の取り組みをマネージドサービスとして展開できるよう、それぞれ強みを持ったベンダーと協業を始めており、取り組みを進めています。現在当社内のプロジェクトが運用するシステムで、運用集約に向けた標準化・自動化のPoC(※6)を実施し、効果や実現性の検証を行っています。これら検証結果をもとに本格展開に向けたサービスのケイパビリティ拡大を加速化していきます。

※1Robotics Process Automation

ロボットを使って主にホワイトカラーが行っている事務作業を自動化することを指している概念
http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/blog/20170517.html

※2Business Process Re-engineering

ビジネスの過程(プロセス)を根本的に見直し、設計し直す(リエンジニアリング)ことを指している概念

※3Run Book Automation

システム運用管理の作業手順書に記述された一連の作業を自動化する技術

※4FISC安全対策基準

公益財団法人金融情報システムセンターがまとめた金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書

※5政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準

https://www.nisc.go.jp/active/general/kijun30.html

※6Proof of Concept

新しい概念や理論、原理などが実現可能であることを示すための簡易な試行

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