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2020.6.10事例&対談

ASEANの貴重な歴史的文化遺産をデジタルアーカイブ!
地域の一体感醸成にもつなげるグローバルプロジェクト

ASEAN各国が力を合わせ、それぞれの貴重な文化遺産をデジタルアーカイブするプロジェクトが力強く動き出しています。
本プロジェクトには、NTTデータのデジタルアーカイブソリューション「AMLAD(アムラッド)」が活用されています。
プロジェクト始動のきっかけからデジタル化、アーカイブサイト公開までの道のりをたどります。

図1:左から時計回りにPrajnyaparamita Sculpture(インドネシア国立博物館)、Manuscript cabinet on pig-legged(タイ国立図書館)、BELT BUCKLE(マレーシア博物館局)、Statue of Avalokitesvaraの3Dデータ(マレーシア国立博物館)

(図1:左から時計回りにPrajnyaparamita Sculpture(インドネシア国立博物館)、Manuscript cabinet on pig-legged(タイ国立図書館)、BELT BUCKLE(マレーシア博物館局)、Statue of Avalokitesvaraの3Dデータ(マレーシア国立博物館))

「一つのASEAN」を目指した統合プロジェクトが始動

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、東南アジアの10カ国が参加する地域協力機構です。ASEAN各国はそれぞれが長い歴史と多彩な伝統文化を誇り、貴重な文化遺産を数多く有しています。ASEAN地域全体各種事業を取り仕切るASEAN事務局(インドネシア・ジャカルタ)では、こうした文化遺産を保全・継承するためデジタル化してアーカイブを構築し、オンラインで公開するプロジェクト「ASEAN Cultural Heritage Digital Archive(ACHDA)」を推進しています。
ASEANの10カ国は歴史的、宗教的、文化的に多彩な面を持っていることから、各国の相互理解と「一つのASEAN」の意識醸成、文化交流の活発化が課題になっていました。ACHDAは、こうした課題の解決にポジティブな効果をもたらすと期待されています。本プロジェクトで、文化遺産のデジタルアーカイブ構築にあたり重要な役割を果たすのが、NTTデータが提供する「AMLAD」です。

多くの関係者が絡み、意義も大きな“チャレンジ”

ACHDAには、ASEAN事務局、ASEAN各国政府、資金を拠出する日本政府といった多様なパートナーが関わっています。その中で、デジタルアーカイブソリューションとしてなぜ「AMLAD」が注目されたのか。営業担当として関係者との合意形成や各種折衝を担い、「AMLAD」導入の推進役となった長谷部旭陽は次のように語ります。

社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 第一営業担当 長谷部旭陽

社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 第一営業担当
長谷部旭陽

「ASEAN事務局及びASEAN各国が抱える『一体感の醸成』という課題に対して『AMLAD』を適用できるのではと考え、在ASEAN日本政府代表部の方を通じてASEAN事務局の皆様とお話させていただいたのが、そもそもの発端です。国立国会図書館様やバチカン図書館様などとの実績もご紹介しつつ、文化財保全・活用にかける我々の想いをお伝えし、その意義に共感していただくことができました。本プロジェクトを日本政府が拠出する日・ASEAN統合基金によって実施することも、そうした中で決まっていきました」
ASEAN事務局に対して初期提案を開始したのが2016年。その後、ASEAN事務局や各国にプロジェクトの意義と概要を説明しながら、承認に向けたプロセスが進められました。
最終的にプロジェクトが承認され、動き出したのは2018年6月のことです。10カ国中、まず第1フェーズとしてどの国の文化遺産をデジタル化するかが議論され、NTTデータがASEAN事務局とともに各国政府の文化担当部門と折衝を続けた結果、インドネシア、タイ、マレーシアの3カ国に決定しました。
これまでにも「AMLAD」プロジェクトでは多数の機関が保有するデジタルデータを集約したデジタルアーカイブを構築してきましたが、今回のプロジェクトでは、ASEAN事務局を中心に、加盟10カ国、さらには日本政府も含め、国をまたいだ多様なステークホルダーが関わります。プロジェクトが正式決定したときの思いを長谷部はこう振り返ります。
「非常に大きなやりがいを感じるとともに、ASEAN各国の事情を勘案しながらプロジェクトを進めなければいけませんでしたから、当社としてこれまでにない挑戦になると感じました。同時に、文化遺産を将来に遺していく意義に加えて、ASEAN10カ国が一丸となって取り組み、未来に向けた一体感を醸成していくことがACHDAの大きなテーマとして掲げられていたので、そこに当社としてお手伝いできる点でも非常に意義深い話だと思っていました」
「AMLAD」をベースにしたACHDA向け統合デジタルアーカイブシステムの開発と、各国文化遺産のデジタル化作業をプロジェクトマネージャーの立場から担当したのが、川嶌健一です。その川嶌も「ASEAN各国がお互いの多様性を知り、認め合うためのツールとして位置づけられています。その意味で責任の重さを感じ、身の引き締まる思いでした」と振り返ります。

立体造形物の3Dデータ化という新たな挑戦

第1フェーズでは、3カ国が選定する文化遺産を順次デジタル化する方針が決まり、最終的に計約160点がデジタル化されました。従来、「AMLAD」のプロジェクトで対応していたのは文献や絵画等の画像・音声・動画データのみ。ACHDAではそれらに加えて、新たな試みも導入しています。仏像や宝飾品といった“3次元”の造形物のデジタル化です。
川嶌は、開発担当としての日々をこう証言します。

社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 第一開発担当 課長 川嶌健一

社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 第一開発担当 課長
川嶌健一

「プロジェクト開始から半年後の2018年末までに『AMLAD』の機能を拡充し、統合デジタルアーカイブシステムを作り上げました。これと並行して、2年間のプロジェクト期間で順次各国に赴いて文化遺産のデジタル化を行い、そのデータを日本に持ち帰って加工や公開に向けた準備も進めていきました」
川嶌は、現地の大切な文化遺産を扱う畏れも抱きつつ、対象物に非接触でデータを取得するのはもちろん、光などを当てる場合も遺産そのものに最も影響の少ない方法を選ぶなど、とにかく慎重に慎重を重ねて作業を進めたといいます。
「東南アジアの高温多湿な環境の影響を機器が受けてしまうため、温度・湿度には特に気を配っていました。また、電圧が安定せず機器が止まってしまうこともしばしばで、日本から電源を携行したこともありました」と川嶌は振り返ります。

図2:3Dの電子化において特に難易度の高いのが、光沢があるもの、不安定・複雑な形状のもの、細いものなどです。対象物によって電子化の方法を工夫し、色や形状を再現しました

(図2:3Dの電子化において特に難易度の高いのが、光沢があるもの、不安定・複雑な形状のもの、細いものなどです。対象物によって電子化の方法を工夫し、色や形状を再現しました)

最大のポイントである立体造形物の3Dデータ化においては「3D形状を取得し、撮影した静止画をその3D形状に貼り付ける方式」と「静止画を全周囲から撮影し、それを解析し統合することで3Dデータ化する方式」の2種類を、対象とする文化遺産によって選択。仏像など形状を重視する文化遺産は前者、表面の絵や模様が美しい文化遺産では後者を採用しました。
「苦労もありましたが、各国の現地担当者がとにかくものすごい熱量をもって協力してくれました。そのパッションに助けられた部分がたくさんあります」と、長谷部も川嶌も口を揃えます。

図3:形状の再現を重視したい対象物では、3Dスキャナを使って3D形状を取得し、静止画を貼り付けます。この方式は時間や手間がかかるため、現地担当者とのより密接な連携が求められます

(図3:形状の再現を重視したい対象物では、3Dスキャナを使って3D形状を取得し、静止画を貼り付けます。この方式は時間や手間がかかるため、現地担当者とのより密接な連携が求められます)

図4:色の再現を重視する対象物や、大型の対象物では、静止画を全周囲から撮影する方法を採用しました。その2Dデータを解析することで3Dデータ化を実現します

(図4:色の再現を重視する対象物や、大型の対象物では、静止画を全周囲から撮影する方法を採用しました。その2Dデータを解析することで3Dデータ化を実現します)

ACHDAサイトの公開を受け、次のフェーズに目を向ける

デジタル化自体は2019年末に完了。年が明けても公開に向けた準備が続けられ、2020年2月27日、ACHDAサイトが無事公開されました。今後は残る7カ国を対象とする第2フェーズ、第3フェーズが予定されています。
第1フェーズのサービス開始を受け、ASEAN事務局及び3カ国担当者のコメントを紹介します。

「今後より多くの遺産がデジタルアーカイブ化されることで、ASEAN地域の豊かな文化遺産に対する意識を高めていきたい。NTTデータの献身とプロフェッショナルな仕事に感謝します」(ASEAN事務局・Jonathan Tan Ghee Tiong氏)

「NTTデータは、各文化遺産のデジタル化を通じた完璧なプラットフォームの構築に多大な努力をつぎ込んでくれました。今後は最新技術の共有で各国が独自にデジタル化を進められるようになることを期待しています」(インドネシア・Khanifudin Malik氏)

「国の文化のデジタル化は、私たちと将来の世代にとって非常に重要であり、ACHDAプロジェクトでの経験はきわめて貴重なものとなります」(タイ・Wirayar Chamnanpol氏)

「NTTデータが今後のフェーズでも引き続き努力してくれることを期待しています。また、次フェーズ以降の各国が私たちの経験から学ぶことも願っています」(マレーシア・MOHD ZAMZURI BIN AB GHANI氏)

図5:左からASEAN事務局・Jonathan Tan Ghee Tiong氏、インドネシア・Khanifudin Malik氏、タイ・Wirayar Chamnanpol氏、マレーシア・MOHD ZAMZURI BIN AB GHANI氏

(図5:左からASEAN事務局・Jonathan Tan Ghee Tiong氏、インドネシア・Khanifudin Malik氏、タイ・Wirayar Chamnanpol氏、マレーシア・MOHD ZAMZURI BIN AB GHANI氏)

最後に、長谷部はこう振り返ります。
「サービス公開に際し、ASEAN10カ国が集まる場を持ちました。その場で第1フェーズの各国から、第2、第3フェーズでの参加を予定している各国に向けて『NTTデータに任せておけば安心できる』と言っていただけたことが望外の喜びでした。次フェーズ以降についてもASEAN事務局や参加国には前向きに検討していただいていますし、日本政府側からも『絶対に最後までやり遂げなければいけないものなので、がんばりましょう』との声を頂戴しています。関係者のみなさんと力を合わせて、なんとしてもやり遂げたいと心に誓っています」

参考

2020年2月27日ニュースリリース ASEAN全域の歴史的文化遺産をデジタルアーカイブ、世界公開へ
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/022700/
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