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2021.3.15技術ブログ

品質技術のニューノーマルが分かるSQuBOKガイドの改訂

デジタル社会の実現に向けて、システムやソフトウェアの重要性が高まっている。一方で、それらの品質が低いことで社会問題に発展することがしばしばある。本稿では、新しい時代における品質保証のために知っておくべきノウハウが詰まったガイドを紹介する。

はじめに

2014年12月に「SWEBOKとSQuBOK®~2つの知識体系ガイドの改訂~」という記事を書きました。それから約6年が経ち、いくつかの知識体系ガイドの改訂作業が進められています。本稿では、私が関わったSQuBOKガイド(ソフトウエア品質知識体系ガイド)の改訂を中心に、知識体系ガイド改訂の最新情報をご提供します。ソフトウェア開発に関わる方は是非知っておいてください。

知識体系(BOK)と知識体系ガイド

前述の記事にも書きましたが、知識体系(BOK)と知識体系ガイドについて簡単におさらいします。
知識体系(BOK:Body of Knowledge)は、ある専門領域における知識の総和を意味します。たとえば、SQuBOKはソフトウェア品質に関する技術やノウハウ、規格・標準などのさまざまな知識が集まったものです。この知識体系を利用しやすくするために構造化、可視化したものが知識体系ガイドです。SQuBOKに対してはSQuBOKガイド(ソフトウエア品質知識体系ガイド)という書籍としてまとめられています。

知識体系の種類

ソフトウェア開発に関係する代表的な知識体系を図1に示します。

図1:知識体系(BOK)と知識体系ガイドの種類

図1:知識体系(BOK)と知識体系ガイドの種類

ソフトウェア開発にはさまざまな専門領域があるため、それぞれの領域に対する知識体系が作られています。もちろん、自身が携わる作業に関連した知識体系を学ぶことは必要ですが、それ以外の知識体系も知っておくとよいでしょう。自身の専門ではない領域の知識体系も参考にすることで、視点を変え、視野を広げることができます。

知識体系ガイドの改訂

国語辞典が何年かおきに改訂されるのと同様に、知識体系も情報を最新化するための改訂が不定期に行われます。知識体系の改訂が必要になる大きな理由は2つの変化があるからです。
1つは技術の変化(進化)です。この技術には「開発するモノに使われる技術」と「開発で使う技術」という2つの意味があります。前者は5GやVR/AR/MRなど、後者はアジャイル開発などが最近の代表例です。AI(人工知能)やクラウドはどちらにも該当します。
もう1つはニーズの変化、つまりソフトウェアを使う「人」の求めるものが変わります。たとえば、提供されるスピード、価格の安さ、セキュリティの高さ、安心・安全など、何にどのぐらい期待するかは時代によって変わります。これらは、社会的な関心事や世の中の状況が影響することが多いでしょう。
こうした変化に対応して、開発の方法や考え方も変わるため、知識体系の改訂が必要になります。

図1に示したとおり、SQuBOKガイドが昨年(2020年)改訂されました。他のガイドも頻繁に更新されており、PMBOKとSWEBOKのガイドは今年中の改訂を目指しているとのことです。

SQuBOKガイドとは

ここからは、SQuBOKガイド(ソフトウエア品質知識体系ガイド)(※)に焦点を当てます。改訂内容を説明する前に、SQuBOK、およびSQuBOKガイドについて簡単に紹介します。

SQuBOKの大きな特徴は、日本発の知識体系(BOK)という点です。PMBOKやSWEBOKなど海外で作られたBOKが多い中、SQuBOKは日本の企業や大学・研究所の有識者から成るSQuBOK策定部会が検討し、ガイドを執筆しています。私もその部会メンバーの一人です。

日本は諸外国に比べて品質に対する意識が非常に高く、高品質な製品を開発してきました。そこで培われた技術を体系化、そして形式知化するために、SQuBOKガイドが編纂されました。SQuBOKガイドでは、品質に関する多岐にわたる情報が、「ソフトウェア品質の基本概念」、「ソフトウェア品質マネジメント」、「ソフトウェア品質技術」という3つのカテゴリに分けて整理されました。品質に関するさまざまなトピックの定義や詳細を知るための辞書として、あるいは参考文献を知るための手がかりとして使ったという事例を多く聞いており、ソフトウェア開発者のみならず、経営者や学生など幅広い層の方が活用しています。

(※1) ソフトウェア品質知識体系ガイド

https://juse.or.jp/sqip/squbok/index.html

SQuBOKガイドの改訂

SQuBOKガイドの初版は2007年に発行され、2014年に第2版に改訂されました。それから6年後の2020年に第3版が発行されましたが、改訂作業自体は3年をかけて行われました。ここでは、今回の第3版での主な改訂ポイントを3つ紹介します。

1.「専門的なソフトウェア品質の概念と技術」カテゴリの新設
先述のとおり、第2版までは3つのカテゴリで整理されていましたが、第3版で新たに2つのカテゴリが追加されました。その1つが「専門的なソフトウェア品質の概念と技術」です。 このカテゴリには、ユーザビリティ、セーフティ、セキュリティ、プライバシーの4つに関する情報が含まれています。これら4つについては、第2版ではソフトウェア品質技術カテゴリに含まれていましたが、近年の関心の高まりを鑑みて、新たなカテゴリに格上げされました。技術や社会の変化に伴い、今後もこのカテゴリに新たなトピックが追加される可能性があります。

2.「ソフトウェア品質の応用領域」カテゴリの新設
新たに追加されたカテゴリのもう1つは「ソフトウェア品質の応用領域」です。このカテゴリでは、人工知能、IoT、アジャイル開発/DevOps、クラウドサービス、オープンソースソフトウェア利活用という5つの領域に関する品質について解説されています。ここで取り上げられているものは、最近のソフトウェア開発でよく扱われる技術です。これらの技術に対しては、従来の品質管理や品質保証のやり方、考え方をそのまま適用するのは難しい場合があるため、それぞれに特化した情報を解説しています。

これら2つのカテゴリが新設されたことにより、SQuBOKの全体構造を示す樹形図は図2のようになりました。

図2:SQuBOK樹形図の一部(カテゴリ層から知識領域まで)

図2:SQuBOK樹形図の一部(カテゴリ層から知識領域まで)

3.国際規格の改訂への対応と従来の知識の整理
以前からあったカテゴリについても、内容を見直しています。特にSQuBOKガイドでは多くの規格を参照しているため、第2版の出版以降に改版、新設、廃止された規格の情報を反映しました。
第3版は2つのカテゴリが増えたにもかかわらず、全体のページ数は381ページで、第2版より27ページ減っています。たとえば、私が執筆をした「テスト技法」では、これまでは個々の技法について詳しい解説をしていましたが、第3版では表にまとめてスリム化を図りました。もちろん、最低限の情報は載せていますが、詳細は参考文献をご覧いただくという形にしています。このような修正を含め、全体的に記述内容を確認して、構成の変更や内容の最新化をしました。

まとめ

新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、日本ではデジタル化が立ち後れていることが露呈されてしまいました。SQuBOKガイドについての説明の中で「日本の製品は高品質」と書きましたが、これが過去形になりつつあり、日本の技術が不安視されている状況ではないかと思います。このような状況を打破するためにも、SQuBOKガイドを読んで、先人たちの知恵を改めて吸収し、品質技術を学び直すとともに、新たな技術にも対応するスキルを身につけることが求められます。組織やプロジェクトの品質戦略・計画の策定や遂行、品質技術者の育成に、SQuBOKガイドをぜひご活用ください。

NTTデータでは、SQuBOKガイドにまとめられた品質技術を参考にしながら、先進的な開発においてもソフトウェアやサービスの品質、価値を保証することで、デジタル社会の実現に貢献します。

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