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2021年9月16日トレンドを知る

金融業界 データ活用最前線 ―DX実現に向けた3つの視点―

金融業界では既存ビジネスの価値最大化、新規ビジネスの創発が課題となっている。デジタル社会におけるデータは顧客、社会の変化を捉える源泉であり、データ活用は課題解決の手段の一つとなりうる。データ活用でどう価値を創出するか。具体的事例をまじえて紹介する。
目次

金融業界におけるデータ活用は、預金や融資など金融機関にとって最も重要な業務をつかさどる基幹系(勘定系)システムから、リスク管理、経営管理、マーケティングなどを目的とした情報系システムにスコープを広げ、そして最近は、データドリブン経営の実現に向けたDX推進の取り組みとして、新しい視点でのデータ活用のニーズが高まっています。

一方で、一言でデータ活用といっても何から手を付けていいかわからない、という声も聞かれます。今回は、金融業界でデータ活用に取り組む筆者が、以下の3つの視点から最新のデータ活用の取り組み事例を取り上げ、それぞれどのような価値を創出しているか、ご紹介します。

  • システム未管理の未活用データを活用する視点
  • システム管理済みだが、いままで活用されてないデータを活用する視点
  • すでに活用されているデータを新しい仕組みで活用する視点

図1:データ活用の3つの視点

図1:データ活用の3つの視点

事例1:ネット情報や音声情報を活用した業務改善

勘定系システムのデータでも情報系システムのデータでもない、インターネット情報を活用する事例が増えています。
鮮度が高いインターネット情報は、最新の顧客情報把握に適しており、審査業務や営業活動へ活用され、業務の精度向上や効率化を実現しています。この背景には、自然言語処理技術の進歩により、膨大なインターネット情報を、人を介さず自動で確認できるようになったことが大きく影響しています。
また、音声認識技術の進歩により、音声をリアルタイムでテキスト化することも可能になりました。多くの金融機関では、この技術を活用したソリューションをコールセンタに導入し、オペレーターの質疑応答スピードと品質の向上を実現しています。
しかし、テキスト化した情報の活用範囲はこれだけに限りません。例えば、コールセンタへの問い合わせの中で、顧客が自身のライフイベント(結婚、引っ越し、等々)がきっかけで問い合わせしていることがわかるケースがあります。このライフイベントの情報をプロモーション領域やマーケティング領域で活用し、トップラインの向上まで実現しているケースも増えてきています。

図2:ネット情報や音声情報を活用した業務改善

図2:ネット情報や音声情報を活用した業務改善

事例2:「文脈」を理解するAIが営業日報を自動解釈

たとえば、既存システムに格納されている営業記録を思い浮かべてください。営業活動の記録は残っていても、記録した本人にしか活用されておらず、組織的に活用できていない、ということはありませんか?
自然文で書かれた文章は、単語の意味だけでなく文脈をとらえて理解する必要があるため、これまでは人間にしか取り扱えないという制約がありました。
しかし最近は、キーワードを抽出する際に文脈を捉えた分析が可能になってきていることで、過去の大量の自然文を営業担当者が全て読まなくても、システムが顧客属性を把握して簡潔に営業担当者に伝えることが可能になりました。これにより、顧客理解の促進や営業活動、クレーム対応の効率化を実現する事例が増えてきています。

図3:「文脈」を理解するAIが営業日報を自動解釈

図3:「文脈」を理解するAIが営業日報を自動解釈

上記図の中の例では、「ローリスクローリターン」という言葉がポジティブな意味合いで使われていますが、これまでの単語レベルの解析技術では「ローリスクローリターン」がネガティブなのかポジティブなのか判別できませんでした。文脈を捉えた分析の精度の向上が、未活用データの活用の幅をさらに広げてくれることでしょう。

事例3:顧客関係を数珠つなぎに整理、新たな関係性を発見

たとえば、データ配信会社から購入する企業情報には、取引先企業の情報(仕入れ先企業名や販売先企業名)も含まれています。名刺管理システムには、取引先の組織名、担当者名があり、また自社の担当者名が含まれています。CRMにも取引先担当者名、自社担当者名が含まれています。
これら、企業名、組織名、担当者名を表形式で管理するのではなく、グラフ形式(下図)で管理、可視化する技術があります。このグラフ化の技術により、顧客を単一の視点で見るのではなく、顧客と顧客を取り巻くビジネス環境を可視化し(顧客360°ビュー)、これまでできなかった新しい発見が可能になります。
具体的には、新規有望顧客の発掘、反社組織(高リスク顧客)や要注意人物との関係性発見、営業アプローチルートの可視化などのユースケースを通して、リスク管理の高度化やトップラインの向上を目指す取り組み事例が生まれています。

図4:顧客関係を数珠つなぎに整理、新たな関係性を発見

図4:顧客関係を数珠つなぎに整理、新たな関係性を発見

スモールスタートでデータ活用の効果を体感し、本格導入を目指す

今回ご紹介した事例に共通する進め方は、各金融機関がユースケースを明確にし、スモールスタートから順次拡張するスキームで導入を進めたという点です。どう始めてよいのか分からないという金融機関でもまずは小さくスタートすることで、課題が明確になり取り組むべき次のステップが見えてくることがほとんどです。
NTTデータではデータ管理の高度化を実現するABLER®ブランドを通じて、コンサルティング、試行利用、本格運用まで一気通貫でお客さまをご支援します。

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