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2023年4月19日トレンドを知る

連載:一巡した企業のDX。つぎの潮流を読む(2)

デジタルトランスフォーメーション(以降DX)の取り組みを多くの企業が進めており、DXを企業文化に組み込み、新たな事業運営の仕組みを備える転換期が訪れている。DX推進を一通り実施した中で、次に立ちはだかる壁は何か?計4回の連載記事で紹介する。
目次

前回の記事では各社が取り組むDXの変遷を振り返りながら、現時点での各社のDX成熟度の実態や現在直面している課題を提示した。また、DXが一巡したこれからの取り組みの方向性および必要となる要素についても議論した。

今回(第2回)はDX二巡目の活動における重要論点を提示し、各社の取組内容もふまえて具体的に議論していく。

DX二巡目におけるデジタル戦略再構築の重要性

Q:DX二巡目における重要論点とは?

法人コンサルティング&マーケティング事業部 デジタルストラテジー&タレント統括部 廣瀬 裕己

法人コンサルティング&マーケティング事業部
デジタルストラテジー&タレント統括部
廣瀬 裕己

廣瀬第1回目の記事で掲載したとおり、今後のDXに関する取り組みの中心となる活動は「事業競争力の強化」や「新たなビジネスモデルによる顧客への付加価値提供」であると我々は考えています。つまり、DXを通じて自社のビジネスを変革し、事業成果を拡大することが求められています。それを実現するためには全社戦略に基づき部門横断的にDXを推進していく必要があるため、デジタル戦略の再構築が今後の重要な論点の1つとなります

法人コンサルティング&マーケティング事業部 デジタルストラテジー&タレント統括部 加藤 智将

法人コンサルティング&マーケティング事業部
デジタルストラテジー&タレント統括部
加藤 智将

加藤DXの取り組み初期の段階では、「なぜ自社としてDXに取り組むのか?」というDXビジョンを定義することにより、全社としてのDXの方向性を合わせていくことから始めていきました。一方、現在では、「全社での事業成果を拡大していくためにどうするか?」という課題に対応していく必要があります。日々さまざまな企業のDX部門を支援する中でも事業成果の拡大に対する感度が高まり、デジタル戦略の見直しに関わる場面が増えていると感じています。

デジタル戦略再構築の潮流

廣瀬NTTデータがご支援した、ある企業様のケースでは、DXによる新規事業創出の取り組みはあえて既存事業と切り離して推進をされていました。この方法は推進スピードを早めるためには有効です。しかし新規事業単体と既存事業の事業成果に規模の乖離が大きいため、全体から見た事業成果が限定的になっていました。そこで、より事業成果を拡大していくために、新規事業を既存事業の変革に組み込む全社戦略を策定するプロジェクトが新たに始まっています

加藤案件一つ一つで効果を生み出す「点」のDXではなく、「面」のDX戦略から新たな事業創出を実現しようとする潮流ですね。ほかにも、目先の顧客だけでなく、その先の顧客(一般利用者など)まで見据えて、バリューチェーンや顧客への提供価値の再定義をするという潮流もあります、ある製造業様の案件では、故障に対する対応速度や運用の容易さなど、顧客のニーズにフォーカスしたサービスを検討したものの、他社との差別化ができなかった。そこで、顧客のカスタマーエクスペリエンスを可視化・分析し、顧客が何を求めているのかを真摯にとらえることで新たなサービス創出につながる真の課題が出てきました。

デジタル戦略の再構築で注意すべきこと

廣瀬1つ目のポイントは、既存事業とDXによる新規事業を融合させることです。これまで立ち上げた新規事業を既存資産の活用や既存事業とのシナジーという観点で再定義し、既存事業の成長・変革へとつなげていくための戦略を策定することで、企業全体としての事業成果が拡大できます。
これはデジタルネイティブ企業であるGAFAMの事業運営のしくみにも見られます。GAFAMでは新規事業の立ち上げは、自社の既存資産活用・コアビジネスへのシナジー効果を考慮して行われています。一方、多くの国内企業ではボトムアップでDX新規事業を創出してきたことから、今後、新規事業と既存事業を戦略的に融合させるロードマップを描くことが重要です

加藤もう一つのポイントはやはり、顧客への提供価値の再定義やフォーサイト(顧客も気づいていない未来像)ベースでサービスを創出することです。特にBtoBのビジネスでは最終利用者との距離が離れているため、自社内に閉じたボトムアップ型の変革になりがちです。新しい視点での検討には企業のマインド変革が必要です。そのためにまずは社内に、DX特区のような形で、顧客への提供価値にフォーカスしたサービス検討チームを組成し、フォーサイトを描くためのメソッドや小さな成功事例を蓄積していきます。併せて社内のマインド変革や人財育成を支えるさまざまな仕掛け(コミュニティ活動、研修・評価制度)の整理も必要です。マインド変革はDX推進事務局自身も例外ではありません。DX推進事務局自らが事業仮説を立案し、事業側と積極的に対話していくような行動が必要です。DX先進企業といわれる企業においても、マインド変革の必要性を認識していながら具体的な打ち手に悩まれているところも多くあります。最近NTTデータとしてもお客様からマインド変革の伴走支援を強く求められることが増えています。

次回は、若手社員の目線でみた、DXの現場についてお届けします。

関連リンク

DX推進のアプローチの課題・成功に向けたポイントについて、2021年に「企業のDX推進アプローチ」として紹介した。

企業のDX推進アプローチ(1)~各社のDX状況~
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/0303/
企業のDX推進アプローチ(2)~DX活動の課題~
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/031001/
企業のDX推進アプローチ(3)~成功に向けたポイント~
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/032201/

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