スマートオフィス実現に向けた現状
今年度も節電対策として、ビル閉鎖、フロア閉鎖、工場閉鎖などの対応が積極的に行われています。とはいえども、簡単に代替の労働環境が確保出来ない現状もあります。今回は、普段よりオフィス省力化を考え、対策を行う事で節電対策、経費削減、環境配慮が実現可能となるスマートオフィスについて考えてみます。
オフィスの改善ポイントは、オフィスのスペース量とオフィスの使用量です。普段から周りを見渡すと空き座席などの無駄なスペース、資料印刷の為に出勤する無駄な稼働が職場には多く存在します。オフィス省力化のためには、無駄なスペースの削減、経営資源の電子化などを行い、スマートオフィス化を目指すことが必要となります。スマートオフィスの実現には「オフィス外で働ける仕組みづくり」の対応が必要です。
スマートデバイスで見直されるシンクライアント
オフィス外で働く仕組みを作る為に、以前より「シンクライアント」が多く選ばれ、端末は「ノートPC」を選ぶ事が一般的でした。しかし、システムコストが高いため、普及の妨げになっていました。現在の仕組み作りでは先に端末として「スマートデバイス」が選ばれ、スマートデバイスが実現可能なシステム方式として「シンクライアント」「ネイティブアプリ」「webアプリ」から選ぶ方法が主流となってきています。それだけスマートデバイスが注目されているという事です。
スマートデバイスが選択される主な理由として、低価格、軽量、高速モバイル回線搭載、高いセキュリティ、バッテリーの持続時間の長さなどが挙げられます。多くの企業がスマートデバイスに可能性を感じ、試行導入を開始しています。十分なセキュリティが確保されている事から、金融機関での導入も盛んになっています。
図:スマートデバイスを組み合わせたスマートオフィス構成(イメージ)
多様化するスマートデバイス
スマートデバイスとしては、スマートフォン、タブレットが一般的ですが、将来のインフラとして「スティック型クライアント」が注目されています。スティック型クライアントは、USBメモリーの様な大きさ、形をしていますが、HDMIポートに接続して使用します。端末をタブレットにしてしまうと、操作性の面で相性が良いとは言えませんが、スティック型クライアントは、スマートデバイスと同じOSが搭載されキーボードやマウスを接続して利用する為、操作性も問題ありません。OS起動後は、アプリケーションや証明書を導入する事で、シンクライアント、ネイティブアプリ、webアプリケーションなどが利用可能です。また、価格も非常に魅力的で、ノートパソコンの1/5程度で導入可能です。
市場に投入されている代表的な製品として以下のものがあります。
- Dell社(Wyse社)のThinOSを搭載した「Project Ophelia参考」
- Google社のAndroid OSを搭載した「Androidスティック」
スティック型クライアントは持ち歩きが容易で、モニタと無線LAN環境を確保すれば、社内アクセスが出来る為、自宅、ホテル、ネットカフェなどで働く事が可能となります。テレワークを推進しオフィス稼働を削減する事は、オフィス省力化を促進するだけでなく、労働効率を向上させ社員満足度の向上にも寄与します。
このように、スマートオフィスの実現に向け、スマートデバイスを通じて「オフィス外で働ける仕組み」が整いつつあります。パンデミック対策、災害対策などBCPの策定にも活用出来るため、企業戦略やワークスタイル変革の一環として、スマートオフィスを視野に入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献
- 参考Project Ophelia