SDNはアーキテクチャ
SDN(Software-Defined Networking)とは、ネットワーク装置をハードウェアとソフトウェアという2つの構成要素に分離して捉えて、このハードウェア上にネットワーク機能をソフトウェアで実装するというアーキテクチャを意味します。最近になって脚光を浴びているキーワードですが、このアーキテクチャ自体は決して新しいものではなく、今あるほとんどのネットワーク装置が、SDNのアーキテクチャで実現されています。
アーキテクチャのオープン化
かつてのサーバーは、ハードウェアとソフトウェアの関係をブラックボックス化したメインフレームと呼ばれるベンダー固有のアーキテクチャで構成され、システムに新たに機能追加できるのはメインフレームを提供するベンダーのみに限られていました。これを長い年月をかけてハードウェア・OS・アプリケーションにオープンに水平分離したアーキテクチャへと変遷させることでベンダーロックインが解消され、標準仕様を採用する汎用サーバー上では、誰でも自由にソフトウェアによるシステム開発をすることが可能になりました。
翻ってネットワークの世界では、SDNアーキテクチャもハードウェアとソフトウェアで構成されるものの、依然としてユーザーにはブラックボックスであり、ソフトウェアの開発はベンダーのみが実施するというクローズな状況が続いていましたが、最近になりベンダー以外が独自に経路計算機能やフォワーディング機能等のネットワーク機能を開発する環境が整いつつあり、まさにSDNアーキテクチャのオープン化が始まりつつあります。
図:アーキテクチャのオープン化
なぜ、いまSDNが注目されるのか?
近年、企業活動を支えるICTシステムへの要望が複雑化・高度化するなか、ネットワークがボトルネックで実現困難となるICTシステムを散見します。しかし、SDNがユーザーにとってオープンな構造となることで、企業やキャリアなどのユーザーは既存のネットワークアーキテクチャの制限を受けず、また求めるネットワーク機能をベンダーが実装するのを待つ必要がなくなり、ユーザーのビジネスニーズの変化に合わせてICTシステムを対応させることが可能になります。SDNは、「これまでベンダー主導であったネットワーキングがユーザー主導に代わることであり、これまでのネットワークビジネスのスキームを大きく変化させる」インパクトを与えています。