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2016.12.1技術トレンド/展望

Conversational Commerce

今回は次世代のE-Commerceに影響を与えると言われるConversational Commerceについてお伝えいたします。

音声認識の進歩

皆さんは、スマホのナビで行き先を探すときに声を使っていますか?
私の場合は、GoogleによるCMの影響もあってか今ではほとんど声で探すようになってしまいました。この音声入力ですが、コンピューターによる音声認識は人間の耳と同じレベルに達したと発表(※1)されています。

私の同僚に言わせると、滑舌が悪くてよく奥さんに聞き返されるのに、Googleにはすんなり認識されるということが起きているそうです。私の場合は、一度音声からのスピーディーなテキスト変換入力に慣れてしまうと、今度はメールやSNSのテキストも声で入力してあとで手直しするようになってしまいました。

実際に、スマートフォンでは音声入力がキーボード入力よりも約3倍高速との調査が発表(※2)されています。スマートフォンの普及を土台として、スマホへの音声検索などをきっかけに対話型コミュニケーションのあり方についての幾つかのチャレンジが始まっています。

声やチャットを活用した対話型のコミュニケーションプラットフォーム

2016年初頭、北米のリポートを始めとする様々なメディアが今年はカンバセーション(対話型)コミュニケーションの年になると言っていました。2016年末の現在、国内を見渡してみると幾つかの企業で採用が始まっているもののまだ爆発的な普及には至っているとは言えず、もう少し時間がかかりそうな印象を受けます。

とは言え、世界ではすでにメッセージング/チャットコミニュケーションツールの高い成長がトレンドとなっていて(※3)、タイムライン上で対話を行うコミュニケーションへのシフトは無視できない潮流となっています。そこに音声認識や人工知能の技術向上が加わり、この流れはさらに進んでいくと考えられます。

例えば、AmazonやGoogleでは、消費者との接点がさらに多様化するこの流れを予測して、プラットフォーマーの立ち位置を取るべく新製品/サービスを投入しています。

まずAmazonは、Amazon Echo(※4)という人工知能のついたホームスピーカーを発表しています。このスピーカーに語りかけることで音楽再生や、ネットの検索、家電の連携や買い物ができます。普段の生活の中で、ふと気付いた時に、スマホに打ち込むのではなく、そばのスピーカーに語りかけて買い物が済む世界です。

特筆すべきは、このスピーカーに語りかけて動く家電などの連携先がどんどん増えていっていることです。かつてiPhoneが世に出たときに、AppleのApp Storeというプラットフォームができ、アプリ提供者という形でさまざまな事業者がアプリストア上に参入し、エコシステムを形成しました。今回も声と対話型のインターフェースのプラットフォームを大手企業が形成して、その上でさまざまな事業者がアイデアを競う世界が始まるかもしれません。

当然、一方のGoogleもこの土台としての立ち位置を抑えるべく、Google Home(※5)という人工知能スピーカー製品を発表しています。 また、エンタープライズの世界でもMicrosoftが”Conversation as a Platform”の戦略を掲げて、旧来のアプリ機能をチャットプラットフォーム上の会話で操作できるようにするプラグインAPIを提供する企業を買収(※6)しています。

このように、コンシューマー向け、エンタープライズ向けを問わず、大手のプレーヤーが声やチャットを活用した対話型のコミュニケーションのプラットフォーマーとしての準備を進めています。

新しいユーザーエクスペリエンスの可能性

Conversational Commerceの姿とは、いまよりも対話的でシームレスに購買体験が完了する姿と考えられます。かつてAmazonが1-Click特許を取った時がありました。その時ECでの買い方の利便性が高まり、大きく扉が開きました。

Conversational Commerceは、その時と同じような購買の利便性を提供する可能性を秘めていると期待されています。これまでのようにクリックを繰り返して購入を完了させるというユーザーエクスペリエンスに対して、もう一つ、会話や対話の中で、画面が変わることなくシームレスに買い物の支払いまで完了させるという姿が加わる世界は技術的にはすでに十分可能なレベルになっています。

音声入力による入力のしやすさ、タイムライン上での対話型のやり取りの慣れといったユーザーインターフェースを利用者が受け入れたときに、これまでのE-Commerceのやり取りは大きく変わります。

その入り口はスマートフォンだけには限らず、ひょっとしたら試着室にある鏡(についたマイク)や、ドライブスルーの時のマイク、電車の券売機など様々な機器に広がると思われます。こうした機器が多言語対応の対話型で完了するようになれば、行き先の字が読めない外国からの旅行者はとても助かりますね。

振り返ってみれば、全て電話で会話してやりとりしていた時代があり、それからインターネットの時代がきてメールでのやり取りが加わり、さらにアプリの時代がやってきてLINEなどのSNS上でのコメントのやり取りが始まっていきました。私たちの手元の電話は、ケータイ→スマホと移り変わる中で、受話器を使うことが減ったと思いますが、今後はConversational Commerce時代の到来によって、受話器に語り掛ける機会が増えてくるのかもしれません。

※1「コンピューターによる音声認識は人間の耳と同レベルに達した」とMicrosoftが発表

http://gigazine.net/news/20161019-computer-human-voice-recognition/

※2スマートフォンでは音声入力がキーボード入力よりも約3倍高速という調査結果が発表される

http://gigazine.net/news/20160901-speech-faster-typing-mobile/

※3メッセージングサービスの成長

http://i.gzn.jp/img/2016/06/03/internet-trend-report-2016/099.png

※6Microsoft、チャットbot技術のWand Labsを買収

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1606/17/news071.html

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