地方の魅力や移住者の声をITで伝える
日本橋で情報発信
地方と都市をどう結ぶのか。それは4元中継を活用した「空間共有」に取り組むNTTデータにとって、大きな課題のひとつです。
2015年からNTTデータが空間共有で協力してきた宮崎県小林市が、1月7日、日本橋三越7階「はじまりのカフェ」でPRイベント「小林市サミット」を開催しました。
今回も会場に設置したスクリーンを使って小林市現地と「空間共有」を行い、地方と都市の関係や空間共有についての可能性を感じさせる、楽しくも充実したイベントとなりました。
“外”から見た小林市
左が肥後市長。右の座っている男性が、司会を務めたパソナ・湯田さん
本イベントは、パソナがコーディネーターを務める「北霧島観光振興機構(DMO)推進支援事業」の一環で行われました。小林市をまるごと体験するPRであると同時に、これまでの取り組みの成果を見せる場ともなりました。
1月7日のイベント前半は、小林市と縁のある東京在住の女性3名が登壇し、市長と共に小林市の魅力について語りました。
2014年から小林市でシティセールスを担当したANA総研の池野香織さんは「小林市の魅力は、最高においしい果物が一年中穫れるところ」と話すとともに、「アクセスが悪いと言われるが、鹿児島空港、宮崎空港からも同じ距離で、インターチェンジには100便も高速バスが止まる。決して行きにくいところではない」と旅行のしやすさもアピール。
編集者として、ウェブを中心とした各媒体で小林市の記事を扱った株式会社Waseiの立花実咲さんは、豊かな水と「韓国岳(からくにだけ)」からの景観に太鼓判。忘れられない体験として「お酒が飲めないのに、内嶋光雄さんという有名な杜さん(すき酒造/平成22年には国税局主催の鑑評会で優等賞を受賞)の仕込んだ焼酎だけは飲めた。ぜひ飲んでほしい」とコメントしました。
エーピーカンパニーの藤本由佳さんは、飲食従事者としての目線で「とにかく地鶏をはじめとする畜産がすばらしい」と小林市が食材の宝庫であることを、改めて高く評価します。小林市では温泉も湧き出ていることにも触れ「いろいろな種類の温泉がある。温泉好きにはたまらないところ」と会場に呼びかけました。
左からANA総研・池野さん、Wasei・立花さん、エーピーカンパニー・藤本さん
東京からの移住者の声を、東京で聞く
空間共有のイベントとして、小林市と結んだ中継で、東京から小林市に移住した田地祐造(たぢ・ゆうぞう)さん、瀬尾絵美さんがモニターに登場し、移住者視点からの小林市の魅力、暮らし向きなどを語りました。
田地さんは38歳まで東京で生まれ育ち、大手メーカーに勤務していましたが、仕事を“やりきった感”があったため退職。地域おこし協力隊を経て、現在は養蜂と野菜づくりで豊かな自然を満喫しながら生計を立てています。「自然が豊かだけど、適度にお店があって東京からいきなり行っても違和感なく暮らせる」と田地さんは語りました。
瀬尾さんは東日本大震災を機に、豊かな環境で子育てをしたいと考えて地域おこし協力隊任期終了後に定住しました。現在は“子どもに食べさせたい体に優しいおやつ”のブランド「emies(エミーズ)」を立ち上げています。「小林市では地域の人たちと一緒に子育てできる環境がある。人の良さに感動した」と瀬尾さんは話します。現地からのダイレクトな声に、会場の参加者のみなさんも納得感を持って聞き入っていました。
空間共有で小林市にいる加藤さんのアドバイスを聞きながら調理する肥後市長
その後、小林市で農家民宿(農家民泊)を展開する「北きりしま田舎物語推進協議会」の加藤シゲ子さんがモニターの向こうに登場し、郷土料理の「ガネ」の作り方を肥後市長に指導し、一緒に料理するという空間共有のコーナーへ。
東京の会場。はじまりのカフェでは、「肉(29)」Tシャツと「北きりしま田舎物語」のエプロンに身を包んだ肥後市長がキッチンに立ち、加藤さんと一緒に調理にトライします。ガネは塩味のついたさつまいもの天ぷらです。シンプルなので、素材の味が良く出るのが特徴。子どもたちのおやつにも好んで食べられます。
加藤さんはモニターの向こうから「小麦粉は練りすぎないのがポイント」「ゆっくり揚げてさつまいもに火が通るように」と、料理のポイントを逐一市長に伝えます。市長もそれに答えてときには手早く、時にはじっくりと調理しました。
揚がったガネは参加者のみなさんに振る舞われ、「さっぱりしていておいしい!」と大好評。市長も「加藤さんのおかげでおいしく作ることができた」と笑顔を見せました。
地方と都市をつなぐ空間共有で加速する地方創生
つながることで広がる地方創生
イベントの司会を務めたパソナ New Business Development室シニアディレクターの湯田健一郎さんはNTTデータが取り組む「空間共有」は、今回のイベントだけではなく、一連の支援事業でも重要な役割を果たしていると高く評価しています。
今回会場で出店している「松川碁盤店」(霧島杉ぬか漬け桶)、「HORI-KEN Farm」(野菜各種)、「おがわ農園」(トマト)は、パソナのアレンジメントで、リーフレット(松川碁盤店、HORI-KEN Farm)、パッケージ(一部。おがわ農園)を作成しています。三越伊勢丹のバイヤーのアドバイスを受けながら、東京のデザイナーにデザインを依頼しており、その一連の作業について「ウェブ会議や今回のイベントのような空間共有のおかげで、とてもスムーズでストレスのない進行ができた」と指摘。空間共有によって、都市からの地方支援のハードルを下げてくれる、と語ってくれました。
肥後市長はイベント後の取材に「日本橋という東京の中心で、小林市の様子を伝えながら、食材の良さ、環境の良さなどを伝えることができて良かった。新しい客層に訴求する可能性も見えてきたと思う。さらに研究を重ねて、小林市の情報発信に努めていきたい」と話し、2017年2月と4月にもイベントを随時開催していきたい(※1)、と意気込みを語りました。
現地と東京をつなぐ空間共有は、小林市のPRイベントではすっかり定番になった感もあります。今後もNTTデータでは、空間共有で小林市の地方創生に貢献していきたいと考えています。
期間中、7階の催事場と地下の野菜売り場で販売されていた、小林市HORI-KEN farmの野菜たち。この他、おがわ農園のトマト、松川碁盤店の「霧島杉ぬか漬け桶」、傭山窯の陶磁器も販売された
小林市の宮崎牛に対する取組み、生産者の熱い思いを紹介するとともに、フレッシュな宮崎牛(小林市から直送!)の特徴ある深い味わいを体験できるイベント。 http://www.ecozzeria.jp/events/special/nikufesta0124.html