ハッカソンとは
ハッカソンとは「hack」とマラソン「marathon」を組み合わせた造語で、プログラマーが1週間や2日間などの期間、同じ場所に集まりプログラミングを行い、あるテーマに挑戦することが一般的です。GoogleやFacebookなどのシリコンバレーベンチャーでは社内でも積極的に開催されており、Facebookの「いいね!」ボタンはハッカソンによって生まれたという話は有名です。
昨今では自社の新規サービスを創出するだけではなく、プログラミング技術を社会課題解決に活かそうといった動きも多くみられ、巷で開催されるハッカソンには「教育」や「町おこし」、「人種問題」まで扱うものも出てきています。
NTTデータが開催した町おこしハッカソンの一つ、農家民泊ハッカソン
国境を越え始めたハッカソン
社会課題解決を目指すハッカソンは国内に留まらず、グローバルレベルで本当の意味でのダイバーシティを実現して開催されています。
2018年3月にはバチカンにて「インクルージョン・宗教間対話・難民支援の促進」をテーマに「Vhack」が開催されました。このハッカソンは30か国もの異なる国の男女130名が36時間をかけてコーディングを行うというものです。ハッカソンでは移民や難民の認証システムや、異宗教間対話を行うSNSなど、実際の社会課題解決を目指すものが多く創出されました。
また2018年8月にはサウジアラビアのメッカにて巡礼の課題解決を目指す「Hajj Hackathon」が行われています。こちらは参加人数でギネス記録にも認定され、アラブ諸国、日本や北米、インドからのエンジニア2,950名が参加、36時間かけて優勝賞金3000万円と事業化のための投資獲得を目指しました。優勝したのはサウジアラビアの女性5名のチーム、モスク付近の掲示板の表示を各国語に翻訳してスマホに表示するというものでした。男性社会のアラブ諸国の中で女性チームが優勝したとのことでも注目されています。事業化に向けて投資も継続的に実施されるとのことで、今後の展開にも期待したいところです。
NTTデータが図書館のデジタルアーカイビング事業を支援するバチカンでもハッカソンが開催された
社会課題解決を目指して
GoogleはAIによる社会課題解決を目指し、28億円の助成金や技術者によるサポートなどを実施する「Google AI Impact Challenge(※1)」を行うと発表しています。AIを活用した社会課題解決の事例としてAIの分析による洪水予測・山火事防止や、クジラの音声データ解析による動物保護、赤ちゃんの泣き声から健康状態把握などを紹介していますが、2019年春に審査が行われるとのことで、こちらも今後の事業化の動向など注目したいと考えます。
NTTデータにおいても2017年から社会課題の解決と新ビジネスの創出を目的に世界中の社員12万人を対象にした社内ハッカソンを開催しています(※2)。2017年に優勝したドイツのチームは食糧問題を解決するため、IOTセンサーを活用した農業プラットフォームを開発し、オランダの農業法人と実証実験を実施、その後のビジネス展開を行っています。2018年もまたドイツチームが優勝しましたが、AIを活用した災害支援のシステムを開発し日本での展開や協業を模索しています。国境を越えたエンジニアの社会課題解決に向けた取り組みは今後も更に加速していきそうです。
NTTデータで行われたグローバルハッカソン、世界11か国400名弱が参加する
2017開催模様
https://inforium.nttdata.com/event/technology_foresight_challenge_2017.html
2018開催模様
https://inforium.nttdata.com/report/globalhackathon2018.html