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2023.1.5技術トレンド/展望

グローバル研修に学ぶデザインマインドセットとは

NTTデータでは、デザインを重要戦略のひとつに位置付け、世界各国でデザインスタジオ(現在13カ国)を運営し、組織・人財育成にグローバルレベルで取り組んでいる。
デザイナーに必要なマインドセットとは何か、どのように醸成することができるか。
今回は、イタリア・ミラノで創立した世界有数のデザインスクールIEDのバルセロナ校の協力のもと、今秋開催した5日間のデザイン海外研修の一部を紹介する。
目次

Design for Universal Mindsetとは

Design for Universal Mindsetは、NTT DATAとIED Barcelonaが共同開発したデザイン研修プログラムです。デザインのトレンドとリーダーシップに関する知識や方法論を学びグローバルでも通用するデザイナーとしての態度やマインドセット、スキルを強化することを目的としており、コースは全て英語で行われます。今回は、イタリア、スペイン、ドイツ、日本のデザインスタジオから若手・中堅デザイナー20名がバルセロナに集まり、Tangity Tokyoからは私を含め2名のサービスデザイナーが参加。さまざまな分野の第一線で活躍する専門家を講師に迎え、みっちり5日間の講義とワークショップを受けました。

写真:IEDバルセロナ校の屋上にて

写真:IEDバルセロナ校の屋上にて

当社には、NTT DATA Design Network(NDDN)というデザイン組織の繋がりがあり、現在は13か国850名まで規模が拡大しています。これまでも各国のデザイナーを対象とした育成研修や、数ヶ月から年単位の人財交流を続けてきました。COVID-19の影響で、ここ数年間は対面でのコラボレーション機会が縮小されていましたが、ようやく対面開催されました。

Who we are? – 自分を開くこと、他者を導くこと

今回ご紹介するプログラムの1つは、1~2日目に行ったSocial Identityのワークショップです。ここではお互いを知るために、まず自己理解から始めるというアプローチに特徴があります。Social Identity Mapというサークル型のフレームワークを使い、生まれの背景(人種、国籍、文化)、体験、興味、信条、これまで経験した中で印象的な出来事や人生の選択、自身が大切にしているコアの価値観など、一つ一つを確かめるようにして言語化していきました。

写真:Social Identity Mapは模造紙とペンで作成

この一人称視点のマップを作成して終わりではなく、次に、参加者自身のライフストーリーを全員の前で一人ずつ発表します。自分の言葉で朗読し、聞いてもらうことで内省が深まるだけでなく、それぞれの発表を聞きながら気になったことを質問したり、休憩時間の雑談の話題にしたり、参加者同士の対話も自然と深まっていきました。2日目が終わる頃には、私たちの中に共感的で情緒的な一体感が形成されていました。

このワークの根底にある考え方として、私たちデザイナーは日々、自分とは全く異なる背景・価値観を持つ人と協力し、分野を越えた橋渡し[Building bridges]を担うこともあります。こうした垣根を超えてコラボレーションを実現するために、まず自分を知って心を開き、お互いの共通点を見出す、境界を超えるリーダーシップが不可欠なのです。

Be one step forward – 好奇心と創造性を育むこと

今回ご紹介するプログラムの1つは、デザイナーに必要な好奇心や創造性、他者とのコラボレーションスキルを養うためのプログラムです。
3~5日目に、デザインインスピレーションと題し、ビジュアルデザイン、テキスタイルデザイン、建築、デザインリサーチなど、異なるデザイン分野の制作事例や最新トレンドを学びました。一つ一つはランダムな点に見えるかもしれませんが、先に述べたように境界を越えて知識を得て、それらを線として繋げていくことが私たちには求められています。

中でも、今回特に印象深かったのは、「香水のコンセプトを考える」グループプロジェクトです。4つのグループに分かれ、ラベルが目隠しされた香水の匂いだけを頼りに、PinterestやInstagramから各自10枚ほどイメージ画像を探し、集まったたくさんの画像から関連性や意味を議論します。最終的にはキーワードを5つ言語化し、香水の名前とキャッチフレーズに落とし込むというワークでした。普段の業務ではリサーチ結果など言語情報からビジュアルを作ることが多いので、逆のアプローチが新鮮で印象に残っています。また、同じ香りを嗅いでも、男性用なのか女性用なのか、フレッシュな朝なのか落ち着いた余韻が残る夕方のムードなのか、メンバーによって抱いた印象の違いも面白かったです。そこから各自選んだ写真を集めて共通点になりそうな糸口を見出し、コンセプトとして表現するにふさわしい言葉に落とし込んでいきました。

写真:グループプロジェクトのワークの様子

写真:グループプロジェクトのワークの様子

私たちサービスデザイナーは、デザインを色や形などの見た目を整える表層的なものだけでなく、サービスコンセプトや戦略を練るための議論のたたき台として、カスタマージャーニーやプロトタイプなどのデザインアウトプットを活用することがあります。例えば、行動観察やインタビューなどの質的なデータ、そして売上やマーケティング数字などの数量的なデータの両方から情報を読み解く際には、一見すると関連の無さそうなところに意味を見立てたり、エッジの効いたコンセプトをひねり出したりする創造性も求められるので、日々さまざまなものに好奇心を持ち、新しいインスピレーションを探求することも不可欠な心得です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回5日間という短い期間での開催でしたが、各国からデザイナーが集まり、座学やグループワークを通じてお互いの異文化に触れ、心を開き、異なるスキル・ノウハウを活かすための土壌を耕しました。こうした施策やコミュニケーションの積み重ねを通じて、国を超えたコラボレーションを加速させていきたいと考えています。

写真:NTTDATA Living Labへの視察の様子

写真:NTTDATA Living Labへの視察の様子

今回共有した内容以外にも、これまで体験したことのない手法などもいくつかありましたので、それはTangity Tokyoのnoteで共有したいと思います。
また、今回はグローバルな人財育成の取り組みでしたが、Tangity Tokyoでは日本語版のサービスデザイン研修(※)も提供しており、社内だけでなく社外向けにも実施しています。気になる方はぜひお問合せください。

(※)

サービスデザイン研修紹介の過去記事「デザインの価値を届けることができる組織へ。NTTデータのデザイン研修を一部公開!」はこちら

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