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2023年11月17日技術ブログ

提案依頼書(RFP)からはじめる発注者⇔受託者の認識齟齬解消 ~RFPの書き方に悩んだら~

システム開発のスタート地点、それは発注者であるユーザー企業から提示される提案依頼書、RFPだ。
提案依頼を受けた受託者であるITベンダはこのRFPをもとに提案内容を吟味し、システム開発に掛かる費用を提示する。
いかにして適切な提案と適正な見積もりをベンダから引き出すかは、ユーザー企業の書いたRFPのでき栄えに懸かっている。
RFPの記載を充実させてユーザー企業が必要な情報を漏らさず盛り込むこと、そして要件を固めるためにユーザー企業とITベンダが協力することがシステム開発成功の第一歩となる。
目次

あなたが家を建てるなら~要望を明確に持つことの重要性~

夢のマイホームを建てます。

  • 駅から近い場所がいいな……
  • 部屋は4部屋ないと困る
  • 食洗器とウォークインクローゼットは絶対にほしい!

それぞれ希望がいっぱいですよね?
とはいえ一方で、頭金として用意できるお金、ローン返済額など予算の限界もあります。

家を建てる時には、許される予算の範囲でやりたいことの優先順位をつけ、時に家庭内や法規制とも折り合いを付けながら設計を進めます。あなたの希望が明確であれば、建築士はそれに沿った提案をしてくれるでしょう。逆に漠然とした希望しかなければ、ある程度建築士の想定で設計をスタートすることになり、設計当初はあなたの希望とは違う提案が出てくるかもしれません。

これはシステム開発プロジェクトでも同じことが言えます。
発注者のユーザー企業(以下、お客さま)としてはせっかく発注するシステムで叶えたいことはたくさんありつつも、無限に予算は使えません。それゆえお客さまとしては予算の範囲で希望通りのもしくは希望を上回ってくれるような提案を期待されるでしょう。
対して、システム開発の受託者であるITベンダ(以下、ベンダ)はお客さまからの要望をもとに、それを満たし、より満足度高く、納得のいくお値段で提案できるよう尽力します。
その際、お客さまからの要望が当初から明確であれば、よりお客さまの期待に沿うご提案・お見積もりができるというのは想像に難くないでしょう。逆に要望が曖昧であれば、曖昧な部分をベンダは自らの想定で補完しますが、それがお客さまにとって期待外れな提案となるケースも出てきます。
また、どうしても「ベンダの想定」が多ければ多いほど、システムへの要求に関する認識齟齬が起きやすくなります。当然提案後にもお客さまと議論を重ね要望をお伺いすることにはなりますが、結果として「要件定義が終了してみたら想定以上に規模が膨らみ予算上限に収まらない」といったことが起こりやすくなります。

図1:発注者がRFP起因で困っている例

図1:発注者がRFP起因で困っている例

ベンダから満足度の高い、要望に見合った提案をしてもらうにはお客さまが

  • システムを使う利用者や外部接続先
  • システムに持たせたい機能の全量
  • 達成したい非機能要求(障害時の復旧時間は?画面表示のレスポンスは?ヘルプデスクへの問い合わせ方法は?など)
  • 開発の進め方やベンダから納品してもらいたいドキュメント・成果物

などを明らかにしRFPに記載することが重要です。

提案依頼書(RFP)の記述が十分かを診断し適切・適正な見積もりに

お客さまがベンダへシステムを発注する際は、一般的に提案依頼書や調達仕様書(以下、RFP)を作成しベンダへ提示します。このRFPこそお客さまからのシステムへの要望であり、ここに記述された内容をもって、ベンダは実現するシステムを提案し見積もり金額を決定します。

NTTDATAにはこのRFPの記述内容や記述量、記述粒度などを診断する『RFP診断』というサービスがあります。RFPがベンダの見積もりにあたって十分かを評価するための診断です。RFPに記述された機能要件、非機能要件およびプロジェクト管理要件に対して診断します。

図2:RFPの記述が十分な例/不十分な例

図2:RFPの記述が十分な例/不十分な例

特にお客さまの関心が強い機能要件に関しては、ファンクションポイント法の概念を活用することで「そのRFPから見積もった規模の確からしさ」を評価します。
ファンクションポイント法とはシステムアプリケーションの大きさ(規模)を「機能の入出力」と「データの数」を数えることによって定量化する方法です。機能要件に関するRFP診断では「ファンクションポイント法によって概算での規模見積もりが可能なドキュメント」を基準としています。具体的には、ファンクションポイント算出に必要な以下4つの観点の記述量や記述粒度をチェックし、最終的に高・中・低の3段階で評価します。

図3:RFP診断(機能)の評価観点および評価方法

図3:RFP診断(機能)の評価観点および評価方法

RFP診断(機能)を実施することで、機能の規模をどのくらいの確度で見積もることができるのかが分かるのです。
そして、多くのベンダは規模をベースにコストを算出していくため、規模見積もりの確からしさはそのまま見積もり金額の確からしさにも結び付きます。
RFPに必要な情報を十分に盛り込むことで、ベンダの想定を減らし、自分たちの思ったシステムの提案・適正な見積もりの提示を受けることが可能になります。

過去にNTT DATAにおいてRFP診断(機能)を適用したプロジェクトの内、開発が完了したプロジェクトに対して「RFP診断の評価(高・中・低)」と「規模の予実乖離」の関係性を分析した結果、診断結果の評価が上がるにつれて、計画規模と実績規模の乖離幅が小さくなる傾向があり、一定の効果が確認できています。

RFP診断の評価別(高・中・低)に、計画規模を100とした場合の実績規模の乖離幅(%)を箱ひげ図で示します。

図4:RFP診断の評価と規模の予実乖離の関係性

図4:RFP診断の評価と規模の予実乖離の関係性

RFP診断の活用で認識齟齬を減らすためにやるべきこと

RFP診断を実施することで記述内容が不十分な点が明らかになり、それらに対処することでお客さまとベンダ間の認識齟齬を減らすことができます。
具体的には、認識齟齬を減らすことで、例えば「機能要件:機能漏れに伴う追加費用発生」、「非機能要件:セキュリティ対策の要件漏れに伴う手戻り発生」、「プロジェクト管理要件:お客さまとベンダの役割分担が不明確なことに伴う想定外作業の発生」などを防ぐ効果が期待できます。
図4の「評価:低」のようにならないために、お客さまは以下のステップを踏んでいただくことを推奨します。

  • 1.RFPの構成案を作成した段階で、お客さまは構成要素として不足がないか確認します。
    (NTT DATAでは、RFP診断によって構成要素の充足性確認をご支援できます)
    例:目次構成に画面一覧が漏れている場合は、目次構成に画面一覧を追加します
  • 2.RFP作成後にお客さまは記述内容が十分か確認します。
    (NTT DATAでは、RFP診断によって記述内容の充足性確認をご支援できます)
  • 3.「2」の結果を受けて、記述漏れや記述内容が不明確な箇所に対してお客さまは追記や記述内容の見直しなどのアクションを実施します。
    例:機能概要が要望レベルである場合は、機能の動きや目的が読み取れる内容に見直します

さいごに

RFPの記述内容が不十分だった場合、システム開発着手後に想定より規模が膨らみお客さま予算を超過する、規模が増えたことに伴い納期遅延となる、などの可能性もあります。そのような事態となった場合、お客さまの事業や経営にも影響を及ぼしかねません。
システム開発では、ベンダはお客さまの要望を引き出し、要件を固めるよう力を尽くし、お客さまにはそれに最大限協力いただくことが大切です。その第一歩とも言えるRFPの記述内容が十分かどうか、お困りの際はNTT DATAにぜひご相談ください。
本記事ではRFP診断について紹介しました。NTT DATAではシステム開発ドキュメントのチェックに関するさまざまなサービスを提供し、第三の目でプロジェクトが気付かないリスクの示唆や有効なアドバイスを行うことで、プロジェクトの成功に寄与します。

図5:提供サービス(詳細はお問合せください)

図5:提供サービス(詳細はお問合せください)

NTTデータ 品質保証部 第三者チェックサービスのご紹介動画:
https://youtu.be/Fg9IiMFzzGo

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