ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは、基本的には、複数のコンピューターにわたるトランザクションを記録する分散型台帳システムです。これにより、記録の安全性、透明性、改ざん防止が保証されます。それぞれ一意のトランザクションは「ブロック」として記録されます。各ブロックは「ハッシュ」という一意の識別子を生成し、各ハッシュにはその前後のブロックの識別子が含まれます。このようにして、それらは互いにリンクして、不可侵のチェーンを形成します。
企業が政府や業界の規制に対してサイバー脅威やデータセキュリティーの管理に取り組む際、ブロックチェーンの利用により、安全性の高い分散型アプリケーションが実現可能となります。ブロックチェーンはその本質に、技術的にはセキュリティーの要塞(ようさい)とも言えるほど強固な特性を持っています。ブロックチェーンが最初に金融サービス業界で誕生し、決済プロセスがブロックチェーンのユースケースとして現在最も急成長しているのはこの理由からかもしれません。
持続可能なサプライチェーン
しかし、ブロックチェーンが価値をもたらすのは金融分野だけではありません。ブロックチェーンは、倫理性、持続可能性、効率性を組み合わせたサプライチェーンモデルと共にレジリエンス(強靭さと回復力)をもたらすことができます。これにより、次のような多くのメリットが生まれます。
- セキュリティーの強化:ブロックチェーン独自の暗号技術を使って、サプライチェーンの管理で不正行為を防ぐことができる
- 信頼性:ブロックチェーンは、一元的な信頼できる情報源を提供することで、従来の業界のデジタル化において新たな価値を生み出すとともに、アセットトークン化など新たな金融モデルの実現も可能にする
- 効率性の向上:スマートコントラクトは、所定の条件によって自動的に実行されるプログラムで、ブロックチェーン上で動作し、スマートコントラクトを用いることで、支払いや品質チェックなどのプロセスが自動化され、管理コストが削減され、迅速な取引実施も可能にする
お客さま事例:Tecopesca社
NTT DATAは、エクアドルの水産加工会社、Tecopesca社と協力して、マグロ缶詰の信頼性の高いサプライチェーンを確立するための支援を行いました。この実現のため、トレーサビリティーを管理するNTT DATA独自のブロックチェーンシステム、IoTraceを導入しています。この取り組みは、投資家に対しては確実性、小売業者に対しては透明性が向上する、グローバルサプライチェーンの設計と管理におけるパラダイムシフトをもたらす1例となりました。ツナ缶の購入者は誰でもバーコードをスキャンするだけで、商品が漁業会社からスーパーマーケットまでどのような経路をたどったかを追跡することができます。
Tecopesca社は、持続可能性を追求し、サプライチェーンの中核業務に透明性をもたらすための重要な手段として、ブロックチェーンを活用しています。
終わりに
NTT DATAは、汎用(はんよう)的な多業種照合プラットフォームであるBlockchain Reconciliation Platformをはじめ、持続可能なブロックチェーン技術の構築に注力してきました。BlockTraceは、ビジネスユースケースに応じてアプリケーションを構築・提供するソリューション、StampChainは、GDPRに準拠した文書認証プラットフォーム、KayTrustは、組織がエンドツーエンドの顧客識別情報を管理するためのフレームワークです。
これらのNTT DATA独自のサービスはIoT技術と組み合わせることで、以下のようなさまざまなユースケースで活用可能です。
- 製薬業界における不正行為の削減
- ヘルスケア業界における医薬品の取り扱いの監視と管理
- ファッション業界における素材の倫理的調達の実証
- 農業分野では、ブロックチェーン技術により生産地から店頭まで食材の流通経路の透明性を確保
- ユーテリティー業界における再生可能エネルギーの追跡
- 公有地の登記とID管理のデジタル化
ブロックチェーンは簡単なテクノロジーではありませんが、その恩恵は計り知れません。あらゆる規模の組織でも採用することができ、適切なパートナーがいれば、信頼性、透明性の高い、安全なサプライチェーンを構築できます。深夜まで悩んでいたCIOも安心して眠ることができるでしょう。