地銀共同センター、フロンティアAI時代の脅威変化に備え、セキュリティ基盤から判断支援までを統合した共助型運用モデルを構築
~IT資産管理・脆弱性管理を起点に、「共助型」運用でサイバーレジリエンスを強化~
トピックス
2026年9月30日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は2026年9月、地銀共同センター注1を利用する地方銀行13行(以下、参加行)とともにサイバーセキュリティ対策の共同施策(以下、本施策)に着手しました。
高度化するサイバー攻撃への対応が求められる一方、地域金融機関ではセキュリティ人材の確保や対策にかかる負担が課題となっています。本施策では、銀行の基幹システムを共同運用してきた地銀共同センターのノウハウや参加行の知見に、NTTデータが全社で推進する「フロンティアAIを活用したサイバーリスク対応」やセキュリティ専門家の知見を組み合わせ、共通基盤の整備から運用、対応判断までを一体的に支援する、地方銀行の実運用に特化した共助型のセキュリティ運用モデルを構築します。
具体的には、IT資産情報と脆弱性情報を一元管理する共通基盤を参加行と共同で整備するほか、参加行間でのナレッジ共有、NTTデータの専門家による共同アドバイザリを順次提供開始します。これらを通じて、脆弱性の把握、影響分析、対応判断を迅速化し、参加行全体のサイバーレジリエンスの向上をめざします。
NTTデータは今後、本施策で構築する共助型セキュリティ運用モデルを、SBOM管理やサードパーティーリスク管理など新たなセキュリティ課題へ展開させ、地域金融機関のサイバーセキュリティ対応のさらなる高度化をめざします。
背景
近年、サイバー攻撃の高度化・巧妙化、フロンティアAIの進展により、脆弱性が短期間で大量に発見され、発見から攻撃までの期間が大幅に短縮する可能性が指摘されています。金融庁と日本銀行は2026年5月に公表した「フロンティアAIによる脅威変化を踏まえた金融機関等の短期的な対応(フロンティアAI対応要請)注2」において、金融機関等に対しIT資産の把握、脆弱性管理、リスクに基づくパッチ適用などの態勢強化を求めています。
また、金融庁が2026年7月に公表した「金融分野におけるITレジリエンスに関する分析レポート注3」では、限られた経営資源を有効活用する選択肢としてシステム共同化を位置付けるとともに、金融機関の自助に加え、金融業界における共助を通じたITレジリエンス強化の重要性を示しています。
一方で、地域金融機関が個別に高度な管理態勢を維持するには、人材やコスト面で課題があります。こうした状況を踏まえ、地銀共同センターでは、IT資産管理・脆弱性管理を対象とした共同施策に着手しました。本施策は、2026年3月に発表した、参加行が基盤・ナレッジ・専門人材を相互活用する「新たな共助モデル」注4を具体化する取り組みです。
なお、NTTデータは金融機関の経営変革と地域社会の持続可能な発展を支援する新たな取り組み「ARISING®」注5を推進しています。本案件はその一環として位置づけられるユースケースです。
概要
本施策では、IT資産・脆弱性情報を管理する共通基盤に加え、参加行共通の運用プロセス、参加行間で共有するナレッジ、NTTデータの専門家による判断支援を組み合わせます。これにより、脆弱性の影響を受けるIT資産の特定と対応優先度の判断を効率化します。「検知・把握」、「判断・対応」、「知見共有」、「次の判断・運用への適用」というサイクルを参加行全体で回すことで、サイバーセキュリティ対応の継続的な高度化をめざします。
1.IT資産・脆弱性情報を一元管理する共通基盤
「金融総合セキュリティサービス™」注6で提供する防御領域のソリューションを活用し、IT資産情報と脆弱性情報を一元管理する共通基盤を整備します。これにより、IT資産情報と脆弱性情報を自動で突合し、システムの重要度や脆弱性の深刻度に応じてリスクベースで対応優先度を判定することで、対応資産の特定を迅速化します。NTTデータの試算では、一定の条件下において脆弱性管理にかかる一連の運用作業時間を約9割削減注7できる見込みです。また、初期構築の一部を共通化することで、各行の初期導入にかかる費用を最大3割削減注8することを見込んでいます。
2.参加行共通の脆弱性対応プロセスの整備
地銀共同センターで培ってきたシステム共同運用の枠組みを生かし、参加行のリスク評価基準を共有・整理するとともに運用フローや運用規定を参加行共通で整備します。これにより、対応プロセスを標準化し、各行における迅速かつ一貫した脆弱性対応を支援します。
3.参加行間での脆弱性対応ナレッジの共有・蓄積
ツールによる検知・分析機能の提供や対応プロセスの整備にとどまらず、参加行の脆弱性対応で得られた知見や改善事例は、コミュニティ・ワーキンググループ(WG)を通じて共有します。事例の共有に当たっては、個別行や対象システムを特定できない形に一般化し、対応優先度の判定や対応ルールの改善に活用できるナレッジとして蓄積します。こうした共助の取り組みにより、他の参加行の実践知を活用して各行の調査・検討の負荷を軽減し、迅速かつ実態に即した脆弱性対応を実現します。さらに、蓄積したナレッジは参加行全体に還元し、リスク評価基準や対応ルールの改善につなげることで、各行のサイバーセキュリティ対応を継続的に高度化します。
4.脆弱性対応共同アドバイザリ
一般的に、ツールによる脆弱性の検知や優先度判定後の対応方針は、各金融機関が個別に判断しています。本施策では、この判断プロセスを支援する「脆弱性対応共同アドバイザリ(以下、共同アドバイザリ)」の提供を予定しています。
共同アドバイザリでは、NTTデータが金融機関向けのセキュリティ運用で培ったノウハウと参加行の知見を活用し、パッチ適用に伴うリスクや未適用リスクの評価をするとともに、推奨対応方針の検討を支援します。複数の参加行で分析・判断支援を共同利用することで、専門人材の集約的な活用を可能とし、各行の対応判断の迅速化につなげます。
図:地銀共同センターにおける共助型セキュリティ運用モデル
これらの取り組みにより、共通の基盤・プロセスを整備するとともに参加行間で蓄積・共有したナレッジと共同アドバイザリを組み合わせ、脆弱性の把握・評価から判断・対応方針の決定までを一体的に迅速化します。
また、フロンティアAI時代への対応として求められる「優先的に対応すべきサービス・ITシステムの特定」「技術負債の継続的な把握」「パッチ適用プロセスのリスクベース化」の実践を支援し、参加行のサイバーレジリエンス向上に貢献します。各取り組みは、2026年度内に順次開始する予定です。
今後について
今後は、本施策で整備する基盤と蓄積するナレッジを活用し、SBOM管理、PQC(耐量子計算機暗号)対応、サードパーティーリスク管理など新たなセキュリティ課題への展開を検討します。また、人材育成やインシデント対応訓練など、予防・防御から検知・対応、復旧まで参加行のニーズに応じて対象領域の拡充を検討します。
さらに、NTTデータのセキュリティ専門組織の知見と、地銀共同センターで蓄積する地方銀行固有の実運用に関する知見を組み合わせることで、参加行全体のサイバーセキュリティ対応力の強化をめざします。
NTTデータは、地銀共同センターで構築する共助型セキュリティ運用モデルを発展させ、地域金融機関に求められるサイバーセキュリティ対策の継続的な高度化を推進し、地域金融機関全体のサイバーレジリエンス向上と持続可能な金融インフラの実現に貢献していきます。
注釈
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注1
NTTデータが構築・運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターです。
参加行は以下のとおりです。(利用開始および銀行コード順)
京都銀行、千葉興業銀行、岩手銀行、池田泉州銀行、あいち銀行、福井銀行、青森みちのく銀行、秋田銀行、四国銀行、鳥取銀行、西日本シティ銀行、大分銀行、山陰合同銀行 -
注2
「フロンティアAIによる脅威変化を踏まえた金融機関等の短期的な対応」に係る要請について
https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20260522-5/20260522.html -
注3
「金融分野におけるITレジリエンスに関する分析レポート」の公表について
https://www.fsa.go.jp/news/r8/sonota/20260730/20260730.html -
注4
地銀共同センター、システム共同利用の枠を超えた共助モデルの高度化を正式決定
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2026/032601/ -
注5
地域金融を軸に地域社会の発展を支援する「ARISING」を始動 ~提言から実装、成果まで、共に描く地域の未来~
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2025/111300/ -
注6
共同利用型SOCを中核とした「金融総合セキュリティサービス™」を展開
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2026/032700/ - 注7 5サイトを対象に月200件の脆弱性情報を検知した場合に、人手で脆弱性情報を管理する運用と比較したNTTデータによる試算値です。実際の削減効果は各行のシステム環境や運用条件等により異なります。
- 注8 NTTデータによる試算値であり、実際の削減割合は各行のシステム環境や個別要件により異なります。
- 「金融総合セキュリティサービス」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。
- 「ARISING」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第二金融事業本部
第二バンキング事業部
運営企画担当
中野、名達、緒方
E-mail:xguneikikaku@hml.nttdata.co.jp