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【 DEIトークセッション】 「常識」の殻を破り、「違い」を受容し合うコミュニケーションを

法人分野における2024年度の経験者採用実績は150人を超え、過去最高となりました。入社後の調査では、ワークメンタリティや成長実感が高水準をマークしている一方で、リアリティギャップを抱えているメンバーの存在も浮かび上がってきています。連載第4弾となる今回は、経験者採用のメンバーが多数活躍中の事業部を率いる三竹事業部長と西川事業部長 をゲストに迎えて実施したトークセッションの模様をお届け。モデレーターに法人分野にて人事・育成・採用を統括する廣瀬HRO(法人分野HRO)を交え、両組織の現況や経験者採用者とのコミュニケーション、さらにこれからのNTTデータに必要なことについて語り合ってもらいました。

目次

Profileこの記事に登場する人

自らの「常識」を問い直す好機?

――自組織の現況を教えてください。

三竹 瑞穂 三竹

現在、食品・飲料・CPG事業部では経験者採用者の割合が59%を超えています。5年以上かけて今の状態が形作られました。当初、事業部では経験者採用者の受入れ経験がほとんどなかったため、ノウハウや体制も整っていませんでした。そこでオンボーディングフォローを専任で行うチームを事業部内につくり、しくみを整えていきました。ただ、経験者採用を拡充してから3年も経つと、かつては教えられる側だった人たちが、後から入ってきたメンバーにとって最良の「先生」となる状況が生まれてきます。以前から在籍しているメンバーにしても、経験者採用者の受け入れにどんどん慣れてくるので、今は組織全体でポジティブなサイクルが回っているのを感じます。組織に占める経験者採用者比は5年間で大きく変化しましたが、事業部としてはそれが日常のことになってきているのがわたしの実感です。

西川 新一朗 西川

グローバルペイメント&サービス事業部は、全体の約30%を経験者採用者が占めています。管理職に限れば半数を占めています。そのため、新メンバーの受け入れに関して、「経験者採用者だから手厚いサポートが必要」という感覚は受け入れる側にも新メンバーにもほとんどないと思います。もちろん、社内システム的な部分は周囲のサポートが必要ですが、事業やプロジェクトに関する事柄については、新メンバーの経歴や実績をチームに予め共有した上で入ってきてもらっていることもあって、プロジェクトに参画する過程で自ずと連携がとれている印象です。

廣瀬 智之 廣瀬

西川さんは、自組織の変化についてはどのように感じていますか?

西川 新一朗 西川

「ペイメント」という旗印があるためか、わたしたちの募集ポストに応募してくださる方はやりたいことが明確で、「社会課題を解決したい」といったように目標を公言している人も少なくありません。その様子を見たメンバーが、触発されている印象を受けます。また、メンバーのバックグランドに関して言えば、従来多かった中国出身のメンバーに加えて、最近ではベトナムやマレーシア出身のメンバーも増えてきて、より国籍の多様性が増しています。海外にルーツを持つメンバーは、出身国の文化的背景や視点、価値観を持っているので、わたしも含め日本人メンバーは刺激を受けています。自分たちの「当たり前」は、決してどこでも通用する「当たり前」ではないんだと、身に染みて実感する環境です。わたしたちは海外のペイメントビジネスを拡大することをミッションとしているので、日本にいながらにして文化的なギャップを認識できる意味は大きいと思っています。メンバーには、海外の相手とビジネスをする際の望ましいスタンスとして「受容はするけど迎合はしない」というメッセージをよく送っています。そのマーケットにおいて大事な価値観や文化は尊重し、それに合った取組みをしていく事は大事です。しかし、変えていくべき所もあるはずで、それを考えずにただ、言うとおりにするのでは、わたし達がそこにいる意味が無くなってしまうと考えています。NTTデータがやってきたことを拠りどころにしながら、良い塩梅、良い加減を見出せるようにすれば、それが価値提供に繋がると考えています。その落としどころを見出すプロセスにおいて、日本で日々様々な考えに触れていることがメンバーの役に立っているように思います。

三竹 瑞穂 三竹

「当たり前」に潜むギャップの話は、国籍の違いだけでなく、NTTデータに新卒からずっと在籍しているメンバーと社会人のスタートを他社できったメンバーにも当てはまると思います。用語にしても社内ルールにしても、NTTデータ固有の「常識」がたくさんありますが、新卒入社の社員はそれが社会の常識であると思いがちです。だから、経験者採用者の方にも自分と同じように当然知っている、分かっているという前提で接してしまうことがあります。スキルや技術の話ではなくて、もっとささいな暗黙知的な部分でそれが顕著だと思います。

廣瀬 智之 廣瀬

わたしたちでも、社会の常識なのか、会社独自の知識なのか、意識できていないことが多くあります。だからわたしは入社初日の受入ガイダンスで、「やはりギャップはあると思います。分からない時は声を上げてくださいね」と声をかけるようにしています。本当は、受け入れ側の方が「これはわからないだろう」と察することができればいいのですが、長くいる人にとっては自身の「常識」の範疇である分それに気がつきにくいです。そういう意味では、日常の手続きやルールの部分で、新しく入ったメンバーに対して周囲が積極的に助けてあげてほしいと思います。

プレッシャーを取り除き、適所での活躍を後押し

――経験者採用者の受け入れにあたり意識している点はありますか?

三竹 瑞穂 三竹

アサインメントです。その人が持っている能力と、アサインされた仕事で新たに求められる能力のバランスが6:4、ないしは7:3くらいが望ましいと思っています。組織に貢献できているという実感と、新たな成長機会を得られたという実感、どちらも大切だと思うからです。具体的には、現場に近いマネージャーにアサインメントを一任しないようにしています。一人のマネージャーが抱えている仕事のバリエーションは限られますし、一度アサインすると、多少のギャップがあっても貴重な戦力だからと離したくなくなってしまいます。経験者採用の方たちは、個性的なキャリアを持っていることが多く、それを一番よく知っているのは採用に携わったわたしです。ファーストアサインがきちんと軌道に乗ったと思えるまではフォローします。入社時と入社後1,3,6か月、1年というタイミングで30分面談の時間をもっていました。今は面談のタイミングやコツもつかんできたこともあり1人15分ほどにしていますが、欠かさずに続けています。

西川 新一朗 西川

わたしは、経験者採用のとくに管理職の人たちには「あまり気負いすぎないでね」という言葉をかけるようにしています。仕事の進め方は色々なアプローチがあって、NTTデータのやり方が正しいとも限らないです。かといって、今までのやり方に固執してしまうと、うまく回らないケースもあります。そうした中で、このメンバーでこのプロジェクトをうまく回すためには? という視点で考えてほしいと思います。管理職の人は、これまでやってきた蓄積の上に「次はこうしたい」という想いを持って入社される方が多いので、それが思い描いた通りにいかないと、空回りしてしまいます。その結果どんどんギャップが広がって自己評価も低くなってしまうので、それは避けたいです。

三竹 瑞穂 三竹

そこはわたしも全く同じです。何を隠そう、自分自身が28歳の時に経験者採用で入社し、空回りしていました(笑)。一度空回りすると、どんどん溺れていってしまいます。「期待されていない」と受け取られないように伝え方には配慮しつつ、「そんなに慌てなくていいんですよ」という言葉をかけるようにしています。経験者採用で入って来られる方は、皆さん非常にやる気があって、自分にプレッシャーをかけている状態だと思います。だからこそ、あえてちょっとブレーキをかけるくらいがちょうど良いと思っています。

西川 新一朗 西川

あとは、あまり細かいところで手取り足取り「こうした方がいい」と口を出すことはしないようにしています。口を出しすぎると、その人の過去の蓄積とのギャップを突き付けることになってしまうと思います。むしろ、その人が今までやってきたことをうまく活かせるように、知識やノウハウをどう引き出すかを念頭に接しています。

自社のケイパビリティを信じ、アセットを世に発信する

――これからのNTTデータに必要な取り組みは?

三竹 瑞穂 三竹

先日役員合宿でも同じことを話したのですが、NTTデータの企業理念によく用いられる「貢献する」という言葉は、変えた方がいいと考えています。他の誰かが成そうとしていることを支えます、という受け身な印象が強い言葉にもとれます。

西川 新一朗 西川

確かに、受け身に感じます。

三竹 瑞穂 三竹

もちろん、「貢献」を地で行く受託型のビジネスが変わらず大切なのは言うまでもありません。その上で、NTTデータには、社会やお客様のビジネスの変革をリードする機会を持てるようなヒト、カネ、技術があるのだから、「貢献する」に留まり続けるのは非常にもったいないと思います。

西川 新一朗 西川

同感です。わたしは、NTTデータやNTTデータグループの良いところは、決して目先の利益だけに走ることなく、長い目で見てやるべきことをやり、社会課題にインパクトを与えられるところだと思っています。世の中の流行りに向かっていくと、そこには同じようなことができる会社が多数集まっているケースがほとんどです。でも、NTTデータはそうではない領域で強みを発揮して、他をリードすることができる。その独自性を、「貢献する」「支える」という言葉ではなく「リードする」と言う言葉で打ち出せるようになるといいと思います。

廣瀬 智之 廣瀬

お二人の意見に共感します。もっと前に出て、わたしたち自身が事業をリードしていくためのケイパビリティがNTTデータには間違いなく備わっていると思います。そのことをもっと広く認知してもらう必要があると感じます。そうすることで、わたしたちのスタンスに共感してくれる人たちが集まりやすくなると思います。

三竹 瑞穂 三竹

最近あちこちで言及しているのですが、採用を行う側だけでなく応募する側も募集ポストに対する十分な情報を得られていることが重要です。どんな仕事をするのか、誰と仕事をするのかといったことを応募者の方が具体的に思い描くことができれば、マッチング率も上がるはずだと考えています。その観点に立って、食品・飲料・CGP事業部では採用の募集にあたっていろいろなことを明らかにして打ち出すよう努めています。

西川 新一朗 西川

わたしも、採用面接ではかなりつまびらかに話をしていますが、入社後に「もっと硬い会社だと思っていました」と言われることが多いです。そういう意味では、マッチング段階では、世間で持たれているようなNTTデータのイメージをまだまだ崩し切れていないのかもしれません。

声を上げ、行動する人が活躍できるフィールドがここに

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

三竹 瑞穂 三竹

今NTTデータへの入社を検討されている方に向けては、今日話をしてきたことに加えて、法人分野の特長として「社員の目が外向きである」という点をお伝えしたいです。社内での評価を意識するより、お客様に喜んでいただくことで成果につなげている。成果がまっとうに評価されるという意味で、非常にフェアでフラットな組織文化であると思います。

西川 新一朗 西川

確かにそうですね。この規模の会社で、こうした風土が保たれているのはすごいことかもしれません。NTTデータは、度量の広い会社です。異なる意見に対し、それは違うと真っ向から否定するのではなく、違いがあることを受け入れる力のある人が多いですし、何かをやりたいと声を上げれば、必要なリソースを割り当ててもらえるような環境もあります。当社全体で、まずそのことに自覚的になること。そしてそれを社外にも発信できるようになると、社内・社外どちらから見てもより魅力的に映ると思っています。

三竹 瑞穂 三竹

経験者採用で入社された方、そしてその周囲の方々には、異なるバックグラウンドを持つ相手と自ら進んで混ざり合っていただきたいです。今日のトークの中で「NTTデータの常識は社会の常識ではない」という話もしましたが、絡み合って混ざり合うことで新たな価値観が生まれると思いますし、そのためには会話やコミュニケーションの絶対量が必要なはずです。ぜひ、進んで“絡み”に行ってほしいと思います。

※NTTデータ法人分野におけるDEI情報発信の取り組みについて

DEIをCSR(企業の社会的責任)としてだけでなく、多様な人財を活かしてイノベーションを生み出し、価値創造につなげる取組として捉えています。(参考:ダイバーシティ経営の推進 (METI/経済産業省)
DEIには性別・年齢・人種や国籍など様々なテーマがありますが、今年度は全社一体となって進めているキャリア自律や働き方の柔軟性、また近年増加している経験者採用にフォーカスして情報発信します。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです