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あらゆるSCMがビジネス領域。次世代プラットフォーム「iQuattro®」の描く未来とは

プラットフォームサービス「iQuattro®」は、当初製造業のお客様を中心に、DXを加速するためのサービスとして提供が始まりました。しかし2015年のver.1.0、2018年のver.2.0を経てブラッシュアップされ、現在は一つの大きな経済圏を生み出すプラットフォームへと進化しつつあります。商流情報、金流情報、環境情報を掛け合わせることで、製造業はもちろんサプライチェーンを持つあらゆる業界へのアプローチを可能にしています。「技術に対する目利きとインテグレーション」をモットーとする統括部長 横川雅聡が、技術開発に時間と労力を割くこと以上に大切なものについて語ります。

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あるお客様の構想と「iQuattro®」の理想像が一致した

主に製造業に提供しているプラットフォームサービス「iQuattro®」。これは最新技術を搭載したDXプラットフォームを軸にコンサルティング、機能開発、トレーニング等でお客様のDXを加速するE2Eトータルサービスです。これまでつながらなかった企業や情報を「iQuattro®」を通じてつないでいき、新しい情報の価値を関係者間で創出しています。

例えば、キリンビール滋賀工場様・キリンビバレッジ滋賀工場様においては、1秒あたり約5万点の生産データを分析するIoT基盤を構築。工場内の生産データを活用し、製造体制の効率化・自動化に向けた業務改善・高度化に貢献しています。

また現在はあるお客様と商流情報に加え、金流情報、環境情報を掛け合わせる新たなチャレンジに取り組むなど「iQuattro®」サプライチェーン経済圏を支えるプラットフォームへと進化しつつあるのです。

企業間の取引を証明に金融機関とコラボレーションし、ブロックチェーンを活用しながら融資を含めたキャッシュコンバージョンをデジタルで行う。受発注や生産などデジタル化された商流情報に、CO2排出量のマスター情報を掛け合わせ、精緻なLCA(ライフサイクルアセスメント)を実行する。これらの手法を活用し、サプライチェーン内の取引をすべてトークン化することも、概算ではなく定量化されたCO2削減効果を外部のサプライチェーン等と取引し、マネタイズすることも可能です。「iQuattro®」を通じてこのような構想を進めており、一部実施も始まっています。

もともと「iQuattro®」は、ソニー・インタラクティブエンタテインメント様(以下SIE)からの相談がきっかけとなって生まれました。関係各社をクラウドでつなぎ、情報のやり取りを人に依存せず最速の意思決定を実現し、ロバストなサプライチェーンを再構成したい。このようなSIE様の構想と、「iQuattro®」の理想像が一致したことで、共創プロジェクトとしてスタートしました。

このプロセスで私たちは、「何をインセンティブにすれば、関係各社を巻き込みやすくなるか」という思考力・企画力を磨きました。金融機関とのコラボレーションやサプライチェーン内でのトークン活用等の構想は、このインセンティブを考え抜いた結果生まれたものです。

そしてこの構想は製造業にとどまらず、通信、建設、衣料などサプライチェーンを構築するあらゆる業界に適用が可能、と横川は付け加えます。商流×金流×環境情報活用をベースとした新しい経済圏創出プロジェクトは、業際ビジネスとして社会に大きなインパクトを与えるものとして、社内外で大きな注目を集めています。

発明に時間と労力を割くよりも、お客様のそばに歩み寄ること

横川は新しい技術を発明すること以上に、技術の本質をつかんでどの分野に適用できるかを判断する、「目利きとインテグレーション」を重視しています。

1秒あたり約5万点の生産データを分析するストリーム処理は、まず証券業界中心に発展してきました。株式の売買を機械が自動で行うアルゴリズムトレードに活用するためです。私はR&D部門に所属していた頃、その技術を橋梁のモニタリングに応用しました。地震による揺れやねじれの変異を検知する技術です。

そして、冒頭で紹介したキリンビール様及びキリンビバレッジ様の工場で、生産データを分析するIoT基盤の構築へと発展していきました。このような経験から、横川は新しい技術を作るより、適切に使うことにリソースを振り向けています。

発明に時間と労力を割くのではなく、もっとお客様のそばに歩み寄り、一緒に価値を創出するために汗をかく。そして企業課題から社会課題の解決に寄与する。そのような立ち位置が、NTTデータにはフィットすると私は考えます。

「iQuattro®=会社」と捉え、メンバー全員が一人称で取り組む

デジタルテクノロジコンサルティング統括部は、自部門のなかで販売費・研究費・開発費を算出し、投資回収計画を立案。経営層の承認を得た上で運営するという、独立採算制に近いスタイルをとっています。NTTデータ内でも数少ないこのような運営に舵を切ったきっかけも、SIE様のプロジェクトにあります。

SIE様は私たちをパートナーと捉え、ビジネスプロセスに関する情報をすべて開示してくれました。私たちも会社の一部署ではなく「会社」そのものとして動かなければならない。そう考えて現在のスタイルをとるようになったのです。

だからこそメンバーには、一つひとつのプロジェクトを自分のサービスとして捉え、「一人称でビジネスに臨んでほしい」と横川は語ります。あらゆるステークホルダーを巻き込み、社会構造の改善、社会課題の解決に貢献できるプラットフォームになりつつある「iQuattro®」。このプラットフォームに魅力を感じ、銀行や商社など異業種のメンバーが続々と転職してきています。

その人の得意分野を伸ばし、キャリアを磨くための育成プランはたくさん作りました。この環境で自分の市場価値を高め、外に出て行ってもらっても構いません。その結果NTTデータ発のエコシステムが生まれたら嬉しいですね。

【参考】コンサルティング&ソリューション事業本部とは?

横川が在籍しているコンサルティング事業部は、NTTデータのなかのコンサルティング&ソリューション事業本部に属しています。コンサルティング&ソリューション事業本部は、デジタル変革のためのソリューションやサービスによって、お客様の事業発展を支えるミッションを担う全社横断組織です。さまざまな業界のお客様に対して、ビジネス観点と磨き上げたソリューションで課題解決にアプローチし、お客様と共に、経営環境にイノベーションを起こします。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです