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20年来の信頼関係とSIの強みを土台に、交通・観光のDXを先導する存在へ

NTTデータは鉄道・航空をはじめとする交通業界や旅行代理店をはじめとする観光業界のお客様のパートナーとして、長年にわたり基幹システムなどの開発・運用をご支援してきました。しかし近年の新型コロナウイルス流行により、お客様のビジネス環境は大きな変化にさらされています。この変化に対応するため、NTTデータはSIビジネスと並行し、デジタルマーケティングや事業コンサルテーションを軸に、全く新しい価値の提供に挑戦しています。転換の過渡期にある交通・観光業界にとっての“Trusted Digital Partner”を目指し、大胆なDX推進をリードしているのが、東條 真也が率いる交通・観光統括部です。

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「お客様が考えた」から「お客様と一緒に考える」への転換

スマートライフシステム事業部は、BtoC領域で事業を展開するお客様を中心に、デジタルを活用した新しい価値創出のご支援を行っています。東條が管轄しているのは、鉄道事業者や旅行会社等に特化した交通・観光統括部です。

交通・観光統括部のミッションには、大きく2つの柱があります。1つは、お客様の基幹システムやポイントシステムといった、既存の大規模プロジェクトの開発や安定運用を目指す役割。そしてもう1つは、デジタルマーケティングなどのDXソリューションを最上流から提案し、お客様の未来の事業変革を促す新しい取り組みです。

従来当社が得意としてきたSI事業は、「お客様が考えた」ビジネスで稼働するシステムをしっかりと作り上げることが役割でした。そのために、与えられた要件に対してリスクなく、QCDを守って納品することを重要視していたのです。

一方で昨今私たちが取り組んでいるのは、「お客様もまだ描けていない」未来の事業を思考し、当社の技術を組み込みながら、一緒に成功に向けて並走するビジネスです。

明確な正解が用意されていない分、チャレンジにはリスクも伴います。そのリスクを共に背負い並走するからこそ、より対等なビジネスパートナーとしての関係性を構築することができると考えています。

後者のビジネス展開について東條が特に着目しているのが、デジタルマーケティングの領域です。

まずは統括部内にデジタル推進チームを立ち上げ、お客様の業界全体に提案できるデジタル施策を検討しています。TableauSnowflakeといったBI・DMP基盤やSalesforceなどのMAツールを、既存のスマートフォンアプリやポイントシステムと連動させることで、より高い次元でユーザーの行動分析ができる仕組みを構築。さらにこのノウハウを同一業界の複数顧客に対して横展開することにも成功しました。

例えば鉄道業界のお客様は、自社の駅や沿線に不動産や商業施設を配置することで「鉄道に乗って、施設を利用する」という沿線経済圏のさらなる活性化を目指しています。

この事業戦略にはデジタルマーケティングを活用した人流・データの把握が必要不可欠です。

沿線を利用するユーザーの位置情報や購入履歴などをデジタルに分析することで、行動の傾向や購買の嗜好性を可視化することができます。

私たちはこれらのデータを、沿線の各施設の利用を促進するレコメンドや、駅周辺の設備をもっと利用しやすくするためのお客様の投資判断などに活用することも視野に入れ、お客様の事業成長をご支援しています。

コンサルティングファームにも負けない、強みの源泉

NTTデータが掲げるグループビジョンの中に「ロングターム・リレーションシップ」という言葉があります。これには、それぞれのお客様の目標や夢をともに描き、長期にわたり伴走できる関係性を築いてゆくという意図が込められています。こうした既存顧客との関係を大切にする風土が、個社ごとのプロジェクトをより深く促進させていると東條は話します。

私たちのお客様の中には、20年を超えるお付き合いの企業も複数あります。大規模システムの構築や運用面で長くご支援してきた実績があるからこそ、お客様にとって新しい挑戦を伴う内容のコンサルティングに対し積極的に耳を傾けていただけています。提案を経た後のシステム開発や構築フェーズも、指名でお任せいただけることが増えています。

お客様の事業を俯瞰したうえで最上流のコンサルテーションから実装まで伴走することはNTTデータが拡大している取り組みです。これは、従来から当社が得意としてきたシステム開発・構築のノウハウや、現在も活躍する運用部門による仕事なしでは成り立たない領域だと、東條は捉えています。

一般論として、コンサルティングファームの多くは最上流からの提言や企画に特化しています。そのため、提案を受けた事業会社が自社のシステム要件やリソースに照らし合わせて提案の実現可能性を探るために、SIerとコミュニケーションし直す必要があります。私たちの最大の強みはここにあると考えています。内部のシステム構造を知り尽くした立場だからこそ、お客様の現況をスタート地点に据えた提案が可能なのです。

そして、「内部を知っている」というこの強みは、当社のシステム運用部門から生まれています。一見、守りとも捉えられがちな運用・保守の仕事が、組織の武器となっているのです。

一方で東條は、そうした強みを生かして複数のお客様のDXを先導していくためには、統括部全体でケイパビリティやメンタリティを高めていかなくてはならないとも考えました。そこで、社員一人ひとりの適性や志向性を改めて把握したうえで人財配置を進め、多様な案件に主体的にチャレンジする土壌をつくっています。更に、その中で得られた実務的なノウハウを組織として蓄積し、お客様の事業を先導していくことを目指しています。

生活者目線を大切に、失敗を恐れず挑戦するチームへ

攻めの姿勢を打ち出す統括部の旗振り役を担う東條にとって、過去に経験したプロジェクトでの体験が、その原動力のひとつになっていると言います。

NTTデータに入社後、東條はエンターテインメント領域の公営競技に対して、スマートフォンアプリ(オンライン投票サービス)や競技の動画配信サービスを企画・提案しました。当時はスマートフォンが世の中に普及して間もない時期でもあり、これらの企画はNTTデータ・お客様の双方にとって初めての連続だったと振り返ります。

新サービスの企画の際、私たちは思い切ってお客様に「ローンチまでの投資は全て負担しますので、サービスから得た収益の半分を分けてください」というレベニューシェア型の提案をしました。

自社の先行投資から成果報酬をいただくというビジネスは相応のリスクも伴います。しかし、リスクを取っただけ本気度が増し、結果として成果につながりました。

その成功体験が、次にまた頑張れるエネルギーになる。こうしたサイクルが、どんな仕事をするうえでも最も大事だと思っています。

現在、東條の組織では「いかに失敗をしないか」から「いかにポジティブな思考で挑戦していくか」へ、価値観の変化が起こりつつあると言います。組織内では、評価方法を減点主義から加点主義へシフトしたり、革新的な取り組みやチャレンジは結果を度外視して事業部表彰の対象にしたりといった取り組みが続々と生まれています。

「リスクを過度に恐れず、自発性を持つこと」に加えてもう一つ、交通・観光統括部で働く上で軸に持つべき考え方があると、東條は話します。

交通や観光は、ほぼ全ての人の生活にとって身近な業種のひとつです。だからこそ、私たちもお客様への提案を考える際、「日常生活のなかで感じる、生活者視点の気付きや疑問」を大切にしています。

ビジネス的な知見やスキルはプロジェクトを進めるうえで重要ですが、仕事をする自分と毎日の生活を送る自分とを切り離してしまっては、その価値は半減します。

自身の移動体験や旅行体験から得たアイデアを、培ったスキルをもとに具現化することができれば、それはユーザーに広く受け入れられる優れたサービスに直結する。私はそう信じています。

お客様との「ロングターム・リレーションシップ」のなかで、SIの価値を守り抜くこと。そして、SI事業で築かれた土台という強みに、それぞれの持つ生活者目線を掛け合わせてお客様のDX変革に向けたチャレンジを続けること。当統括部は交通・観光業界をデジタルで先導していく挑戦の舞台となっています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです