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NTTデータの営業に最も大切なことは何か。困難なプロジェクトを完遂した、周囲を巻き込む突破力

金融取引の自動化や遠隔操作を実現する「ANSERサービス」は、1981年の提供開始以来NTTデータが40年以上にわたり展開してきたサービスです。ANSERの営業担当として現在12行の金融機関様を担当する和田 純は、IT業界未経験で当社の門を叩きました。入社は2020年4月。コロナ禍の影響もあり社内のコミュニケーションにも制約があったなか、和田は初めて担当したプロジェクトで想定外の課題に直面します。その時の経験は、営業職としての価値観を変えるきっかけへと変わります。

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NTTデータが40年来磨き続ける、独自の金融サービス

NTTデータの「ANSER(※)」は、金融業界に向けて開発した決済ネットワークサービス。これは、これまで利用者が各金融機関の窓口やATMで行っていた残高照会・振込などの金融取引を、自宅や外出先から遠隔で行えるようにするものです。

固定電話・携帯電話・パソコンなどさまざまな端末からサービスを利用でき、昨今注目を集めるインターネットバンキングもこれに含まれます。金融機関にとってはNTTデータが運用するセンター設備を共同利用できることで、自前のシステムを構築するコストを軽減できるメリットがあります。

e-ビジネス営業統括部に所属する和田は、全国各地の地方銀行のお客様12行(うち、主担当として8行)を受け持つANSERの営業担当です。お客様はすでにANSERを導入いただいている既存顧客で、日常的にはサービス全般に関する一次窓口としてシステムの運用面をサポート。加えてお客様のニーズに合わせて最適な追加提案を行い、拡販に繋げることも大切なミッションです。

拡販の進め方には大きく二通りのアプローチがあります。一つは当社側から新しく企画したサービスをお客様にお持ちする形です。ANSERはサービス開始から40年以上になる確立されたソリューションである一方、今も時代のニーズに対応した新しいサービスが追加され続けています。

もう一つは、お客様との日々の会話の中で課題を見出し、その解決に向かって取り組む形です。お客様の要望を社内に持ち帰り、ANSERを軸に何ができるかを検討します。企画部門や開発部門と連携し、時には独自のソリューションを新しく創ってご提案することもあります。

提案した新しいサービスやオプション機能に対するお客様の反応が良くても、すぐに導入には繋がらないケースも多いと和田は話します。サービス導入やその後の保守にかかる予算的な制約や、企業として大きな変更に慎重なお客様もいらっしゃるからです。

ANSERの営業では、お客様ごとの事情を汲み取ったうえでコミュニケーションを図り、コストとベネフィットのバランスを強く意識した提案が求められるといいます。

※ANSER= Automatic answer Network System for Electronic Request の略。

コロナ禍の異業種転職。営業が果たすべき役割とは

和田の前職は損害保険会社の代理店営業でした。5年間の勤務を経て、経験者採用としてNTTデータに入社しました。

転職活動では、経験のある営業職を軸にすることを決めていただけで、業界はほとんど絞りませんでした。金融や保険という枠に閉じず、「これからの自分の人生にとって財産になるような知識やノウハウを学べる環境」に身を置きたい希望が強かったからです。そんな時、目に留まったのがIT業界、そしてNTTデータでした。

和田は営業職としての経験値には確かな手応えを掴んでいたものの、IT業界での経験はゼロ。文系出身で、システムについての専門知識も持ち合わせていなかったと当時を振り返ります。

初めてのIT業界に挑戦することについて、それほど身構える意識はありませんでした。どんな会社に転職したとしても、売る商品やサービス、関わるお客様が変わればまたスタートに戻るだけと考えていたからです。自分が積み上げてきた営業職としての経験を生かし、環境が変わっても自分がやるべきことをやろうと思っていました。

とはいえ実際のところ、入社後は知識不足で苦労する場面も少なくなかったという和田。さらにコロナ禍で全社的にリモートワークが主流となっていて、キャッチアップのため、より積極的な行動が求められました。
分からないことについて先輩社員に自ら話を聞きに行くことは勿論、時には全く面識のない別部署の社員にオンライン上で質問し、会話したこともあったそうです。

ほぼ全ての社員の皆さんが面識の有無に関係なく、新人の私に対して真正面から丁寧に対応してくれました。こうした社風は、私がNTTデータを転職先に選んで良かったと感じている理由のひとつです。

また同時に、専門知識を要するソリューション提案は営業担当1人の力では成り立たないことも実感しました。関係者が集い検討を重ね、NTTデータALLとしての知見を結集してこそ、お客様に納得いただける提案に繋げられるのです。

前職時代、営業活動は個人のスキルによる部分が大きかったと振り返る和田。対してNTTデータの営業に問われる素養は、「社内の関係者を巻き込み、プロジェクトマネージャーとともに手綱を引いてプロジェクトをコントロールする能力」と話します。お客様との関係を深めることと同等に、社内の信頼関係を深めることの重要性を学びました。

営業は“独り”じゃない。組織を頼ってこそ道は拓ける

和田が営業として、自身の成長を特に実感できたと語る仕事があります。それは担当する地方銀行のお客様のスマートフォンアプリをリニューアルするプロジェクトです。入社1年目で和田自身が提案し、初めて受注した大きな案件でした。

概要は、口座の残高確認機能のみを提供していた既存アプリに、入出金や振込といったインターネットバンキング機能を追加実装するというもの。ところが、既存サービスから要件変更となる点をお客様と整理していたところ、提案時には想定していなかった課題に直面しました。

追加機能のインターネットバンキングは、既存アプリとは別環境ですでにサービスを提供していました。追加機能と既存アプリの残高確認機能はそれぞれ別のサーバーで稼動しており、それぞれの進化を辿っていたため、当初の想定通りに移行させることが難しいとわかりました。

お客様側の予算やサービス提供方針を考慮に入れつつ、機能面の要望を100%実現するためにはどうすれば良いか。お客様と課題を一つずつ整理しながら対策を講じ、約1年をかけ無事要件通りのリニューアルを実現させました。

叶えるべき要望と守らなければならない制約について、社内でも多くの社員の力を借りて検討を重ねました。各部門の知見やアイデアを組み合わせて弾き出した解決策は、私1人では到底考えつくものではありませんでした。関わるメンバーの専門性がうまく噛み合ったときに生まれるシナジーは凄まじく、お客様の前に立つ営業として本当に頼もしい限りです。

個人としての経験値はまだ小さくとも、組織の力を巻き込むことで難しい案件を成功に結び付けた和田。NTTデータへの転職は単にITの知見を磨くだけでなく、“チーム一丸となりスクラムを組む”営業としての広い視野を得るきっかけともなりました。

転職においては『その選択肢が本当に良いと確信できたら飛び込む』勇気が大切だと思います。例えば、『ITが分からないから厳しい』ではなく『分からないならどうするか』を考えられる人が活躍します。自己研鑽は必要ですが、NTTデータはそうしたポジティブな挑戦を組織で支えてくれる会社です。

現在、和田は2025年まで続く自身として最大規模の大型案件に取り組んでいます。持ち前の人間力とフットワークで社内外の信頼を構築し、ANSERを軸とした金融ビジネスを前へ進めてゆく。NTTデータでの彼の挑戦は、まだ始まったばかりです。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです