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金融発、業界横断で新規ビジネスを創出する。社会課題の解決も、個人の働きやすさも妥協しない組織

地域金融機関の勘定系システムの開発を主に行う第二金融事業本部という組織の中にありながら、業界横断で新しいビジネスの創出に挑んでいるオファリング推進室ビジネス企画担当。「金融発」の組織でありながら、業界を限定することなく新規ビジネスに挑むのはなぜなのでしょうか。今回の座談会では、部長の乙間とメンバーの森、田村の3名が集まり、畜産DXや自治体向けのオンライン窓口サービスなど実際に動き出しているビジネス事例も交えながら、仕事の醍醐味や組織のカルチャーを語り合ってもらいました。

目次

Profileこの記事に登場する人

業界を問わず、新しいビジネスを創発するオファリング推進室ビジネス企画担当

――オファリング推進室ビジネス企画担当はどのような組織なのか教えてください。

乙間

オファリング推進室は、地域金融機関に向けて勘定系システムを提供する第二金融事業本部の中にあって、複数事業部を横串で貫く形でサービスを提供しています。そして私たちビジネス企画担当は、金融という本部にあることを意識しながらも、まったく新しいビジネスの創発を目指すインキュベーション組織となっています。

――なぜ事業部横断型の組織が立ち上がったのでしょうか。

乙間

金融分野でビジネスを推進していくためには、勘定系システムという従来の強みだけでなく、顧客接点に近いフロント側のサービスを強化していくことが必要です。フロント側のサービス強化は金融業界全体の課題であり、お客様も外部の企業と積極的に関わり合いながらデータを活用した新しい価値の創出に挑戦しています。こうした動きの中で、NTTデータもサービス提供型のビジネスモデルに変わっていかなければならないと考えています。

――従来型SIからサービス提供型へのビジネスモデルのシフトは容易いことではないと思いますが、どのように取り組んでいるのでしょうか。

乙間

従来型のITサービスの提案も継続して行う一方で、まったく新しいビジネスの立ち上げや拡大にも取り組んでいます。以前は、既存のサービスにITを掛け合わせれば自然と新しいものが生まれていたのですが、既に今はそのような領域はほとんど残っていません。今求められていることは、お客様と一緒になって新たなビジネスを作っていくことです。

そうですね。私たちのお客様の多くは金融機関ですが、その先のエンドユーザーにどのような価値を提供できるかがポイントになります。その意味で、業界を問わず幅広い領域において新しいサービスの検討を進めていくのがビジネス企画担当の特徴です。必然的に幅広い業界の知識や知見も求められることになります。

田村

金融機関と私たちベンダー目線だけで納得した世界を作り上げてしまうと、利用者にとって実は使いづらいサービスになってしまうこともあります。そのため、我々の仕事はエンドユーザーの視点を持つことが特に重要なチームだと言えます。

――ユーザー視点でのアプローチが重要なのですね。森さんと田村さんがビジネス企画担当に参画された背景を教えていただけますか。

乙間

当時の組織長は、デジタルに親しんできた若い世代が自由な発想で取り組まないと新しいビジネスは生まれないと考えていました。その点で若手メンバーの存在は不可欠でしたね。

私はチームの立ち上げ時期から参加しているのですが、それまで開発として3年、営業として2年働き、次は新しいサービスを自ら企画したいという考えが強くなっていました。営業の頃にも新規のサービスをお客様に提供する部署にいたのですが、ビジネスを育てていく難しさとやりがいの両方を経験したことで、よりその想いは強くなりました。

乙間

私自身も開発、営業、企画をすべて経験してきましたが、この中でも一番強い意思が必要な仕事が企画ではないかと考えています。もちろん他の仕事でも強い意思は大切ですが、企画は上手くいくかどうか分からない中で進めていくのですから、何よりも本人のやる気がないと前に進みません。その点、森さんはやる気に満ちていて最適な人財でした。

私が異動してきた初日、まだ何も扱う商品がない中で初対面のメンバーたちが集まって、「みんなは何に興味がある?」という段階からブレストをしましたよね。まさにゼロからのスタートで、都会から砂漠に放り出された気分でした(笑)。ですが、「何でもやっていい」という期待感に溢れていました。

乙間

一方、田村さんは開発を経験した後、銀行に出向し、自社に戻るタイミングでビジネス企画担当に配属されました。金融機関での業務経験を活かして新しいサービスを生み出してほしいと期待しての人事でした。田村さんはお客様からの強い要望で出向期間を半年延長したほど、お客様の厚い信頼を獲得していました。半年の延長があったので、私としても待ちに待った配属でしたね。

田村

ありがとうございます。出向者としての役割に限定せず、自分は一銀行員であると思いながら主体的に動くようにしていた姿勢を評価してもらえていたのかなと思います。出向から戻る際には、当時の上司とも「今までやったことのない業務をやりたい」と話していたので、ビジネス企画担当は私の意向ともマッチした配属でした。ゼロからイチを生み出すというミッションに、メラメラとやる気を燃やしながら異動してきました(笑)。

畜産や地方自治体のDX推進。ゼロから新規ビジネスを生み出す醍醐味とは

――森さんは畜産農家向けの経営管理ツール「U-Cash™」を担当しているそうですね。このサービスが立ち上がった経緯を教えていただけますか?

実は当初、金融機関が畜産農家の事業性を評価し、融資を高度化するソリューションを企画していたのですが、私たちが畜産農家にヒアリングしていくと、そもそも畜産農家が経営管理に困っていることが判明しました。そこで、畜産農家向けのサービスを展開している外部のテクノロジー企業と協力してサービスを企画することにしました。

乙間

今はリリースに向けて動き出していますが、サービスが立ち上がるまでは苦労が多くありました。私も森さんと一緒にテクノロジー企業に出向いて自分たちの考えを話したのですが、NTTデータという看板があっても、最初から信頼してもらえたわけではありません。NTTデータがなぜ畜産に関心を持つのか、NTTデータに何ができるのか、私たちの熱意を試されるようなところからのスタートでした。

――外部企業と協力して価値を生み出すオープンイノベーションにおいては、双方のビジョンの共有や意思決定のスピード感の違いを埋めることが重要ですよね。

そうですね。何度も会って話をすることで徐々に信頼してもらえるようになりましたが、特に意識していたのはスピーディな対応です。パートナー企業や金融機関との打ち合わせが終わる度に、チームですぐに会議を行いました。私たちの想定と違う反応があれば、即座に提案資料に反映して、高速で改善を繰り返していきました。

乙間

一方、本来の構想である金融機関向けのサービスも進めていきましたが、金融機関としても新しい取り組みであり、今までにない規定なども必要になります。どうやって後押ししていこうかと試行錯誤しながら、少しずつ前に進めていきました。

現在、「U-Cash™」はリリースに向けて準備を進めており、私はエンドユーザー向けの仕様書作成、事業計画の管理およびPR施策の推進をメインで担当しています。リリースの後には拡販フェーズが待っています。拡販にイチから携わるのは初めての経験ですが、自ら営業戦略を立て、自分自身も学びながら実行していけるのはやりがいがありますね。スモールビジネスとしてスタートしているため、企画から開発、営業まで幅広く経験できるのはビジネス企画担当ならではの醍醐味だと思います。

――一方、田村さんは自治体向けの新規サービスに携わっているそうですね。

田村

はい。私は既に金融機関向けにサービス展開している「FG-TriView®」を活用した自治体向けのオンライン窓口サービス「TeleCo™」の企画を担当しており、これから営業活動を本格化させていく段階です。

――自治体向けにオンライン窓口サービスを提供する背景を教えていただけますか。

田村

全国の自治体ではAIなどを活用して業務の効率化を進めており、窓口業務に関してもデジタル化を進めていく動きがあります。コロナ禍もありこの動きは加速していますが、電子申請をせっかく導入しても利用率が伸び悩んでしまうといった課題も出てきているため、私たちは自治体と住民をオンラインでつなげ、これまで対面で実施していた相談や電子申請のサポートをリモートで行うことができる「TeleCo™」を提供したいと考えています。

――自治体からの反応はいかがですか?

田村

担当者の方々からは好意的な反応が多数でした。ベースになった「FG-TriView®」はもともと金融機関向けに提供していたため、サービスのイメージは掴んでもらいやすかったと思います。また、金融発のセキュアなサービスという点にも価値を感じてくれることが多かったです。

ですが、自治体向けのサービス企画は我々にとって今までにない取り組みだったため、商品化は容易ではありませんでした。それでもニーズがあることは確信していたので、これまで自治体とインタラクティブに意見交換してきた内容を振り返りながら、意思決定を後押ししていきました。

乙間

補足すると、私たちが所属する組織は金融機関に対しては豊富な実績やコネクションがありますが、地方自治体に関してはそれほど強いつながりがあったわけではありません。「FG-TriView®」という既存サービスがあるからといって、我々の組織で本サービスを提供して、本当にマーケットに展開していくことができるのか、という説明が必要になりました。

田村

毎月のように役員の予定を確保して、複数回にわたりサービスの説明を行ってきました。といっても、同じ説明を繰り返したわけではなく、検討材料が足りていないことに気づき再度情報収集を行ったり、自分たちの考えが本当に自治体の考えと合っているかを検証するため自治体の方々にぶつけて意見をもらったりと、サービスを磨いていくうえで重要なプロセスになったと思います。

――それだけの苦労を経ての商品化となれば、感慨深いものがありそうですね。

田村

はい。安堵する一方で、しっかり売らなければならないというプレッシャーも感じていますが(笑)。私自身、営業は未経験なので、森さんのように学びながら行動し、自治体の方々の期待に応えたいと考えています。

子育て中の社員も多数活躍。「働きやすさ」にも妥協しない組織

――オファリング推進室 ビジネス企画担当では、仕事と家庭を両立しながら働いていたり、プライベートも充実している方が多いと伺っています。事実、森さんも産休・育休を経験していますが、当時の引き継ぎはいかがでしたか?

先ほどお話した、テクノロジー企業との協議が最終的にまとまる直前に産休・育休を取得しました。数ヶ月をかけて引き継ぎを行ったので、産休にはスムーズに入れました。周囲の社員からも「おめでとう」と祝福してもらい、快く送り出してもらいました。

――一方で、自分が立ち上げに携わった新規サービスから一時的に離れることに寂しさもあったのではないでしょうか。

そうですね。知識のアップデートがなかなかできない状態で復帰して大丈夫だろうかという不安はありましたが、産休・育休中も時折プロジェクトの状況を共有してもらい、子育てしながらも復帰を楽しみにしていました。他のメンバーの歓迎会などのタイミングで声もかけてもらい、チームの状況も把握できていたので、そういった点で遅れを感じることはありませんでした。

乙間

ビジネス企画担当には、たまたま森さんと年齢の近いメンバーが多く、男性社員も全員が子育て中です。夕方になるとみんな業務を中抜けして保育園に子どもの迎えに行くので、育児との両立は当たり前という感じです。私も子どもがおり、去年までは塾の送迎をしていました。

田村

私はまだ子供はいませんが、乙間さんや森さんの姿を見ているので、子育てしながら働いたり、男性が育休を取得するのも当たり前のことだと受け止められています。みなさんを見ていると、将来、自分がそのライフステージに進む時のことを考えても、まったく不安はありませんね。

――子育て世代のメンバーが多い中、乙間さんが組織マネジメントにおいて意識されていることはありますか?

乙間

まず大前提として、自分が大変な思いをしたことをメンバーには経験させたくないと考えています。私自身は、過去に多忙なプロジェクトも経験してきましたが、そのせいで家庭をおろそかにしてほしくありません。プロジェクトは絶対に問題化させず、全員がしっかりプライベートも充実させられるような組織でありたいと考えています。

乙間さん自身が毎日定時でしっかり帰っていますよね。リーダーがそういう姿を見せて、環境をしっかり整えてくれているおかげで、私たちも安心して働けていると感じています。

――新しいサービスを生み出すというチャレンジングな仕事の一方で、ワークライフバランスも確保できているのは素晴らしい環境だと思います。そんなビジネス企画担当のカルチャーや雰囲気についても教えていただけますか?

乙間

大変なこともありますが、シンプルに楽しいですよね。みんなでブレストして、新しい価値を提供しようと議論するのは楽しいです。みんな個性が際立ったメンバーですし、正直な人間が多いなと感じていて。テレワークの画面越しでも、この人は納得していないだろうなという時はすぐに分かります。特に森さんと田村さんの2人は分かりやすい(笑)。ですが、自分の意思を持ったメンバー同士だからこそ、議論も良い方向に進みやすいのだと感じています。

分かりやすいですか(笑)。たしかに、みんな自分の意見を持っているのですが、案外衝突することはありません。相手の意見を尊重しつつ、自分の意見を伝えることが上手な人たちだからだと思います。乙間さんは良い意味で役職を感じさせず、フラットなチームです。

田村

チームの一体感は強いですよね。どんなことに対しても一人称で向き合える人が多いと思います。問題にぶつかり悩んだ時、他のメンバーに相談するとたくさんの意見をもらえるのはありがたいです。

乙間

どうしても企画という仕事は「○○さんの企画」という意識になりがちですが、私は誰か一人だけが推進する形にはしたくないと考えています。できるだけみんなで一緒に推進していきたいですね。

田村

いろいろな業界の出身者、開発や営業の経験者など、さまざまなバックグラウンドの人が活躍しています。企画の推進において必要なスキルはひとつではありませんし、チームで協力し合うことは大切です。何か特定のスキルというよりも、「こんなことをやりたい」という強い想いのある人は活躍しやすいチームだと思います。

そうですね。その点、ビジネス企画担当はとてもチャレンジしやすい環境です。NTTデータが持つ膨大なアセットを活かして新しい価値を生み出せますから。これから参加される方とも一緒にチームで取り組んでいきたいです。

新しいビジネスを生み出す際にもっとも大切なことは、経験やスキルよりも、強い意志を持っていること。業界を問わず新規ビジネスを創出するオファリング推進室ビジネス企画担当は、多様なバックグラウンドを持った方が活躍できる場所です。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです