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ビジネスと技術を横断し、まだ世の中にないサービスを生み出す。人流データ分析サービス開発の舞台裏

ビジネスにおけるデータの活用が進む中、NTTデータは人の流れをリアルタイムに予測できる人流データ分析サービス「BizXaaS MaP 人流分析」をリリースしました。リアルタイムの人流分析は、幅広いビジネスでの活用が期待され、街づくりやスマートシティの文脈でも注目度が高まっています。今回ご紹介する谷 宣廣はこの人流データ分析サービスの立ち上げから携わり、お客様への提案や商品企画、開発まで幅広く担当してきた人物。ビジネスと技術を横断する活躍の裏には、どのようなキャリアがあったのか。谷のインタビューをお伝えします。

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汎用的な技術への関心から、技術開発本部を経て新規事業開発へ

物理学を専攻し、大学院では素粒子の研究に携わっていた谷。成果が形になるのは数十年先という基礎研究の世界から、もっと世の中にダイレクトなインパクトを与えられる仕事に挑戦したいと考え、大学院修了後、ビジネスの世界への挑戦を決意しました。

NTTデータへの入社後は、デジタルビジネスソリューション事業部で基盤からアプリの開発までSIの基礎を幅広く習得しました。もともと「新しいことをやりたい」と考えていた谷は、2014年頃から地図情報ビジネス領域の開発業務に関わるようになり、NTTの研究所とも連携した研究開発プロジェクトを任せられることになりました。

以前から汎用的な技術に興味があり、地図情報やビッグデータの領域にも注目していました。チームに参加させてもらってからは、ゲーム業界から転職してきたメンバーなど多彩な人財と一緒に技術課題へ取り組み、当時はまだ珍しかったWebGLによる3D描画エンジンの開発にも携わりました。
難易度の高いプロジェクトでしたが、「最初は解決が不可能だと思えたことも、諦めずに向き合えば解決の糸口は見える」ということを学べたと感じています。

3D技術の知見や技術課題への向き合い方を学んだ谷は、さらに“誰もやっていないこと”に踏み込みたいと考え、自ら技術革新統括本部の技術開発本部へ異動を志願。技術開発本部では、高度な専門性を持った人財に囲まれながら、XR(クロス・リアリティ)による遠隔作業・遠隔会議や、位置情報などの空間データ分析技術の研究開発に携わります。まさにメタバースの先駆けともいえる領域です。

XRやビッグデータ、AIなどを学びたいという期待を抱いて技術開発本部に異動し、さまざまな技術開発を経験できました。ですが、個人的に一番大きな収穫だったと感じるのは、人との出会いです。背伸びをしても敵わないようなスペシャリストがいると身をもって知りました。

谷が技術開発本部で人流分析に関する技術的知見と人脈を築いた頃、もともと在籍していたデジタルビジネスソリューション事業部で人流データ分析サービスの新規事業を立ち上げるという話が持ち上がり、谷は再び自ら志願して現在の部署へ。これまで得てきたものを生かし、新規サービスの開発へと挑むことになります。

人流を活用して何ができるのか。企画・提案から開発までを一貫して担当

谷が再び配属されたデジタルワークスペース統括部の地図情報ビジネス担当では、金融・不動産業を中心に、地価や登記などの地理空間に関するさまざまな情報を活用するためのコンテンツ配信サービスやアプリケーション開発を行っています。さらに、これらの静的な情報に加え、リアルタイムに収集されたGPSログなどの位置情報も分析し、売上予測や出店計画、あるいは集客施策の実行などに活用できる人流データ分析サービスの提供も開始。位置情報に関するあらゆる領域でお客様の業務を支援しています。

谷はこの人流データ分析サービスの立ち上げから参画し、具体的な活用方法についてお客様に提案する営業支援活動、そしてサービスとして具現化する商品企画や開発までを幅広く担当することになりました。

立ち上げのフェーズでは、WHAT(何をするか)も、WHY(なぜやるのか)も具体的に決まっていない状態でした。静的なデータだけでなく、ダイナミックなデータを扱って何かビジネスを行えないか、という漠然とした構想から、サービスのコンセプトを形にしていきました。

まさに手探りの状態からスタートした谷たち。「人流」というNTTデータにとってもお客様にとっても未知の部分が多い領域に対して、大きな裁量を持ってチャレンジできることに今までにないやりがいを感じていたそうです。「まだ誰も見つけていないお宝を探すようなワクワク感でした」と谷は振り返ります。

一方で、当然ながら簡単な挑戦というわけではありません。そこにはビジネス面、技術面、両面での高い障壁がありました。

ビジネス面については、人流=人の動きを捉えられるということの可能性は多くのお客様に感覚的に理解はいただけるものの、具体的にどう活用できるかという答えは誰も持っていませんでした。本当にビジネスとして成立するかどうかは未知数です。

NTTデータの強みの一つが、お客様の課題に対してSIで解決することでした。一方、人流データ分析サービスのような新しい取り組みについては、具体的な要件や依頼があるわけではなく、お客様の潜在的なニーズを捉え、自分たちが正解を組み立てていくというアプローチが求められます。

谷たちはチームでディスカッションを繰り返し、さまざまな仮説をお客様に持ち込みながら、少しずつニーズを具体化し、コンセプトを練り上げていきました。暗中模索の状況であっても、お客様との仮説をベースに話ができる関係性があることは、NTTデータの大きな強みだと感じていたそうです。

一方、ビジネスを実装する技術面においては、提案・営業支援から商品企画、開発まで一貫して携わる立場ゆえの難しさがありました。

営業担当と一緒にお客様へ提案をする際、開発側の立場として悩ましかったのは自分が責任を持って具現化できる提案をしなければならないということです。そもそも分析・予測は難易度が高い技術。開発側だけの気持ちでいえば、実現が難しそうことは「できる」と断言したくありませんが「できない」ばかりではサービスが形になりません。

そのジレンマを突破してお客様にとって価値のある提案へとつなげることは、開発者として大きなチャレンジでした。

NTTデータだから実現できた、領域を横断するキャリア

お客様にとって価値あるサービスを形にするためには、さまざまな技術要素が求められます。谷たちが目指す人流データ分析サービスにおいては、静的な統計データを活用するだけでなく、リアルタイムな状況を店舗や施設ごとに正しく知る必要があります。そこでNTTデータは、リアルタイムの人流データプラットフォームを持つ企業とともに、人流データ分析サービスの実現を目指したのです。

協業パートナーから見たNTTデータの価値はお客様からの信頼が厚く、技術力の高さがあり、新たなサービスを形にできることです。お客様との信頼関係は先ほど述べた通りですが、NTTデータはビッグデータの分析やAIを活用する技術力も持っています。データサイエンティストの人数も多く、一つの会社で幅広い技術を有しているところは珍しいと思います。

開発難易度の高いサービスでしたが、谷は自らの組織の知見だけでなく、技術開発本部で培った人脈や、そこからつながったさまざまな部署のスペシャリストからも知見を借り、大量データの処理や機械学習を含めた分析など、新しい技術要素を取り入れながら課題をクリアしていきました。

どれほど優れたサービスであっても、最終的に業務に生かすことができなければ意味はありません。お客様が本当に活用できる形でアウトプットする力も、NTTデータに期待されていたことだったと思います。

谷たちが作り上げてきた人流データ分析サービスは、「BizXaaS MaP 人流分析」としてサービスインし、建物単位、道路単位での人流の分析・予測を行っています。小売・流通や、飲食業といった人流が直接的にビジネスに影響する業界はもちろんのこと、街づくりやスマートシティの文脈においても活用が期待されるサービスです。

誰もやったことのないことをやりたい、歴史を変えるような価値のあることを成し遂げたい。そんなことを考えながらNTTデータで働いてきました。それが少しずつ実現に近づいているようなわくわくする気持ちを感じています。

そして谷はNTTデータでの経験を通じて、自らはスペシャリストではなくディレクタータイプだと考えるようになったそうです。

技術開発本部での経験も大きいのですが、NTTデータには高度な専門性を持ったメンバーがそろう中で、私の強みは「この分野なら誰にも負けない」という専門性ではなく、複数の要素や技術を組み合わせ、メンバーと共創することで価値を生み出せることだと実感しています。

一つの分野に集中していると飽きてしまう性格だと自認している谷。本人の言葉を借りれば、さまざまな領域を「つまみ食い」しながら挑戦を続けることができたのは、NTTデータだからこそ可能なキャリアの歩み方だったと感じているそうです。

さまざまな挑戦ができてきた環境の背景には、NTTデータが持つ事業領域の多様性、そして本人が強い意志を持って「やりたい」と手を挙げれば機会が与えられる風土があったと谷は語ります。特に近年ではDXのニーズが高まる中、組織全体で新しいことをやろうという機運が今まで以上に強くなっているのだといいます。

私自身、新しい領域への挑戦はこれからも続けていきたいです。特にNTTデータとしての実績がまだ多くない、コンシューマ向けビジネスの領域には今後も挑戦してみたいと考えています。

ビジネスと技術を横断する存在と活躍の場を広げている谷。“まだ誰もやっていないことを成し遂げたい”というモチベーションを持って、新しい価値の創出に挑み続けています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです