これまでのインフラ基盤とはまったく違う。AI基盤に求められる条件とは
テクノロジーコンサルティング事業部は、あらゆる業界を横断しながら、先進テクノロジーを活用したコンサルティングを通してお客様の経営課題解決を支えています。組織としてさまざまな技術／ビジネステーマに取り組むなか、大久保がリードするのは、NTTデータが新たに手掛けるAI基盤ビジネス。生成AIのさらなる活用に向けて、コンサルティングからアプリケーション／インフラの構築・提供まで一気通貫で提供しています。
生成AIの活用にはいくつかのフェーズがあり、大別すると社内の業務プロセスに生成AIを導入して生産性の向上やコストカットを図るフェーズと、ビジネス変革によって今まで提供できなかった価値を創造するフェーズに分けられます。NTTデータではその両方を支援できるように、時代を先読みした研究開発に取り組みながら、生成AIの活用に不可欠なプライベートAI基盤サービスの企画・開発に力を入れています。
そのうえでAI基盤のプロジェクトで求められる点について尋ねると、大久保は「セキュリティ」と「スピード」を挙げました。
セキュアかつ利便性の高いAI基盤を提供するには、顧客情報や知的財産などの機密データを守るためのセキュリティと、性能を上げるための学習スピードが欠かせません。この2つの要素を両立するには、さまざまな壁を乗り越える必要があります。まだ成熟していない領域で新たな技術に触れつつ、困難な壁を乗り越えながら最適なAI基盤を模索していくことが、私たちに求められるポイントです。
セキュリティとスピード、この2つの要素を両立することは、決して容易ではありません。一方で、大久保は「困難な壁を乗り越えるところに、NTTデータならではの魅力がある」と語ります。
AIチップは現在、NVIDIA一強の状況ですが、その他についても調査の枠を広げ、用途に最適なものを採用します。また、サービスプロバイダとして一気通貫で関わるからこそ、AI基盤の設計・構築で終わらず、より創造的な業務領域にまで踏み込むことが可能です。このようにAIの細部にもこだわって壁を乗り越えていき、大規模なマネージドサービスとして実装・運用までやり切れる企業はかなり珍しいと思います。
数千億規模の売上創出が期待される今こそ、エンジニアにとって絶好のチャンス
NTTデータは、2027年度までに生成AI関連事業においてグローバルで年間3,000億円の売り上げを目指しており、全社的にもテクノロジーコンサルティング事業部への期待が高まっています。一方で、プライベートAI基盤サービスはまだ立ち上げ期。期待に応えるためには、事業の飛躍的な成長が求められます。
ハードルの高さを感じる反面、見方を変えればNTTデータ内で最も注目されている事業とも言えるのではないか。大久保は事業投資の観点からも、それを実感しています。
AI基盤ビジネスは、他の事業と比べて投資体力が求められます。高性能なGPUは非常に高価なものですし、新技術を活用した実証実験も欠かせません。この点においてNTTデータはデータセンター事業で世界シェア3位という基盤があり、十分なリソースを投入できるだけの余力がある。だからこそ、スピード感をもって事業をスケールさせられると感じています。
特にGPUは特殊なサーバで置く場所が制限され、かつ消費電力が多いことから都心部の電力枯渇が懸念されています。この課題の解決策のひとつとして、NTTデータはコンテナ型データセンターにNTTの次世代情報通信基盤「IOWN」を用いることで、設置場所を選ばずに短期間で構築できるデータセンターのサービス化を目指しています。このようにNTTグループ全体の知見・ノウハウを活かしつつ、さまざまな実証実験を経てより良いサービスを生み出していけるのは、NTTデータの魅力のひとつです。
また、近年はNVIDIAをはじめとするベンダ各社との連携や、OpenAI、Googleなどとの協業を通じて、最新のGPUやAIモデルを活用し、お客様のビジネス変革をより一層支援できる体制や環境が整っています。これらの強みを活かしながら、これから事業を拡大させるためにどのような方と一緒に働きたいかと尋ねると、大久保は「最新のAIトレンドに負けず、ビジネスと向き合っていける方」と答えました。
AI技術が絶え間なく進歩しているので、あんなことも、こんなこともできるんじゃないかという夢物語を考えることもあります。しかし、大切なのはそれを机上の空論で終わらせないこと。新技術の利点とリスクをしっかりと把握し、どのように活用すればお客様の利益につながるビジネスを生み出せるのか。それを考え、やり遂げることこそが、NTTデータのエンジニアに求められるビジネスマインドです。ぜひNTTデータでさまざまな変化に触れながら、技術ではなくビジネスを語れるエンジニアに成長していってほしいと考えています。
私たちのAI基盤が、あらゆる業務シーンを革新する未来を目指して
SmartAgent構想で定義したように、NTTデータは生成AIの活用が単一の業務にとどまらず、業務プロセス全体に広がっていくと考えています。そのうえでAI基盤サービスが見据える未来を尋ねると、大久保は「デジタルとフィジカルの両方を支えるサービスになる」と答えました。
AIはデジタルワーカーにとどまらず、フィジカルワーカーとしての活躍も期待されています。特に日本市場では、人手不足が深刻な状況です。その解消に向けて、AIロボットと一緒に働く未来もそう遠くないかもしれません。あらゆる業務シーンで、多種多様なAIが稼働する。それを裏側で支えていくのが、私たちの役割になると考えています。
AIロボットに高度な動きを求める場合、より現場の近くでのコントロールが必要になるでしょう。言語モデルの大小によっては、パブリックとプライベートでAI基盤を使い分けるケースも考えられます。このように状況に応じた最適化活用が進むなかで、お客様のビジネスをどのように変革し、新たな価値を創造するかがNTTデータに期待されることであり、腕の見せ所とも言えるでしょう。
分野を横断し、私たちはNTTデータグループのあらゆる組織からの相談を受けています。それぞれの分野で得た知識やノウハウを別の分野にも展開することで、グループ全体のサービス品質を高めていくことにもつながるでしょう。ゆくゆくはNTTデータグループのすべてのサービスを後押しする存在として、私たちのAI基盤が活躍している。そんな未来も夢ではありません。むしろそれを実現することが、AIの価値を拡張していく第一歩であると考えています。
新技術の情報収集や新製品の調査に加え、業界ごとの商習慣や業務特性など、インプットすべきことは沢山あります。まだお客様のなかで活用イメージが明確化されていない領域だからこそ、投資利益率（ROI）を加味したうえで実現可能性を説くこともあるでしょう。
このような未開の領域を開拓しながら、AI基盤ビジネスの成長を加速させていく。テクノロジーコンサルティング事業部の挑戦に、ますます期待が高まります。
