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「個」から「組織」での価値提供へ。転職で変わったデータサイエンティストのキャリア観

デジタルトランスフォーメーションの推進が叫ばれる昨今、需要が高まっている職種のひとつがデータサイエンティストです。世界的にみても、データサイエンティストは不足しているといわれています。外資系メーカでデータサイエンティストを経験した藤墳新菜は、なぜ転職先としてNTTデータを選んだのか。これまでのこと、そして今後目指すことについて語ります。

目次

忖度なしに良いものを提案できるのはマルチベンダならではの強み

藤墳 新菜
ビジネスソリューション事業本部
AI&IoT事業部 デジタルサクセス担当 課長代理

前職では外資系大手メーカに勤務し、ヘルスケア領域に強みを持つデータサイエンティストとして活躍していた藤墳。優秀な社員が多く刺激的な環境があり、またお客様からも信頼をいただける充実したキャリアを歩んでいました。一方今後のキャリアを考えたときに、個々が独立して業務を進めていくスタイルに限界を感じていたことと、経験できる領域を拡げたいという想いから転職を決意したと言います。

「事業会社をはじめ、検討した企業は多々あります。そのなかでもNTTデータに決めた理由は、マルチベンダという特性があったからです。前職はメーカだったので自社ツールしかお客様に提案できませんでした。マルチベンダなら特定のメーカにとらわれず、お客様に最適なソリューションをご提案できること。それが魅力的でした」

藤墳が配属されたのは、ビジネスソリューション事業本部AI&IoT事業部。この事業部は、AIやIoTをはじめ最先端の技術をお客様にご提案する組織です。そのなかでも、藤墳が担うのはデータ分析に関する業務。ヘルスケア・ライフサイエンス領域に加え、大手通信キャリアのお客様も担当しています。お客様からデータを預かり分析レポートを提出することはもちろん、『DataRobot』などのデータ分析ツールの導入支援、お客様の育成も手がけています。実は近年、社内で分析したいというお客様が増えており、ワークショップの開催やお客様がデータ分析したものに対するアドバイスやディスカッション等、多角的な支援を実施。

「DataRobot」とは

NTTデータが取り扱っている機械学習プラットフォーム。世界トップレベルのデータサイエンティストのノウハウが詰まっており、1,000を超える分析アルゴリズムから最適なモデルを自動選択します。操作性に優れており非常に簡単なオペレーションで、誰でも精度の高い予測ができるのが特長です。

データ分析という大枠は外れないものの、転職してから藤墳の働き方には変化が生じていました。もっとも変わったのは、個人プレーだったのがチームプレーになった点です。どのような業務においても、基本的にはチーム単位で取り組みます。

「入社して感じたのは、メンバーと助け合える環境って、すごくいいなあと。チーム全員で同じ方向を向きながら、いいものをつくりあげていく。こういったことは前職まではなかったので、チームワークで仕事をするおもしろさをNTTデータで初めて実感しました」

チームプレーをすることで藤墳は次々と新しい気づきを得て、考え方や行動が変わったと話します。

新たな取り組み「デジタルサクセス®プログラム」で挑む、組織改革

AI&IoT事業部では、コミュニケーションツールとしてSlackを利用しています。AI&IoT事業部は中途入社者や異動者が多い組織なのですが、お互いの理解を深めるためにSlackで自己紹介リレーをするなど、コロナ禍においても普段から気軽にコミュニケーションがとれるようになっています。情報共有も盛んに行われており、藤墳も自分のなかで溜まったナレッジをチームや組織に還元しようという気持ちが高まっていったそうです。

「どんなに小さなことでも共有するようになりました。こんな反省があった、ほかでも活かせそうなことがあった等。ひとつのプロジェクトに取り掛かると、3カ月~1年ほどはその領域でしか経験が積めません。個人が経験できる業界・業種の範囲は限られているので、他者のナレッジを活用できるのは貴重だと思いますね」

しかし貴重な事例やナレッジも、各々が思い思いに共有をしたのではうまく機能しません。そんな課題を解決するために事業部で新たに立ち上がったのが、デジタルサクセス®でした。

デジタルサクセス®とは、デジタル変革に向けた独自推進アプローチです。また、その為の実行プロセスや、各種検討に向けたテンプレート、リファレンス、ユースケース、成熟度診断ツールなどを統合的したメソドロジがデジタルサクセス®プログラムです。藤墳は入社3年で、このデジタルサクセス®プログラムを作成・整備するプロジェクトを進めるメンバーに任命されました。

AI&IoT事業部はこれまで『DataRobot』を導入していただくお客様の新規開拓に注力していました。現在は次のフェーズとして、導入いただいたお客様のなかでのよりAI活用を推進し、成功いただくことをミッションに掲げています。そのプロセスでの活用が期待されるのが、彼女の取り組むデジタルサクセス®プログラムです。その活用範囲は、同じチームのデータサイエンティストだけにとどまらず、AI&IoT事業部のプリセールスを手がける営業にも広がりを見せています。

「新しいことを始めるときに、関係者がこれをチェックしておけば成功できる!といった自信が持てる仕組みになるよう、努力しています。デジタルサクセス®プログラムのメンバーになってから半年ほど経ちますが、より視野が広がったと感じます。個人としてお客様のためにどういった支援ができるのかという視点だったのが、組織としてどう行動できるのかの視点で考えるようになりました」

デジタルサクセス®プログラムで集められるナレッジは、成功体験だけではありません。失敗体験も蓄積することで次の経験に活かせるのだと藤墳はいいます。さらにDataRobot社にヒアリングし、グローバルも含めた成功事例をもとにしたナレッジもまとめています。

データ分析とビジネスをつなぐのが私たちの役割

優れたデータ分析能力だけではなく、お客様にとことん寄り添う藤墳は社内外から高い評価を受けています。そんな藤墳の仕事をするうえでのポリシーとは?を聞いてみました。

「プロフェッショナルという立場で、お客様に期待値以上のことをお返しできるように行動することは常に心がけています。だからこそ、データ分析業務に強いだけではデータサイエンティストは務まらないと考えています。私たちが働く場所は研究所ではないので、難しい技術の習得に高い価値があるわけではありません。お客様が抱える課題を、どう解決するか。その観点から、データ分析をビジネスにつなげていく思考が大切です

2017年に入社した藤墳は、いまや事業部でもベテランメンバーとして部下や後輩の育成にも、熱心に取り組んでいます。データサイエンティストとして入社してくる若手は非常に優秀なメンバーが多いそうですが、中には「データ分析だけしたい」といった思考のメンバーも。そんなメンバーに対し、業務を通して思考を変えていくのも重要だと藤墳はいいます。

またAI&IoT事業部では社内留学制度を積極的に行っています。金融や公共など他事業部からの社員を受け入れ、3年間という限られた期間内でデータ分析に強い人財へと育成します。藤墳は育成する立場ではあるものの、社内留学制度を通して学ぶことも多いそうです。

「私たちのプロジェクトは分野や事業部を横断するものの、専門領域であるため小規模な場合がほとんどです。そのため、プロジェクトマネジメントの能力向上面に課題を感じていました。一方で、NTTデータのシステム開発をされている方はプロジェクトマネジメントの能力が非常に優れているんです。社内留学を通して、そんな方たちのノウハウを学べたおかげで、トラブルを未然に防ぐこともできました」

金融や公共のように特化した領域に強いメンバーが社内留学でメンバーに参画すると、その業界のナレッジを共有してもらえることもあるそうです。また、社内留学が終わったあとも社員との交流が続くため、のちの業務で連携がしやすくなるという利点もあります。

最後に、藤墳に今後のビジョンについて尋ねました。

「プロジェクトを担当し、お客様と向き合う働き方はとてもやりがいを感じます。ですが、それはたくさん経験させてもらったので、今後は組織としてお客様により良いものを提供するための仕組みづくりに邁進したいと考えています。デジタルトランスフォーメーションが進むなかで、必ずコアを担う存在としてデータサイエンティストは求められるはず。そこでの介在価値をNTTデータとして創出できるようにしたいです」

ひたむきにお客様に向き合っていたなかで、NTTデータに入社し、周りを巻き込んでいくことにおもしろみを見出した藤墳。今後も彼女の躍進から目が離せません。

【参考】ビジネスソリューション事業本部とは?

藤墳の所属するAI&IoT事業部は、NTTデータのなかのビジネスソリューション事業本部に属しています。ビジネスソリューション事業本部は、デジタル変革のためのソリューションやサービスによって、お客様の事業発展を支えるミッションを担う全社横断組織です。さまざまな業界のお客様に対して、ビジネス観点と磨き上げたソリューションで課題解決にアプローチし、お客様と共に、経営環境にイノベーションを起こします。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです