2019.11.14事例&対談

シームレスな次世代OMO戦略とは
~NTTデータ&ネットイヤーグループがめざす新デジタル展開~

NTTデータが開始した小売業向け『レジ無しデジタル店舗出店サービス(※)』は、ネット上で展開されるオンラインと、リアル店舗でのオフラインを融合させるOMO(Online Merges with Offline)と呼ばれる新たなマーケティング概念を形にしたものだ。NTTデータとネットイヤーグループは共同でワークショップなどを開催し、このサービスの有用性や実現性、導入に向けた課題を確認し今後の実用化に取り組んでいる。互いの強みを生かし、企業全体のバリューチェーンを変えるDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現をめざす両社に、提携によりもたらされるクライアント企業へのメリットと今後の展開について聞いた。

両社の強みを生かし業容拡大へ
~ネットイヤーグループ・代表取締役社長 CEO 石黒不二代氏~

ネットイヤーグループ・代表取締役社長 CEO 石黒不二代氏

ネットイヤーグループ・代表取締役社長 CEO 石黒不二代氏

───NTTデータとの提携の理由を教えてください。

「2019年3月にNTTデータと戦略的提携を結びました。私たちが強みとする企業のCMO(広報・マーケティング部門)に向けた事業活動と、CIO(情報システム部門)から大きな信頼を得ているNTTデータの双方の経営資源を合わせることで、デジタルマーケティングが手付かずだった分野などに対応するだけでなく、新たな提案で事業領域を拡げられることが提携の理由です。日本企業においてデジタルマーケティングが進まない理由のひとつに、無数に増え続けるマーケティングテクノロジーをどう組み合わせて活用していくのかが不明瞭であるということがあげられます。私たちのようなサービスプロバイダーに求められるのは、多岐多様なサービスを提供できること、また統合的なサービスをお客さまと一緒に伴走しながら優先順位をつけて実現していくこと。その過程で企業をはじめ、さまざまな基盤となるシステムを手掛けてきたNTTデータの持つ力が何よりも必要だと考えています」

───具体的に実現可能になったことと、これからのめざす姿について教えてください。

「例えば、最高のユーザ体験を実現するカスタマージャーニーマップを描いたときに、これまでネットイヤーグループ単独で実現可能だったのはECサイト・アプリ構築、コンテンツ制作などの部分に限られました。これがNTTデータとタッグを組むことで、流通や在庫管理、決済システム、高度な分析などバックエンドで膨大なデータ処理を伴う仕組みづくりまでできる会社に生まれ変わることができました。特に、マーケティング、コマース、ペイメントにフォーカスし、デジタルマーケティング業界のトップをめざしていきたいと考えています」

OMOで変わる事業形態に着目
~NTTデータ SDDX事業部 デジタルエクスペリエンス担当 部長 風間昭男~

NTTデータ SDDX事業部 デジタルエクスペリエンス担当 部長 風間昭男

NTTデータ SDDX事業部 デジタルエクスペリエンス担当 部長 風間昭男

───SDDX事業部のミッションと、ネットイヤーグループとの関りについて教えてください。

「SDDX事業部は2019年にNTTデータの新しいビジネスを生み出すための部門として誕生しました。世界中の最新テクノロジー動向や、それを用いて生まれた新たなビジネスのあり方を調査し、それをいち早く形にしてお客さまと一緒にこれまでなかったビジネスを生み出していくことが私たちのミッションです。その先駆けとして展開するのが『レジ無しデジタル店舗出店サービス』で、現在ネットイヤーグループとともにワークショップなどを開催しお客さまへご紹介しています」

───なぜ『レジ無しデジタル店舗出店サービス』を手掛けたのでしょうか。

「このサービスを提供する背景ですが、これまでは『オムニチャネル』などをキーワードに、ネットと店舗の連携が進められてきました。これからは、オンラインとオフラインが一つの姿としてビジネスが立ち上げる事業者が現れると考えています。そうなると、これまでとは評価のされ方、予算配分、ビジネスプロセスまでもが全く異なる勝負になっていくでしょう。そのために、私たちがお客さまに提供したいことは、単純に店舗をデジタル化しようということではなく、そこから生まれる新しい業態、勝負への対応にあります」

───新しい業態、勝負とは具体的にどのようなものでしょうか。

「例えば、北米のアパレル企業では試着するだけの店が登場するなど、商品の売り場であった店舗は、消費者の満足度の多様化に合わせさまざまな性格を帯びるようになっています。さらに、これらの店舗がセンサーの役割を果たし、顧客が何を手に取り、何を買わなかったかというこれまでわからなかったデータを吸い上げられるようになれば、そのデータを分析しサプライチェーンまでを繋ぐビジネスが、次のSPA(specialty store retailer of private label apparel)のモデルとして登場するでしょう。これらは、消費者接点の多様化、CXの満足度多様化への対応といえるが、店頭だけではないサプライチェーンまで伸びる戦いが始まっています」

───新たな戦いに向けて、『レジ無しデジタル店舗出店サービス』が果たす役割とは何でしょうか。

「今回の『レジ無しデジタル店舗出店サービス』では、リアル店舗が変化していくことに注目されていますが、私たちは、ゲートを通って入店者がチェックインすることに着目しています。ネットで繰り広げられるeコマースはサイトに到着した瞬間から顧客のし好に合わせた提案を行いますが、リアル店舗でもデジタルを活用し来店がリアルタイムにわかることで、顧客が手にした商品、どの棚の前で立ち止まるかを把握し商品の置き場変更や消費者ニーズに合わせた店づくりが容易になります。さらに需給に応じて価格が変動するダイナミックプライシングの導入も可能になり、廃棄ロスも減らすことができるでしょう。このような、新たなビジネスのあり方を考え、いち早く形にしてお客さまと実現していくことをネットイヤーグループとともに進めていきたいと考えています」

(本記事は、NTTデータ×ネットイヤーグループ主催「エグゼクティブラウンドテーブル」の内容を編集・要約した上で構成しています。)

NTTデータが小売業界向けに提供する、レジ支払いをせずに、決済手段を指定したQRコードで認証入店することで、手に取った商品をそのまま持ち帰ることのできるサービス。

https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2019/090200/

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