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2024年4月26日事例を知る

味の素×NTT DATA、全社員がDX人財となる市民開発へ!

味の素グループは、自社の事業を通じて社会課題を解決し、社会価値と経済価値を共創するASV経営(Ajinomoto Group Creating Shared Value)を経営の基本方針としている。また「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志の下、2030年までに環境負荷50%削減と10億人の健康寿命の延伸を目標として掲げ、社会変革をリードする存在になることを目指しており、全社的にDXに取り組んでいる。2030年のゴール実現に向け、DXの1施策として「市民開発/DX人財育成」に取り組んでおり、2023年9月より、NTT DATAと連携がスタートした。業務部門の社員が、ノーコードツールやローコードツールを活用して業務改善を行えるよう、全社的にDX人財育成を進めるプロジェクト。両社の思いに、メンバーのインタビューを通じて迫っていく。
目次

味の素グループDX活動の取り組みとめざす姿

――味の素社は2019年にDX推進委員会およびDX推進部を立ち上げ、全社的な企業変革を進めており、2023年にはDX銘柄に選定されています。味の素グループDX活動の取り組みとめざす姿を教えてください。

味の素:永島氏当社は社会課題を解決し、社会価値と経済価値を共創するASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)経営を基本方針として掲げ、2030年までに「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する企業」として、社会変革をリードする存在になることをめざしています。ASV経営の重要な位置を占めるDXに4つのステージを設け、ステージ1・2・3をそれぞれ強力に推進することで、2030年に社会変革(DX4.0)というゴールの達成をめざしています。

ASV経営を実現するための組織体制としては、DXを強力に推進する機能別の小委員会を設けるとともに、CDO(Chief Digital Officer)がリーダーを務めるDX推進委員会を設置しています。一方で、DXを実践するのは一人ひとりの従業員です。そこで、2020年に従業員一人ひとりに向け「ビジネスDX人財」という教育プログラムを開始しました。2020~2022年の3年間で従業員の約80%に相当する延べ2,436名が認定を取得しています。さらに、本教育プログラムで学んだことを生かしてDXの成果を創出するため、2022年からはDX1.0「全社オペレーション変革」の施策の1つとしてPower Platformを活用した市民開発の取り組みをスタートさせています。

図1:味の素グループのDX推進活動

図1:味の素グループのDX推進活動

NTT DATAとの連携

――今回、味の素社とNTT DATA社が連携することとなったきっかけを教えてください。

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部 ITガバナンスグループ 山添 哲也 氏

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部 ITガバナンスグループ
山添 哲也 氏

味の素:山添氏2022年10月に「Power Platform市民開発コミュニティ」を立ち上げました。このプロジェクトでは、DX推進部がCoE(Center of Excellence)の立場で旗振り役となって、事業部門の活動を組織横断的に支援していましたが、今後市民開発の取り組みを拡大していく上で、当社だけではノウハウや人員が不足しているという課題がありました。NTT DATA社にRPA活用を支援してもらっていたこともあり、市民開発についても相談したところ、連携が実現しました。

NTTデータグループ 技術革新統括本部 システム技術本部 ADM技術部 ADM担当 技術オファリンググループ 長谷川 貴士

NTTデータグループ 技術革新統括本部 システム技術本部
ADM技術部 ADM担当 技術オファリンググループ
長谷川 貴士

NTTデータグループ:長谷川味の素社は食品業界のトップリーダーであり、DXにおいても先進的な取り組みをグループ全体で行っており「DX銘柄2023」にも選定されています。今回お話をいただき、当社が持つDXコンサルティングやPower Platformを活用した市民開発のノウハウおよび実績の面でお役に立てる部分があると感じ、連携がスタートしました。

市民開発の具体的な取り組みと現時点での成果

――具体的に取り組んだ活動について教えてください。

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部 グローバルITサービスグループ 課長 大竹 正明 氏

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部
グローバルITサービスグループ 課長
大竹 正明 氏

味の素:大竹氏「市民開発推進拡大の戦略策定」「市民開発者の人財育成」「市民開発コミュニティの活性化」の3つテーマについてNTT DATA社と一緒に取り組みました。現場ユーザーの声を聞き、そのニーズに立脚した施策を打っていくことを重視していたため、コミュニティ参加者に対するアンケートやヒアリングにより生の声を集め、分析することで活動に反映させています。

NTTデータグループ 技術革新統括本部 システム技術本部 ADM技術部 ADM担当 技術オファリンググループ 高橋 秀明

NTTデータグループ 技術革新統括本部 システム技術本部
ADM技術部 ADM担当 技術オファリンググループ
高橋 秀明

市民開発推進拡大の戦略策定

NTTデータグループ:高橋味の素社のDX推進部は、CoEとしてありたい姿やめざす姿のイメージをお持ちでしたので、彼らの掲げる全社DX方針とアラインする戦略や定量的な目標設定が重要だと考えました。戦略策定支援では、味の素社としてのめざす姿やありたい姿をブレイクダウンし、定量的な目標に置き換え、議論を重ねながらKGIやKPIを設計しました。2030年のDX4.0実現に向けた中長期のロードマップと目標達成に向けた3ヵ年のロードマップを味の素社のDX推進部の皆さまと議論を重ねながら作成しています。

図2:味の素グループ市民開発ロードマップ(中長期)

図2:味の素グループ市民開発ロードマップ(中長期)

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部 ITガバナンスグループ 佐藤 葉子 氏

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部 ITガバナンスグループ
佐藤 葉子 氏

市民開発者の人財育成

味の素:佐藤氏市民開発では、現場社員一人ひとりがデジタル技術を活用し、業務を変革していく開発者(エンジニア)となります。そのため、人財育成においてはどのように開発力を身に付けてもらえるかがポイントでした。人財定義や組織の成熟度定義をNTT DATA社の知見を参考にしながら検討し、育成計画を作成しました。

NTTデータグループ 技術革新統括本部 システム技術本部 ADM技術部 ADM担当 技術オファリンググループ 畠山 紗也

NTTデータグループ 技術革新統括本部 システム技術本部
ADM技術部 ADM担当 技術オファリンググループ
畠山 紗也

市民開発コミュニティの活性化

NTTデータグループ:畠山市民開発の推進をしていく上で「コミュニティの活性化」も大きなポイントとなりました。

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部 グローバルITサービスグループ 廣松 亮祐 氏

味の素株式会社 コーポレート本部 DX推進部 グローバルITサービスグループ
廣松 亮祐 氏

味の素:廣松氏「Power Platform市民開発コミュニティ」はNTT DATA社の参画時点で300名を超えるコミュニティとなっており、「市民開発で現場の業務を改善していきたい」という志を持った方々が集まっています。作成したアプリのエラー対処方法や設計相談について、コミュニティ参加者同士が相互扶助の形で積極的にやり取りしています。さらなる活性化に向け、コミュニティイベントも開催しており、個別相談会や事例共有会を実施しています。NTT DATA社には、主にコミュニティユーザーからのQA対応や個別相談会、事例集サイト構築やFAQ整備を支援してもらっています。

NTTデータグループ:畠山実際に事例共有会を見せていただくと、プレゼンテーション資料は画面レイアウトからマニュアル作成までしっかり作りこまれており、われわれとしても感銘を受けました。コミュニティ活動に貢献いただいている方々を積極的に巻き込み、好事例を展開していくと共に、これから市民開発を始められる方向けの支援との両輪でコミュニティを活性化していくことがポイントだと感じています。

図3:事例共有会の様子(備品発注業務効率化アプリ)

図3:事例共有会の様子(備品発注業務効率化アプリ)

図4:事例共有会の様子(食堂メニュー自動投稿アプリ)

図4:事例共有会の様子(食堂メニュー自動投稿アプリ)

味の素:廣松氏当社には「新しいことにも積極的にチャレンジしていく文化」があります。これからコミュニティをさらに拡大させ、味の素社全社員が自律的に市民開発に取り組む組織文化まで昇華させたいと考えています。

そのためには、コミュニティの認知をもっと広げる必要があります。NTT DATA社とも連携しながらプロモーションをいくつか打った結果、2023年9月時点で300名だった参加者数が、2023年末には450名を超え、約1.5倍にまで伸びています。事業部門の社員の発案で生まれた「原料さがすくん」などアプリの好事例も生まれており、社外発表した際にも大きな反響がありました。

2024年2月に開催した「事例共有会」では、コミュニティユーザーから、新たに3つの好事例が発表されました。10を超える部署から多くの社員に視聴いただき、「ぜひうちの部署でも横展開してほしい!」という声も聞こえるなど、コミュニティの活動が成果創出につながる可能性が見え始めています。

図5:アプリ事例(原料さがすくん)

図5:アプリ事例(原料さがすくん)

図6:アプリ事例(市場調査アプリ)

図6:アプリ事例(市場調査アプリ)

――両社の連携を通じて見えてきた課題や難しかった点があれば教えてください。

味の素:佐藤氏両社の組織文化の違いや思いをお互いに理解して、実行計画やアクションに落とし込んでいくところに難しさを感じました。ともに「市民開発を盛り上げたい」という熱い思いを持つがゆえに、しばしば議論が白熱することもありました。特に、「コミュニティのあり方」や「市民開発拡大のアプローチ」、目標設計などでは意見がぶつかることもありましたが、議論を通じてお互いに新たな視点を得て昇華させていくことができたと感じています。

NTTデータグループ:高橋ありたい姿の理想と実効性のバランスを見つつ、戦略に落とし込んでいくプロセスに難しさを感じました。戦略は実現性に欠ける理想論や“絵に描いた餅”ではなく、実行可能な計画に落とし込み、一緒に伴走しながら推進していく必要があります。そのためロードマップや目標設計については何度も議論を重ねました。

これからの展望

――最後に今後の展望を教えてください

味の素:山添氏2024年はロードマップで「成長期」と位置付けています。事例共有会をはじめとするコミュニティイベントを通じてコミュニティをさらに活性化をしつつ、共通的に行われている業務やアプリの好事例を汎用的な「ベースアプリ」として展開していきたいと考えています。市民開発の取り組みを成長させ、「全社オペレーション変革」、その先の「社会変革」(DX4.0)実現を見据えて取り組んで行きます。

NTTデータグループ:長谷川市民開発を進めていく上で、野良アプリ防止などガバナンス面も今後考慮すべき課題になってくると思います。これから味の素社のDX推進部の方々と一緒に、市民開発者に向けてさまざまな施策を打っていきますが、それによって市民開発の取り組みをさらに加速させ、DX4.0の実現に向けて当社として貢献していきたいと考えています。

AI 搭載ローコード ツール | Microsoft Power Platformについてはこちら:
https://powerplatform.microsoft.com/ja-jp/

NTTデータとマイクロソフト、新たなデジタルソリューションの実現に向けた協業を開始についてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2020/061001/

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