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2021年12月17日トレンドを知る

バーチャルイベントを支える「メタバース」とは?

近年、コロナ禍の影響により、様々なイベントが感染拡大防止のため中止されている。一方で、ネットワーク上に構築された仮想空間、「メタバース」上でのコミュニケーションが注目され、新たなユーザ体験をもたらしている。本記事では、メタバースを構成する技術や考慮すべき事項について紹介する。
目次

1.メタバースとは

メタバースとは、「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)」を合わせた、ネットワーク上に構築された仮想空間の全般を表す用語です。Facebook社が2021年10月28日、メタバースを想起させる「メタ(Meta)」に社名を改名したことは大きな話題となりました。
コロナ禍の影響により、展示会や式典、セミナーなどのリアルイベントをオンラインイベントで代替することが注目されています。主にWeb会議システムを用いた方式が主流ではありましたが、近年ではメタバース上に仮想的な会場を作成し行われることも増えてきました。これまでは主にテレビゲーム上のエンターテイメントの1つとして利用されていた技術であったものが、新たなビジネスとして浸透してきています。
メタバースでは、物理的な場所の制約なく人々が対話するオンラインイベントが開催可能となり、現実空間の制約に縛られることなく、またどこからでも参加できることが利点に挙げられます。また、身振り手振りを交えたノンバーバルなコミュニケーションや、現実では再現できない様々な表現等新たなコミュニケーション体験ができる点が優れており、従来のWeb会議システムには無い価値であると言えます。

2.メタバース上のコミュニケーションプラットフォーム

メタバースのビジネス利用は最近になり注目を浴びていますが、2003年にリリースされたSecond Life(※1)を用いて、カンファレンスや企業説明会を行なう等の取り組みはこれまでも実施されていました。
2017年にリリースされたコミュニケーションツールVRChat(※2)は、自由な空間をユーザ自身が作り出せることで人気を博し、現在でも4万人以上が同時接続する大人気サービスとなりました。
近年では、Cluster(※3)めちゃバース(※4)VketCloud(※5)NEUTRANS(※6)NTTが提供するDOOR(※7)等、オンラインカンファレンスやイベント開催に特化した様々なシステムが登場しています。

(※3)Cluster

https://cluster.mu/

(※6)NEUTRANS

https://neutrans.space/

(※7)DOOR

https://door.ntt/

3.メタバースを構成するアーキテクチャ

メタバースを構成する技術について紹介します。主に

  • クライアントアプリケーション
  • ユーザ管理サーバ
  • コンテンツ管理サーバ

の3つで構成されています。

図:メタバースを構成するアーキテクチャ概要

図:メタバースを構成するアーキテクチャ概要

クライアントアプリでは、パソコン上で動作するデスクトップアプリやスマートフォンアプリや、ブラウザ上で動作するクライアントアプリ等が該当し、それぞれの端末性能を加味してシステムを開発します。
特に、世界で利用ユーザが40億人に上るスマートフォンに対する考慮は欠かせません。3Dコンテンツの表示は端末の性能に依存するため、ターゲットとする端末と非機能要件の整理が必要不可欠です。
ユーザ管理サーバは、同じバーチャルイベントにいるユーザの情報や、双方向のコミュニケーションを実行します。主にはWebSocketやWebRTC等の双方向通信の技術を活用し構築します。
同期する人数や頻度によりアプリケーション性能に大きく影響するため、要件とのトレードオフが重要になります。
コンテンツ管理サーバでは、メタバース上に表示するコンテンツ(3Dモデル、動画、画像など)のデータや格納先をデータベースやストレージで管理します。コンテンツ管理の効率化のため、コンテンツマネジメントサービス(CMS)を構築することが推奨されます。
ご紹介したものは、基本構成の1つであり、360度のパノラマ画像の利用や、バーチャルイベント内のユーザデータ分析など、利用目的やユーザの要望に合わせた機能実現が必要になります。
重要なのは、どのような要件を実現できるかを明確にし、変化に強いアーキテクチャ構成を考えることです。

4.ユーザに受け入れられるシステムにするポイント

メタバース上でのコミュニケーションは、ユーザの端末性能やネットワーク品質に大きく依存するシステムとなり、負荷分散・軽減のための考慮が必要不可欠です。大容量高速通信を実現する5Gや、高負荷の描画をクラウド側で処理実行するクラウドレンダリング等がより良いシステムにするための可能性を秘めています。また、NFT(※8)という、ブロックチェーンを用いてコンテンツの価値を証明する仕組みも登場し、デジタルコンテンツにも絵画のような希少価値をもたらす仕組みが登場しました。今後も、メタバースを用いた新たなビジネスは技術領域の拡大とともに進化していくでしょう。
メタバースでのコミュニケーションでは、ユーザ目線での考えが非常に重要になるため、新しい技術のキャッチアップも重要ですが、無闇に詰め込んだシステムではユーザの獲得は困難であると言えるでしょう。安定した性能・運用を担保するアーキテクチャの構築による快適な動作環境の提供だけではなく、UIUXを考慮した、使いやすい、ニューノーマルな体験への障壁をできるだけ減らすことが非常に重要なポイントになります。

(※8)NFT

アート作品・チケット・ゲームアイテムなど多様なデジタルコンテンツの所有状態をブロックチェーン上に記録し、発⾏される権利を証明したもの。

5.最後に

本稿では、ネットワーク上に構築された仮想空間「メタバース」の最新動向や構成要素ついてご紹介いたしました。ニューノーマルな時代では、多種多様なコミュニケーションが当たり前の世界となり、技術やトレンドに合わせて今後メタバース市場は更なる進化を遂げると予想されます。そのため、迅速な技術のキャッチアップや、トレンドを意識したユーザーフレンドリーなサービスを常に考えることが非常に重要となります。
NTTデータでは、仮想空間を用いたビジネス実現のためのコンサルティング及び開発支援を実施しております。是非お気軽にご連絡ください。

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