情報社会トレンドとは
社会変革と技術革新は相互に影響し合いながら進展しています。社会にはもともと種々の傾向が存在しますが、技術革新や新サービスの登場、社会課題解決ニーズの高まりなどが社会に変革をもたらす慣性、継続性の高いトレンドとして現れたものが、「情報社会トレンド」(※1)です。
情報社会トレンドは、社会生活やビジネス現場における次の変革を予測すると同時に、技術革新を促すニーズでもあります。ドローンや自動運転車、シェアリングなど、新しい技術やサービスに対応した規制の見直しが議論され、IoT(※2)やAI(※3)という言葉を日常的に目にする時代となり、情報社会は大きな転換点を迎えています。
- ※1 「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp_2017/index.html - ※2 Internet of Things
- モノのインターネット
- ※3 Artificial Intelligence
- 人工知能
個の影響力拡大が社会の変革を促進する
個の影響力は、既に社会に定着しました。企業等が提供する製品やサービスは、マーケティングや医療分野を中心に、パーソナライゼーションから個別化(individualization)へと深化しつつあります。ベンチャー企業が、大企業と対等に競争できる環境が整い、顧客が機能ごとに提供者を選ぶアンバンドリングが金融分野などで拡大しています。オンデマンドエコノミー(※4)の普及は、既存業界の秩序破壊だけでなく、関連する製造業にも影響を与えています。
たとえば、自動車のシェアリングは、タクシー業界に変革をもたらしているだけでなく、自動車業界にも所有から利用へのビジネスモデルの転換をもたらしています。組織に属さず、高い専門性を発揮するフリーランスの労働者も増えつつあり、企業と労働者の関係も変化してきています。
- ※4 オンデマンドエコノミー
需要に基づいてモノやサービスを提供するしくみ
図1:情報社会トレンド1
オープンな連携が新たな社会のしくみを生み出す
インターネットは、一元的な管理機構が存在せず、誰もが参加できる情報流通のしくみです。この、分散型でオープンなしくみが、社会全体に広がりつつあります。たとえば、IoTにより接続される機器等は、相互に情報交換しながら最適な状態を実現します。産業界では、部品や製造機械等に取り付けたセンサーと、ヒト(労働者)、生産計画、プロセス等を相互に連携し、調達・生産段階から出荷後までを含めた製品ライフサイクル全体を通じた最適化を図るインダストリー4.0の動きが進んでいます。
国家や中央銀行などの発行主体を持たない仮想通貨の分散型でオープンな元帳のしくみ(※5)は、既存の決済や送金のしくみに変革を与えようとしています。透明性が高く改竄されにくいとして、権利関係や契約関係の管理等に幅広い応用が期待されています。複数の企業による情報システムの連携(※6)は、業界や複数企業をまたがって、新たな価値やビジネスの創出につながっています。
- ※5 ブロックチェーン技術
- Bitcoinなどの仮想通貨の中核となる技術
- ※6 API公開
- ソフトウェアの機能を呼び出すしくみであるAPI(Application Programing Interface)を外部に公開(プラットフォーム化)することで、他の企業との情報システム連携が容易になる
図2:情報社会トレンド2