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2022.6.29業界トレンド/展望

MA(マーケティングオートメーション)とは?基礎知識とCDP/DMPとの違いを解説!

今日のデジタルマーケティングにおいて欠かせないツールの一つがマーケティングオートメーション(MA)です。直訳すると「マーケティングの自動化」ですが、そもそも何を、どのように自動化するのでしょうか?そしてなぜ、今日においてMAが重視されているのでしょうか?いま注目されているMAの特徴やメリット、重視されている背景、具体的な活用方法などについて説明します!

NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。

マーケティングオートメーション(MA)とは?

マーケティングオートメーション(MA)とはマーケティング施策を自動化するためのツール

メール、WEBサイト、スマートフォンアプリ、SNS……今日では、企業と顧客とのタッチポイントが多様化し、私たちはさまざまなタッチポイントを通じて商品やサービスの情報に日々接しています。

それら顧客とのタッチポイントから収集・蓄積された膨大な顧客行動データをもとに、新規顧客の獲得や既存顧客育成などのマーケティング施策を自動化するためのツールが、マーケティングオートメーション(Marketing Automation:MA)です。

一方、顧客から見れば、自分にとって好ましい形で企業から情報を得られるので、興味関心が高まり、その企業の商品やサービスを継続的に利用しようとします。そして、その利用データが蓄積されることで、企業としては顧客の理解度が上がり、コミュニケーションがより最適化されていく……という好循環がもたらされます。その意味では、MAとはマーケティングツールであると同時に「企業と顧客とのコミュニケーションツール」であるといえるでしょう。

MAツールを導入すると実現できること

次に、MAツール導入によってできることを、もう少し具体的にみていきましょう。

MAを導入すると実現できること

①顧客情報の収集・蓄積の一元管理

MAでは、タッチポイントの違いによらず、個々の顧客を管理します。そうすることで、顧客一人ひとりの行動を可視化し、一貫したカスタマーエクスペリエンス(CX)の提供につなげることができます。

例えば、WEBサイトで閲覧した商品をSNSやアプリでリマインドする、実店舗の近くに来た時にカートに入れたままの商品の通知を送るなど、顧客とその行動を一元管理しCXの向上を図ることができます。

②顧客の行動体験の設計・最適化

MAでは、個々の顧客行動をとらえることにより、その顧客にとって最適なコミュニケーション内容・方法(メール、アプリプッシュ、SNSなど)、タイミングを検討することができます。

また、MAではその検討内容に基づいて、①の具体例で挙げたようなコミュニケーションが実現できます。その結果、顧客にとって自然な流れで購買意欲を喚起し、ロイヤリティ向上を図ることができます。

③デジタル領域におけるマーケティング施策の自動化と効果の可視化

MAでは、①の具体例のようなデジタル上のさまざまなタッチポイントを組み合わせたコミュニケーションを、実行条件をあらかじめ設定しておくことによって自動化することができます。

また、マーケティング施策や収益プロセスの効果測定をさまざまな切り口ですばやく、かつ簡単に行うことができるので、マーケター自身の負担を軽減しながら、施策のPDCAサイクルを高速で回すことが可能になります。特に対象顧客の多いBtoC領域では、人の力だけでさまざまなデータをもとにマーケティング施策を行うのはもはや困難です。その意味でも自動化や簡単な効果測定は重要なメリットといえるでしょう。

MAが注目されるようになった背景

MAが注目されるようになった背景

ところで、近年なぜMAが注目されているのでしょうか?この章ではその背景について説明します。

① 顧客との長期的な関係性の重要度の高まり

少子高齢化に伴う人口減少を背景に、マーケティング施策にて重視すべきゴールが新規顧客獲得から既存顧客との長期的な関係構築へとシフトしています。そのため、顧客とのコミュニケーションを最適化するMAへの注目が高まっているのです。

② 顧客行動・タッチポイント多様化に伴うマーケティング部門の負担軽減

顧客が商品やサービスを購入する際のタッチポイントは、これまでの店舗やECに加え、SNSも含め多様化しています。かつ、顧客がどのタッチポイントをどう活用するかもさまざまなため、それらを一元的にトラッキングするのはアナログなやり方ではもはや限界です。そこで、顧客情報を一元管理でき、かつマーケティング施策の自動化により生産性を高めることのできるMAに注目が集まっています。

③ 属人化を排除した、再現性の高いマーケティング施策の必要性

従来のマーケティング施策は、マーケターや営業担当者の勘や経験など、属人的な要素に依存する部分が少なからずありました。しかし、前述したように今日では顧客行動がつぶさに把握できるようになったため、パーソナルな顧客像をより深く理解できるようになりました。そうしたデジタルデータを活用することで属人的な要素を排除し、再現性の高いマーケティング施策を実施する必要性が高まっているのが、MAが必要とされる背景のひとつです。

MAとCDP、DMPとの違いは?

マーケティング活動を効率化するためのツールには、MAの他にカスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)があります。この章では、MAとCDPとの違いをみてみましょう。

カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)とは

CDPとは、企業が独自に蓄積した顧客に関するデータを一元管理するプラットフォームのことを指します。氏名、年齢、性別などの属性データや、購買履歴などに加え、「自社サイトアクセスログ」や「モバイル使用データ」などの顧客行動データ、さらには外部サービスとの連携によって得られた「店舗チェックイン」や「クーポン利用」などの情報がCDP上に蓄積されます。

MAとCDPの違い

MAとCDPの違いは、大きく「役割・位置づけの違い」と言うことができます。

MAは、主に販促支援などのマーケティング施策を実行するための「デジタルマーケティングツール」に位置づけられます。一方で、CDPは顧客データを統合・管理する「データプラットフォーム」に位置づけられます。つまり、CDPは「顧客データの統合管理に特化したプラットフォーム」であって、マーケティング施策を実行できるMAと組み合わせることで初めてマーケティングに活用できます

もうひとつの違いとして、「保有するデータにおける制限の有無」が挙げられます。MAで収集できる顧客行動データの量や保持期間には、実は制限があります。対して、CDPは柔軟に拡張することができるため、顧客に関するデータの種類・量・保持期間をほぼ無制限に収集し、蓄積することができます。

「CDP×MA」と「MA単体」では何が違う?

前述の通りMA単体でも顧客データを管理してマーケティング施策を実行することはできますが、さまざまな顧客データを蓄積できるCDPと組み合わせることで、MA単体に比べてより複雑で多彩なセグメント条件を設定することが可能となります。結果、顧客の理解がより深まることで、マーケティング施策の精度を大きく向上させることができます。

CDPとDMPとの違い

CDPと同じく、データ活用ツールの一つにデータマネジメント・プラットフォーム(DMP)があります。では、CDPとDMPの違いは何でしょうか。

まず、CDPとDMPでは、取り扱うデータの種類が異なります。CDPでは個人情報を含む1stパーティデータ(=企業が自ら取得したデータ)の収集がメインです。個人情報、行動データ、購買データなどを、顧客IDを使って紐づけることで、顧客単位でデータを管理していきます。

対して、DMPでは3rdパーティデータ(Cookieなどの匿名のデジタル識別子に紐づいた行動履歴など)を主に扱い、セグメント単位で管理しています。分かりやすく言うと、CDPは「個人に紐づいたデータ」、DMPは「個人に紐づかないデータ」を蓄積するプラットフォーム、という違いがあります。

DMPを、CDPやMAと連携することで、自社では把握できない外部の行動データをマーケティング施策に活用することができます。例えば「〇〇に興味がある顧客は購買意欲が高いので、WEBサイトに〇〇に関連するコンテンツを案内しよう」など、カスタマーサクセスにより直結する顧客行動を浮かび上がらせることができます。

MA、CDP、DMPの違い

  MA CDP (パブリック)DMP
役割 ● マーケティング施策の実行
● 一人ひとりに合わせた顧客体験の提供
顧客データの統合管理
データの可視化と分析
匿名データの管理
WEB広告のターゲティング
機能 顧客情報の収集・蓄積の一元管理
顧客の行動体験の設計・最適化
施策の自動化と効果の可視化
大量データの保持
高度なデータ統合/加工
データ分析
他システムへの連携
大量データの保持
高度なデータの加工
他システムへの連携
保持データ 個人に紐づく施策に必要なデータ
施策の結果
必ず個人に紐づき、パーソナライズされたマーケティング施策に活用できる 3rdパーティデータ
個人に紐づかない匿名データや集計されたデータを含む

MAが効果を発揮するビジネスとは

MAは、もともとBtoB領域のビジネスから生まれたマーケティング支援ツールです。ただ、今日ではBtoC領域においても、車や住宅といった高額商品から日用品など消費財にいたるまで、あらゆる商品・サービスにおいて、顧客一人ひとりの興味や嗜好に応じたコミュニケーションを可能にし、顧客との長期的な関係構築をもたらします。

一例として、ある企業が運営するスポーツチームでのMA導入事例を見てみましょう。

このスポーツチームでは、試合の観戦に訪れた人の行動を分析したところ、「観戦回数」が顧客エンゲージメントを向上する重要指標であると特定しました。そこで、初めて観戦してから継続的に観戦する人と、そうでない人の行動特性をさらに洗い出し、継続的な観戦をしてもらえるようなマーケティング施策を展開したことで、結果として年間の観戦回数を高めることに成功しました。

MAがなければ、こういったデータにもとづくマーケティング施策を打つことはできず、特定のマーケターの勘や経験に依存した施策に終始していたことでしょう。

MAが効果を発揮するビジネスとは

MAはマーケティングの生産性を高め、顧客との長期的な関係構築を実現するツール

MAの特徴やメリット、必要とされる背景などについて説明しました。デジタル上での顧客とのタッチポイントから得られた大量のデータを活用することで、マーケティング施策の精度を高めると同時に、施策と効果測定の自動化によって企業のマーケターの負担を軽減する大きなメリットをもたらしてくれます。

また、CDPやDMPといった他のデータプラットフォームとかけ合わせることで、顧客行動の理解がさらに深まります。その結果、マーケティング施策の精度向上、すなわち顧客により満足してもらえるコミュニケーションが可能となります。

とはいえ、デジタルマーケティングの知識や経験があまりない中で、初めからMAのすべての機能を一度に使いこなすのは、あまり現実的ではありません。自社ビジネスの特徴や予算などをふまえ、まずはスモールスタートで基本的な機能から導入し、PDCAを回しながら、企業の成長や変化、デジタルマーケティングへの成熟度に応じて少しずつ拡張していくことをお勧めします。

監修者:林田 慶

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